高校の金融教育、高校生と親と教師の意識差は?MMDとビザ・ワールドワイド・ジャパン社が調査

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学習指導要領の改訂によって今年4月から高校で金融教育が導入され、1学期が過ぎた。成年年齢引下げも伴い、18歳から金融に関する様々な契約を行える。MMDLabo株式会社が運営するMMD研究所とビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社は「高等学校の金融教育必修化に関する意識調査(高校生と親と教師の意識)」を実施、8月24日、25日に結果を発表した。

予備調査は15歳~69歳の全国の男女5万人、本調査は高校生481人、高校生の親1000人の計1481人を対象に今年6月24日~28日に実施。高校教師向けには、予備調査では20歳~69歳の教育関係者1万人、本調査では高校教師500人を対象に6月24日~27日に実施した。高校生と親向けの調査は、アンケート調査により回収されたサンプルを人口構成比に合わせるためにウエイトバック集計している。

高校生と親のお金に対する意識では、まず、直近1年間の高校生とその親の現金とキャッシュレスの利用比率を質問したところ、高校生で「現金のみ」は47.3%、キャッシュレスのみ12%で、併用利用は40.6%。高校生の親は現金のみ10%、キャッシュレスのみ21.2%、併用利用68.8%だった。

自身でお金を管理している高校生は50.1%で、管理をしてい769人のうち、管理方法(複数回答可)、は「財布の中身のみで残高を確認している」が29.3%と最も多く、次いで「銀行口座の残高をアプリで確認して管理している」21.7%、「紙媒体(家計簿・お小遣い帳など)」が20.2%となった。

予備調査から高校生481人を抽出し「お金の管理で意識していること」について聞いたところ(複数回答可)、「お金を貯めるために節約を意識している」が23.1%と最多、次いで「お金を使う時は計画的に使うようにしている」が22.9%、「将来必要となるお金について、考えるようにしている」が20.2%となった。なお、高校生の自分名義の銀行口座所有率は61.7%となった。

「高等学校の金融教育必修化に関する意識調査(高校生と親と教師の意識)」では、まず高校生の金融教育の義務化について「知らなかった」のは高校生が63.2%、親は47.1%で、金融教育に対して親と教師の結果に差異が見られた。

親と教師にも意識差がある。「金融教育が行われるべきと感じる場所」で、親は「学校での授業」が51.6%と回答、次いで「学校でのセミナー・イベント」が34.6%、「家庭内での指導・教育」は25%となった。これに対し、教師500人を抽出し、高校生の金融教育で必要だと思うことについて聞いたところ(複数回答可)、「家庭での指導」が32.2%で最多で、次いで「金融に関する興味・関心を高めること」が31.8%、「専門家からの指導」が30.2%となった。

現段階では、高校生の金融リテラシーへの評価は高くない。高校生の金融リテラシーを「どちらかといえば身につけていないと思う」もしくは「身につけていないと思う」と回答した高校教師303人を対象に、理由について聞いたところ(複数回答可)、「お金や金融について学ぶ機会が今までなかったから」が38.6%で最も多く、次いで「学校の授業だけでは、補えないと感じるから」が36.6%、「お金や経済に関する知識がないと感じるから」が36%となった。ここでも、学校の授業だけでは不足という考え方が垣間見える。

では、家庭での金融教育について、親はどう考えているだろうか。親1000人を対象に、家庭内での金融教育の実施について聞いたところ、「実施している」が16.9%、「以前実施していた(今は実施していない)」が7.8%、「実施していないが、実施しようとは思っている」が36.6%と、実行している家庭は少数。一方、「全く実施していない(実施する予定もない)」という回答は38.7%だった。

高校生の親の家庭内の金融教育での悩みについて聞いたところ(複数回答可)、「自分の金融に関する知識が不足していること」が21.9%で最も多く、次いで「どこから教えて良いのか分からないこと」が18.1%、「自分の知識が誤っていないか不安なこと」が16.8%。こうした不足感や不安が、家庭での金融教育のハードルになっていると推測できる。

高校生と親向け調査で予備調査から高校生481人を抽出し、今後金融に関して学んでいきたいかについて聞いたところ、60.3%が「学びたい」と回答。次に、今後金融に関して学びたいと回答した高校生290人を対象に、今後学んでいきたい項目を複数回答で聞いたところ、「適切な収入・支出の管理方法について」が52.8%で最も多く、次いで「保険の種類と必要になる金額の理解について」が52.4%、「住宅ローンやカードローンの仕組みやリスクについて」が51%となった。

親1000人に、家庭内の金融教育で親が子供に求めることについて聞いたところ、「お金の大切さを分かってほしい」と「お金を計画的に使えるようになってほしい」がともに42.3%でトップ。次いで「自分のお金を管理できるようになってほしい」が39.9%、「お金を無駄遣いしないでほしい」が35.6%となった。

教師500人を対象に、高校生に家庭内で身につけてほしい金融リテラシーについて聞いたところ「お金の大切さを理解すること」が52.4%で最も多く、次いで「自分のお金を管理できるようになること」50.4%、「お金を無駄遣いしなくなること」47.2%で、親、教師で大きな差は見られなかった。

高校生と親、高校教師の間に意識の差も見られる結果となったが、10代とその保護者、学校の三者で考え方が異なるのは意外ではない。少なくとも、開始されたばかりの金融教育に、高校生の関心が集まっていることはポジティブに捉えていいだろう。

回答から、いくつかのヒントも浮かぶ。親子が安心して共有できる金銭管理ツール、金融教育における学校と家庭の役割、なにより、大人が金融リテラシーをさらに高められる機会の創出などだ。急変する経済環境下、学びの必要性は就学年齢から社会人まで広がる。多くの高校で二学期が始まる前に、金融教育のこれからを見直してみたい。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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