人生100年時代と言われるように、平均寿命だけでなく健康寿命も伸びているなか、これからはお金にも働いてもらうことが必須の時代となりました。お金自身に働いてもらい、自分の理想とする働き方・生き方を追求していくことが望ましいでしょう。
では、どのように資産を増やしていけばいいのかというと、まず運用会社のファンドマネージャーなどのプロと言われている人たちの投資戦略を真似るということが考えられます。しかし、プロは膨大な時間をかけて市場を分析し、高度な投資戦略に基づいて個人では取り扱えない商品を用いて運用していることも多く、なかなか完璧に真似ることは難しいでしょう。
今回は、仕事をしながら投資をしている方を対象に、あまり自由に取引ができないという前提のもと、一般的に誰でも購入可能な投資信託を中心にプロ目線の資産ポートフォリオの形成方法についてお話ししたいと思います。
※ポートフォリオ…投資の世界では「様々な種類の資産に分散投資しているその中身(資産の種類や比率)のこと」です。
目次
- 投資のプロが買わない金融商品
1-1.購入時・解約時の手数料が高いもの
1-2.信託報酬が高いもの
1-3.毎月分配型投資信託
1-4.銀行・証券会社が勧めてくる商品 - プロも仕込む、買いたい金融商品
- 投資におけるポートフォリオの考え方
- まとめ
1.投資のプロが買わない金融商品
まず、プロの投資家が購入を避ける商品の特徴を見ていきます。
1-1.購入時・解約時の手数料が高いもの
購入時・解約時に掛かる手数料が圧倒的に高い商品の代表としては、銀行などの外貨預金が挙げられます。大手銀行の店頭で手続きをした場合、米ドル預金は作成時と解約時に往復で約2%の手数料を支払わないといけません。
2020年3月現在で外貨預金の平均年率は0.1%と、確かに円預金10倍の利息は付きますが、手数料分を回収するだけで何年かかるのかを考えると、全く割に合わないと言えるのでご注意下さい。
1-2.信託報酬が高いもの
投資信託の場合は、信託報酬が重要です。販売・解約手数料とは違い、毎年継続的にかかるものです。高くてもそれなりのリターンがあるなら問題ありませんが、リターンだけを見て決めてしまうと、自分が思ったほど資産が増えないということにもなりかねないので気を付けましょう。
投資信託のリターンは毎年不確定ですが、信託報酬は毎年決められた額が差し引かれます。一年では小さなことでも、長期間保有すれば手数料負担が重くのしかかってきてしまいます。
1-3.毎月分配型投資信託
こちらも、一見すると毎月利息が得られるという感覚で魅力的に見えてしまうかもしれませんが、長期的に見た場合メリットよりもデメリットの方が大きくなるでしょう。分配金はファンド資産の中から支払われるので、支払うたびにファンドの資産が減ってしまうのです。減った資産で再び運用しても複利効果が働きにくくなってしまいます。
※複利効果…利益を再投資することで雪だるま式にお金が増えていく効果のこと
1-4.銀行・証券会社が勧めてくる商品
これはセールスの方が悪いわけではありません。会社で取り扱っている全ての商品を隅々まで理解することなど不可能ですし、一見の顧客の財産状況、ライフプラン、リスクに対する考え方が分からないのに、顧客に合った商品を勧めることは困難です。結局、人気がある商品、今売れている商品、今話題の商品を勧めることになってしまいます。
ではなぜ、これらの商品を選んではいけないかというと、「勧めている現時点が旬だから」です。投資というのはタイミングが大事です。すでに旬の商品を高値で購入しても、そのあとも継続して高いパフォーマンスを得る可能性は低いといえるでしょう。最近では「ESG」「AI」「フィンテック」、こういったテーマ型の商品はよく内容を吟味してから購入しましょう。
2.プロも仕込む、買いたい金融商品
投資商品はネット証券で販売されているものから選ぶのが無難です。似たような商品の中身だったとしても手数料が安く設定されていることが多いためです。
投資信託を選ぶ場合は信託報酬にも注意しましょう。単純に安いものを選ぶのではなく、リターンとのバランスが大事です。バランス型投資信託を選択し一気に複数資産へ分散投資する方法も良いのですが、多少信託報酬が高くなりますので、自分で株や債券や外貨の資産配分をある程度検討したうえで、ポートフォリオに合ったETFを選ぶことができた方が良いでしょう。
