アメリカと新興国、株を買うならどっち?投資のプロが持っておきたい投資信託も解説

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投資先として先進国と新興国のどちらに投資をすべきか迷ったことはありませんか。資産運用する際、大きなカギを握るのは経済成長率です。

本稿ではインドに詳しい投資のプロである筆者が、アメリカと新興国株のどちらに投資すべきかを長期投資前提で解説します。

※本記事は2024年5月15日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. アメリカ株投資のメリット・デメリット
    1-1.巨大な市場規模がメリット
    1-2.デメリットは新興諸国のような高い経済成長率が期待できないこと
  2. 新興国株式投資のメリット・デメリット
    2-1.高い経済成長率を期待できることがメリット
    2-2.政治・経済・社会情勢の変動が大きいことがデメリット
  3. アメリカ株か新興国株か
  4. 新興国投資はインドがカギ
  5. 買っておきたい投資信託3選
    5-1.HSBCインド・インフラ株式オープン
    5-2.イーストスプリング・インド消費関連ファンド
    5-3.ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド
  6. まとめ

1.アメリカ株投資のメリット・デメリット

アメリカはGDP世界一の大国であり、株式投資をする際には米国株を外すことはできないでしょう。しかし、経済が成熟しているため、新興国のような高い経済成長は期待できません。

まずはアメリカ株のメリット、デメリットを確認しましょう。

1-1.巨大な市場規模がメリット

アメリカ株の最大のメリットは、米国市場が世界株式市場の中心で、市場規模が大きいことです。米国市場の時価総額は、2024年3月末時点(岡三証券調査)で55.3兆ドルと、世界時価総額117.3兆ドルの47.2%を占め、世界中の投資家が米国に投資しています。

参照:岡三証券「外国株式投資の魅力

また、政治が安定していることや、米国の格付けがAaa(ムーディズ)、AA+(S&P)と高格付けが付与されていること米国のメリットと言えます。

1-2.デメリットは新興諸国のような高い経済成長率が期待できないこと

アメリカ株のデメリットとしては、経済が成熟しているため、新興諸国のような高い経済成長率が期待できないことが挙げられます。

IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しによると、世界経済の成長率は2024年がプラス3.1%、2025年がプラス3.2%となっています。米国の成長率は2024年がプラス2.1%、2025年がプラス1.7%で、インドのプラス6.5%(2024年、2025年とも)、中国のプラス4.6%(2024年)、プラス4.1%(2025年)を大きく下回っています。

参照:IMF「インフレ率の鈍化と安定的な成長ソフトランディングへの道開ける

2.新興国株式投資のメリット・デメリット

2-1.高い経済成長率を期待できることがメリット

高い経済成長率が見込めるため、資産の成長も期待できることが、新興国株式のメリットです。

IMFによると、2023年のインドの経済成長率は推計プラス6.7%と、米国のプラス2.5%、日本のプラス1.9%を大きく上回っています。インドは、平均年齢が30歳未満と若く、人口ボーナス期に入っていることもあり、豊富な労働力による高い経済成長が見込めるため、株価には高い成長が期待できます。

2-2.政治・経済・社会情勢の変動が大きいことがデメリット

新興国株式のデメリットとして、政治・経済・社会情勢の変動が大きいことが挙げられます。新興国は玉石混淆で、全ての国が投資対象とは考えにくく、インデックス投資よりも個々の国の株式に投資する方法が良いでしょう。

3.アメリカ株か新興国株か

アメリカ株は、時価総額が世界全体の約47%を占める巨大市場です。投資をする上で、アメリカ株を持たないリスクは高いと言えます。投資の基本は分散投資です。地域分散の観点からアメリカ株をベースに、外国株の25%程度を新興国株式に投資するとバランスが良いでしょう。

4.新興国投資はインドがカギ

下表は、1994年5月末から2024年4月末までの米国市場上場の各国ETFの騰落率です。インドの騰落率は585%と、MSCIオールカントリーの386%を大きく上回っています。2024年5月現在、新興国に投資する場合は、新興国へ投資する場合は、インデックスファンドを利用して新興国全体へ投資するよりも、インドに投資すると将来大きな資産形成が期待できると言えるでしょう。

