NYダウ連動ETFとは、ダウ工業株30種に連動して値動きする上場投資信託です。米国ETFは世界経済を牽引する銘柄群に手軽に投資できる一方、投資初心者やETF投資の経験がない方にとっては仕組みがわかりにくく、なじみがない場合もあります。
そこでこの記事では、NYダウ連動ETF取引のメリット・デメリット、主な銘柄について詳しく解説していきます。米国投資に興味のある方、NYダウやETF、NYダウ連動ETFの個別銘柄について興味のある方は、参考にしてみてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- NYダウ連動のETFとは
1-1.NYダウの特徴
1-2.ETF(上場投資信託)の特徴 - NYダウ連動ETFのメリット
2-1.米国の有名銘柄に少額・分散投資できる
2-2.リアルタイム取引が可能
2-3.手数料が割安
2-4.短期トレードに適している - NYダウ連動ETFのデメリット
3-1.指数の変動によって損失が発生する
3-2.自動積立ができない
3-3.分配金を自動的に再投資できない
3-4.上場廃止のリスクがある - NYダウ連動ETFの主な銘柄
4-1.1546 NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信
4-2.1679 Simple-X NYダウ・ジョーンズ・インデックス上場投資
4-3.DIA SPDR ダウ工業株平均ETF - まとめ
1 NYダウ連動のETFとは
NYダウ連動ETFとは、NYダウに連動して値動きするETFです。NYダウとは、アメリカのS&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社によって算出されている米国証券市場の代表的な株価指数です。ダウ平均株価とも呼ばれており、アメリカはもとより世界の株価指数の中でも最も注目される指数の1つとなっています。
1-1 NYダウの特徴
NYダウには構成銘柄によって様々な種類があり、例えば、「ダウ輸送株20種平均」「ダウ公共株15種平均」などがあります。その中で最も代表的なものが、「ダウ工業株30種平均」となっており、世界を代表する企業で構成されているNYダウは、ニューヨーク証券市場やナスダック証券市場で取引される30種類の銘柄によって構成されています。
例えば、iPhoneやスマートデバイスの先駆者であるアップルや、ハンバーガーチェーンのマクドナルド、Windowsや各種ソフトウェアを開発するマイクロソフト、航空機製造のボーイングなどは代表的なダウ構成銘柄です。
なお、「工業株」の名称は、指数算出開始当時に工業株を中心とした構成銘柄であったことのなごりであり、現在は金融業やサービス業など幅広い分野から構成銘柄が採用されているほか、定期的に銘柄の入替も行われています。
1-2 ETF(上場投資信託)の特徴
ETFとは、英語のExchange Traded Fundの頭文字をとったものであり、日本語では「上場投資信託」のことを指します。
上場投資信託は、市場に上場して取引される投資信託のことで、株式のように市場でリアルタイムに取引できるのが特徴です。また、成行や指値といった注文方法で、株式と同じように売買できます。
ETFが投資対象とするのはNYダウ指数だけではなく、日本国内の代表的指標である日経平均株価やTOPIX、JPX日経400などを対象としたETFもあります。また、レバレッジをかけられるタイプや、投資対象が下落するとETFが値上がりするインバースタイプのETFもあります。
他にも債券やREIT(不動産投資信託)、ゴールドや原油を対象とした先物型ETFもあるなど、投資戦略や好みによって様々な投資対象を探すことができます。
2 NYダウ連動ETFのメリット
それでは、NYダウ連動ETFを取引するメリットを確認していきましょう。
2-1 米国の有名銘柄に少額・分散投資できる
NYダウ連動ETFを購入すると、世界を代表する米国の30銘柄に分散投資ができます。株式投資で米国の個別株を30銘柄購入するには、それなりの手間や費用がかかる一方、NYダウ連動ETFは1口から購入できるタイプもあるため、少額から分散投資を実現できます。
例えば、NEXT FUNDS NYダウ30種ETF(1546)の取引所価格は37,200円(2021年7月21日時点の終値)で、1口から購入可能です。
NYダウは30銘柄で構成されているため、構成銘柄のうちの1社の株価が下がったとしてもリスクを分散できます。さらに、NYダウの構成銘柄はアメリカに限らず世界的に事業展開している企業が多いため、地理的なリスク分散も可能です。
このようにリスクを分散しながら投資できる点はNYダウ連動ETFの大きな強みです。
2-2 リアルタイム取引が可能
NYダウ連動ETFの取引は、通常の株式取引のように、指数の値上がり・値下がりを予想して、成行注文や指値注文で売買することが可能です。また、通常の株式取引のような、個別銘柄の検討・選定は不要となるため、仕組みを理解できれば、投資初心者の方でも取り組みやすくなっています。
また、株式取引と同様、信用取引でETFを取引することも可能です。そのためレバレッジをかけて大きなリターンを狙ったり、空売りも可能なので、NYダウが下落する局面にも利益を狙ったりすることができます。
取引で「買い」ではなく「売り」から入れる「空売り」は、株式市場やNYダウが下がると予想した際、NYダウ連動ETFを前もって空売りし、指数の下落後に買い戻すことで利益を得られます。市場が下降トレンドの際や、相場が不安定な時にも取引機会があります。
2-3 運用手数料が割安
NYダウ連動ETFの信託報酬は比較的安いのもメリットです。信託報酬とは、ETFや投資信託を保有することによってかかる費用であり、投資信託と比較すると割安です。