そこで、次の項目でポートフォリオの一つの考え方をご参考までにご紹介します。
3.投資におけるポートフォリオの考え方
ポートフォリオを考えるうえでは、長期的に見た世の中の環境認識と短期的な相場の局面判断が非常に重要になってきます。現在であれば、下記のポイントを意識すると良いでしょう。
株式の買い方
「金を借りて成長を目指す」という資本主義の経済構造が続くという前提に立つのであれば、基本的に株は買った方がよいでしょう。問題はどこで買うかです。直近であればコロナショックのような10年程度に一度訪れるリスクイベントの時を見計らって購入できれば最高ですが、基本的には下がったところで買うスタンスでじっくり積み増していきましょう。
インカムゲインとキャピタルゲイン
買う時は二つのタイプを検討してみて下さい。一つはインカムゲイン狙いとして大型株で配当が高いもの、もう一つは割安株で将来のキャピタルゲインを狙えそうなものです。
金(ゴールド)について
世界経済が成長し続けるわけではありませんので、ヘッジとして金の購入は魅力的です。経済危機などの不測の事態があっても価値がなくならないことから、「有事の金」などと呼ばれています。実際、他の金融資産と異なる値動きをする傾向が見られます。
ただし、金は金利や配当が付くわけではありませんので、配分を多くするべきではありません。積み立て方式で、徐々に残高を積み上げる方法がよいでしょう。
債券と為替ヘッジ
経済が成熟するにしたがい成長率は低くなり、合わせて金利も低下してしまいます。先進国では既にそのような状態に陥っていることから、債券の魅力はどんどん低下しているところです。ただし、外国債券は満期まで保有すれば外貨建てでは元本保証ですし、金利収入も得られます。
通常の債券ファンドは為替をヘッジしてしまっているため、殆ど利回りは得られません。しかし円高の時に為替ヘッジを付けずにしっかり利回りがある長期債を購入すれば、仮に満期時に購入時より円安であれば円転すれば良いですし、そうでなければ外貨で受け取って、円安時を待って円転するといった長期目線で余裕を持って運用できるはずです。
新興国への投資
これから成長が見込める新興国への投資も多少混ぜておきたいところです。しかし新興国は情報が少なく株を買うにはハードルが高いので、基本的には国債が良いでしょう。為替ヘッジをつけると利回りが少なくなるのは先進国と同様ですが、為替ヘッジなしはリスクが高過ぎます。
したがって、積み立て方式で新興国債券を購入していくと為替リスクは多少ヘッジされることになりますのでお勧めです。
米国の資産
資産として持っておきたいのは現時点では基軸通貨の米ドルになります。証拠金FXを使って積み立てても良いですし、為替ヘッジなしで米債を購入しても良いですし、同じく為替ヘッジなしで米国の高配当の大型株でも良いでしょう。米ドルは世界中どこでも使えますので、慌てて円転しなくてもよい余剰資金で長期的な視点で運用しましょう。
※積み立て方式…毎月少しずつ積立購入していく方法。一定金額で少しずつ積立購入していくと、安いときにたくさん買い、高いときには少ししか買わないため、平均の購入金額を下げることができます(ドルコスト平均法)。
まとめ
普段の仕事中は相場を常に見ているわけではないことから、なかなかタイミング良く資産を購入することは難しいものです。したがって、短期的な目線を重視するのではなく長期目線で堅実に運用した方が良いでしょう。
そこで、一つのアイデアとしては投資予定資産の半分くらいは積み立て方式にして、自動的に平均購入単価を下げる方法を取りつつ、残りの半分の資産はチャンスがあるまで円預金で待機させておき、良いタイミングがくれば購入する、という方法で資産形成を考えてみてはいかがでしょうか。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の企業・商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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