ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ(ナティクシスIM)株式会社は2月28日、「ロシア・ウクライナ情勢が米国に与える影響」に関するコメントを発表した。ナティクシスIMソリューションズのポートフォリオ・ストラテジストであるギャレット・メルソン氏が見解を述べている。
ウクライナ紛争が市場に与える影響として、メルソン氏は「すでに売り圧力の大半が確認されたのではないか」との見方を示す。これまでも「軍事侵攻や軍事的緊張の高まりにおいては準備段階で売り、侵攻で買う」という状況があったためで、これは「『噂で売って、実際のニュースで買う』という古典的な手法で、投資家は噂や不確実性が高まるにつれてリスクを低減させ、実際の緊張の高まりの直前または直後に買う。このような事象は、世界的な規模で発生しない限り、経済全般に与える影響は限られている」と指摘する。
したがって、反射的な売りが出た後、市場は経済情勢に再び注目する傾向にあるが、経済情勢は現在のところ非常に堅調。紛争はエネルギー純輸入国に最も大きなリスクをもたらすため、エネルギー価格が高止まりし、一段と上昇した場合、欧州の需要を圧迫する可能性はあるという見立てだ。
一方、米国については「依然として原油の純輸出国であり、広範な輸出という観点で見た場合、世界経済から比較的隔離されている。そのため、この紛争が米国経済や米国の多国籍企業に与える影響はほとんどない」としている。
米国株の支援要因として、メルソン氏は投資家心理を挙げる。「個人投資家のセンチメントは現在、2020年の新型コロナを要因とする最大暴落時に見られた水準を下回る、約10年来の水準にまで低下しており、他の投資家層でも同様の傾向が見られる」という。
センチメントは極端な局面における逆張り指標として最も信頼性が高いとされる。22年上半期には、引き続きインフレと政策金利の動向が市場のボラティリティを主に左右する要因になると見られるが、すでにPERは大幅修正されており、「センチメントも大幅に落ち込んでいることを考慮するとこれ以上弱気であり続けるのは難しい」とメルソン氏は考える。
最後に、「FRB(連邦準備制度)はウクライナ紛争を背景とする積極的な動きを起こすことは避けている」という説を紹介。現時点では、ウクライナ紛争がFRBの意思決定者に与える影響は非常に限られているとしながら、「影響があるとすれば、3月の0.5%の利上げに対する見通しが弱まる可能性は高いものの、紛争がエネルギー価格以外のインフレ指標を大幅に悪化させない限り、今後の政策決定に重大な影響はない」と静観している。
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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