株式市場と為替市場が連動するときは?ドル円やポンド、新興国通貨の動きを解説

世の中にある代表的な金融資産は株、債券、不動産、商品(コモディティ)、通貨の5つです。この中で通貨だけは特徴が異なり、自国通貨や外国通貨を資産として保有するという目的以外に、他の4つの外国資産を取得する際に為替という形で必ず関係します。資産取得だけでなく、外国資産の為替変動リスクをヘッジするために通貨を先物市場で売る場合もあります。

様々な取引がそれぞれの国の参加者の都合で行われるため、資金の流れを全て把握することはほぼ不可能です。しかし世界中から情報収集をして資金の流れを把握し先回りしようとするヘッジファンドなどの投機筋が相場で大きな影響力を持っていることもあり、株などの資産の取引が為替に及ぼす影響を把握しておかなければなりません。

今回は資産の中でも代表的な株式市場と、為替市場の関係性について解説していきます。

目次

  1. 為替相場の変動要因
  2. 株式市場と為替市場の連動の仕方
    2-1. 日経平均とドル円
    2-2.英国株式市場(FTSE)と英ポンド
    2-3.新興市場とその影響
  3. 株式市場と為替市場が連動しないとき
  4. まとめ

1.為替相場の変動要因

為替相場の変動要因として、下記が挙げられます。直接二国間で資金の移動を伴う要因もあれば、直接資金の流れが発生しなくても、雰囲気だけで動いてしまう要因もあります。

為替相場は8割以上が投機筋に支配されていると言われています。美人投票の要素が強く、実際にフローが出る・出ないにかかわらず、多くの人が同じ相場展開のイメージが出来るのであれば、結果としてそのように動いてしまうということです。

  1. 金融政策の方向性(元になる経済指標)
  2. 財政政策の方向性
  3. 政治要因(国同士の利害関係上、一方的な上昇・下降とはなりにくい)
  4. 紛争
  5. 金利
  6. M&Aフロー
  7. 貿易為替のフロー
  8. 商品(コモディティ)相場

様々な他の相場の影響を受けながら、為替相場は成り立っています。一見すると為替とは全く関係ないように感じられることでも、実際には為替が絡んで相場が変動することは多いです。後から市場に伝わると、次回以降同じような材料が出ると、相場は変動しやすくなることがあります。

2.株式市場と為替市場の連動の仕方

外国為替と株式市場は流動性の高い市場として知られています。多くの投資家はこの2つの市場間の相関関係を考えて、将来の価格変動を予測する傾向があります。

どちらの市場がリードしているかについての結論は出ていません。ただ、どちらかというと株式市場の動向が外国為替の動向に影響を与えると考えられています。基本的には、ある国の株式市場が上昇する場合、それはファンダメンタルズ面で評価が高まっていることを意味し、その国の通貨も買われます。

2-1. 日経平均とドル円

日経平均株価とドル円の関係は単純ではありません。2008年のリーマンショックの際には、日経平均の急落には円高で反応しました。以降、日経平均を含めた世界の株価指数が上昇に転じると円安へと転じるようになりました。

何故このような現象が起こるのでしょうか。幾つかの要因を説明します。

日本企業は海外で活動をしている企業が多くドルを中心とした外貨で利益を上げており、円建てで決算が行われます。そのため、決算の為にドルを円転する必要があります。

為替相場が円安に進むと円建ての利益は拡大し、円安による業績改善が要因となり、これらの企業の株価は上昇傾向となります。反対に、円高に進むとこの逆の動きになります。

輸入企業は上記の逆となり、円安に進むと輸入価格が上がり利益を出しにくくなるため、企業の株は下落傾向となります。しかし、日経平均を構成する225銘柄の多くが輸出企業であることから、輸出企業目線で影響を考えることの方が多くなります。

外国人投資家の売買比率が高い日本の株式市場において、為替動向は非常に重要な変動要因です。米国人投資家を例に挙げると、ドル円を売って日本株へ投資を行う際、先行きに円安期待が存在する場合は、為替差損を防ぐため同時に円売りヘッジを行う(ドル円を買い持ちにする)と想定されます。