例えば、NYダウをベンチマークとする投資信託「日興-インデックスファンドNYダウ30(アメリカ株式)」の信託報酬は0.682%、「三菱UFJ国際-eMAXIS NYダウインデックス」の信託報酬は0.66%以内ですが、NEXT FUNDS NYダウ30種ETF(1546)の信託報酬は0.4950%となっています。
一方、ETFの購入手数料は基本的に必要ですが、投資信託は購入手数料無料のノーロード商品が多くなっているため、取引コストは総合的に判断することが大切です。
2-4 短期トレードに適している
投資信託は1日1回算出される基準価額によって取引するしかないため、短期売買に向きません。
一方、ETFは株式同様にリアルタイム取引を行える上、成行注文や指値注文が可能なため、出来高の多いNYダウ連動ETFは、短期トレードに適しています。
3 NYダウ連動ETFのデメリット
NYダウ連動ETFのデメリットは以下のとおりです。
3-1 指数の変動によって損失が発生する
NYダウ連動ETFは、NYダウを構成する30銘柄の値動きに伴って価格が変動します。そのため、株式同様、取引の状況次第では損失が発生することがあります。特に信用取引でレバレッジをかけていると、予想と逆の動きをする時は損失も大きくなります。
市場全体がリスクを警戒するような状況では注意が必要です。世界的な指標でもあるNYダウは、大きな値動きを見せることもあるため、思わぬ損失に見舞われるリスクがあります。
3-2 自動積立ができない
NYダウ連動ETFは、自動的に積立投資をすることができないのもデメリットです。NYダウをベンチマークとする投資信託を含め、投資信託では、一定期間ごとに積立金額を設定することで、自動的に購入を続ける積立投資ができます。積立投資は、将来の生活資金や子どもの教育資金を確保する際に、有力な候補となります。
一方、NYダウ連動ETFは、株式と同じく投資家の任意の判断で取引するため、自動的な積立投資を行うことが原則できません(ただし、証券会社によっては、株式累積投資など自動積立と同じような効果が得られる仕組みやサービスを展開している場合もあります)。
3-3 分配金を自動的に再投資できない
投資信託における分配金とは、株式における配当金のような金銭で、投資信託やETFを保有することによって投資家に分配されます。投資信託では、分配金が自動的に再投資される仕組みのものが多く、特に中長期の投資の際は便利です。
しかし、ETFの場合、自動的に再投資される仕組みはないため、投資家自身で管理する必要があります。そのため、分配金を同じETFに投資する場合、改めて注文しなければなりません。
3-4 上場廃止のリスクがある
株式個別銘柄の上場廃止と異なり、ETFの上場廃止は頻繁にあるわけではないのですが、運用会社の申請によって上場が廃止され、取引できなくなるリスクもあります。
なお、ETFが上場廃止となった場合、繰上償還規定が定められていれば、購入口数に応じて信託財産が返還されます。
4 NYダウ連動ETFの主な銘柄
ここでは国内証券会社を通じて取引できるNYダウ連動のETF銘柄を3つご紹介します。
※2021年7月22日に調査した情報となります。また実際の投資に際しては、ご自身で情報を確認した上、ご自身の責任において最終的にご判断ください。
4-1 1546 NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信
純資産総額 | 約243億円 |
管理会社 | 野村アセットマネジメント |
取引単位 | 1口 |
信託報酬(税込) | 0.4950% |
分配金支払基準日 | 毎年8月10日 |
野村證券系の野村アセットマネジメントが運用するNYダウ連動ETFです。国内資産運用会社が管理するNYダウ連動ETFとしては、純資産総額が最も大きい点が強みです。
4-2 1679 Simple-X NYダウ・ジョーンズ・インデックス上場投資
純資産総額 | 約43億円 |
管理会社 | シンプレクス・アセット・マネジメント |
取引単位 | 10口単位 |
信託報酬(税込) | 0.55% |
分配金支払基準日 | 毎年12月6日 |
金融サービス大手シンプレクスグループのNYダウ連動ETFです。上場日は2009年12月10日と、国内資産運用会社のNYダウ連動ETFとしては最長の歴史となっています。
4-3 DIA SPDR ダウ工業株平均ETF
純資産総額 | 約300億ドル |
管理会社 | ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ |
取引単位 | 1口単位 |
信託報酬(税込) | 0.16% |
分配金支払基準日 | 年12回 |
アメリカの資産運用大手ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)が管理するNYダウ連動ETFです。SSGAは上場投資信託SPDRシリーズを手掛けており、「DIA SPDR ダウ工業株平均ETF」も同シリーズの1つです。ドル建てでの運用となる点や、毎月の分配金などが特徴となります。
まとめ
NYダウ連動ETFは、世界の主要な株価指数であるNYダウに手軽に投資することができ、グローバルな30銘柄に分散投資できます。国内証券会社を通じて投資できる上、信用取引でレバレッジをかけてETFを購入したり、空売りしたりすることも可能です。
一方で、NYダウ連動ETFの取引では損失が発生するリスクもあります。NYダウ指数やETF各銘柄の特徴・手数料などについて、事前に調べておくとともに、NYダウ連動ETFの取引に伴うリスクについてしっかりと理解することが大切です。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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