1994年5月末から2024年4月末までの米国上場ETFの騰落率

MSCI ETF銘柄 騰落率(%)
インド 585
トルコ 345
ブラジル 215
インドネシア 33
タイ -42
オールカントリー 386
エマージング 111

※2024年4月30日時点
※表はブルームバーグを基に筆者作成

インドは、人口が世界一であることに加え、平均年齢が30未満であることや人口ボーナス期に入っているため経済に活気があります。

加えて、インド拠点を拡大する外資系企業が増えています。背景には政治が安定していること、経済政策として外資規制の緩和やインフレ整備を促進していること、デジタル環境が整っていること、優秀な若い人材が豊富なこと、英語を話す人材が多いことが挙げられます。

世界のサプライチェーンの中心になることを目指しており、すでに米アップルなどグローバル企業は、生産拠点を中国からインドへとシフトしています。

また、IMFの推計によると、インドのGDPは2025年には日本(4.31兆ドル)を抜いて世界4位の4.33兆ドルとなるとの見通しです。

5.買っておきたい投資信託3選

外国株に投資する場合は、アメリカを中心にインドを加えると、より高い資産成長が期待できるでしょう。ここでは、3年間の騰落率を基準に、長期投資に適したインド関連の投資信託を3銘柄解説します。

※純資産額は2024年5月2日時点。

5-1.HSBCインド・インフラ株式オープン

インドではインフラ整備が遅れていること、2036年にはオリンピックの開催を目指していることからインフラ株式ファンドは今後も成長が期待できます。

期間別騰落率をみると、3年では145.0%、1年では76.0%と際立った成績です。信託報酬が2.09%と高いものの、それに見合った運用成績を残しており、結果的に割高感はありません。純資産額が1,941億円の大型ファンドです。

2024年3月末時点の組入銘柄数は57で、最大の投資先は、世界各地でインフラや石油開発事業を請け負う建設エンジニアリング大手のラーセン・アンド・トゥブロで、投資比率は9.4%です。

参照:HSBCアセットマネジメント「HSBC インド・インフラ株式オープン

5-2.イーストスプリング・インド消費関連ファンド

インドでは中間所得層が増加していること、家電製品の普及率が低いことから、消費関連ファンドも投資先として魅力があります。

期間別騰落率をみると、3年では96.3%、1年では52.8%と好成績を残しています。純資産額は2,353億円と大型ファンドで、信託報酬が1.9497%程度です。

2024年3月末時点の組入銘柄数は77です。最大の投資先は、通信サービス会社大手のバルティ・エアテルで、投資比率は6.7%です。

参照:イーストスプリングアセットマネジメント「イーストスプリング・インド消費関連ファンド

5-3.ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド

ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドは、主にS&P BSE500採用銘柄のなかからインフラ関連企業や消費関連銘柄に投資しています。S&P BSE500 指数とは、ボンベイ証券取引所に上場する時価総額上位500銘柄で構成される指数です。

期間別騰落率をみると、3年では91.2%、1年では50.1%と好成績を残しています。純資産額は2,389億円と大型のファンドです。信託報酬は1.848%です。

2024年3月末時点の組入銘柄数は34で、金融関連銘柄へ組入れ比率が26.1%と高いという特徴があります。

参照:大和アセットマネジメント「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド

6.まとめ

2023年インドの経済成長率は推計6.7%と、日米を大きく上回っています。インドは平均年齢が30歳未満と若いこと、人口ボーナス期に入っていること、中間所得層が増加傾向にあることから株式市場は高い成長が期待されます。インドは他の新興国に比べて、投資妙味があると言えるでしょう。

一方、アメリカは世界株式時価総額の約47%を占めており、外国株ポートを構築する上でコアとなります。外国株のポートファリオを構築する場合には、リスク分散の観点から米国株を軸に25%程度をインドに投資することを検討してみてください。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。