この時点では為替への影響は中立ですが、株価が上昇した際にヘッジ比率を一定に保つために追加の円売り(ドル円の買い)が必要になります。反対に、株価下落の場合は円買い戻しが必要になります。日経平均上昇とドル円上昇の相関を形成する要因の一つとして考えられています。

今度は、ヘッジ比率ではなく投資家の国ごとの投資比率の観点から考えてみましょう。海外の機関投資家や海外の年金基金なども当然日本株など日本資産を保有しているものの、円高になると運用資産全体のうち円資産の占める割合が大きくなります。調節のために、円高になると日本株を売る動きにつながることがしばしば見られます。

東京証券取引所が発表する「投資部門別売買状況」を見れば、足元で外国人投資家が日本株を買っているのか、売っているのかを知ることができます。

2-2. 英国株式市場(FTSE)と英ポンド

英国の代表的な株価指数であるFTSE100と通貨ポンドの関係で考えてみましょう。多くの英国企業は日本と似ていて、海外でビジネスを展開しています。

これら企業の取引通貨は通常米ドルとなるため、利益もドル建てで計算されます。英ポンドの価値が減価する場合、米ドルの価値が上昇することから企業の収益は上昇します。このため、円と日経平均の関係と同様、通貨ポンドの減価とFTSE100の上昇という関係になります。

2-3. 新興市場とその影響

米ドル相場の動向は、新興国市場の財政に大きな影響を及ぼします。米ドル相場と新興国市場の関係を理解するためには、資本の移動がポイントとなります。

例えば、新興国企業の多くは米ドル建てで融資を受けています。したがって、米国の金利が上昇すると、新興国企業に対するリスクが意識され、市場は新興国市場から米国市場へシフトします。

この過程で、新興国市場の株価と通貨には売り圧力が高まります。逆に、投資家のリスク選好ムードが高まる状況でアメリカの金利に低下圧力が高まるケースでは、新興国市場へ資本が流入します。この過程で新興国市場の株価と通貨は上昇しますが、日本や英国とは真逆の相関性になります。

3.株式市場と為替市場が連動しないとき

株式市場と為替市場は絶えず変化しており、これまでの資産間の相関性が崩れることは多々あります。特に最近日経平均とドル円が連動しておらず、違和感のある人も多いのではないでしょうか。

2020年のコロナショックでは、日経平均の下落と円高の相関は2週間程度しか続かず、すぐにリスクオフのドル買いが優勢となりドル円は上昇しました。またドル円の下げ幅も、リーマンショックと比較すると非常に限定的となりました。

日銀とFRBの金融政策のスタンスの差なのか、世界中の中銀が緩和マネーを大量に市場に投入した金余りの状態から来るものなのか、これまでの資金フロー以外の何かが発生していたといえるでしょう。

日経平均が下がったにも関わらずドル円が下がらなかったという事実は重いです。これまでは、日経平均が下がればドル円を自動的に売っていた投機筋が、今後はそのような投資行動を控えることに繋がるからです。

実際に昨年後半のドル円相場は、世界の株式市場とはほぼ相関がなくなりました。世界中が景気刺激策を打ち、異常な金融緩和による金余りの状態の中、株も債券も金もどの資産も全部買いという、新たな連動が出来たのかもしれません。最近のドル円は日経平均との相関はなく、米金利との相関を強めているように見えます。

このように状況が変わることで様々な参加者の投資行動が変化し、資金フローが変わっていきます。それに応じて投機筋が先回りし始めると、新たな連動が暫く続くことになります。

4.まとめ

長年にわたって外国為替市場と株式市場の相関関係については、多くの投資家が興味を持ち続けてきました。しかし、両市場の相関関係がすべて明らかになっているわけではありません。

外国為替市場で取引する際、株式市場の動向をチェックすることは重要です。しかし、それだけでは外国為替市場の動きを正確に把握することはできません。

株価も為替も一つの要因で決まるのではなく、個々の要因が連鎖的に影響を及ぼし動きます。株式市場と外国為替の関係は、単にファンダメンタルズの状況だけでなく、政治や金融政策の方向性といった様々な要因が絡み合って相関関係が作られます。

時間の経過とともにマーケットの状況は変化し、その過程で相関関係も変化します。取引する際は株式市場だけでなく、複数の要因を考慮し相場状況に応じた判断が必要になります。

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