30代の投資デビューに適した投資と主なサービスは?メリット、リスク比較も

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最近は貯蓄だけで老後資金を準備することが難しく、投資による資産形成も必要です。特に30代は社会人になってから資金面などでゆとりの出てくる年齢でもあるので、金融商品の種類をしっかり把握した上で投資デビューを果たすと、将来必要なお金を効率良く作ることができます。

この記事では30代で投資を始める理由、メリット、リスク、投資デビューに向いた金融商品を詳しくご紹介します。投資を始めてみたい方、老後の備えを今から作りたい方は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・サービスへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2021年11月19日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 30代で始める投資とは
    1-1.30代の投資実態
    1-2.30代の投資はライフプランに合わせることが重要
  2. 30代で始める投資のメリット・リスク
    2-1.老後を見据えて長期間運用できる
    2-2.少額から将来必要なお金を作れる
    2-3.投資の知識・教養が身につく
    2-4.損失リスクがある
    2-5.取引コストで運用益が圧迫される
    2-6.ライフプランが予定通りに進まないこともある
  3. 30代の投資デビューに向く金融商品
    3-1.投資信託
    3-2.国内株式
  4. まとめ

1 30代で始める投資とは

最近は少子高齢化などに伴い、老後の生活資金をどう確保しておくかが課題になっています。総務省の公表した2017年の家計調査データによると、高齢夫婦の平均収入は平均支出を下回っており、この状態が30年間続くと老後に2,000万円以上が必要になるという試算もよく目にするようになっています。

そのため、全ての人が必ずしも老後に2,000万円の貯蓄を必要とするわけではないものの、将来もらえる年金や支出、家族構成などを考慮した上で老後資金を明らかにし、確保する取り組みが求められるようになってきています。

しかし、最近は、年を経るごとに給与が増える年功序列の賃金体系ではなくなっており、また預貯金の利息も超低金利なので、預貯金では効率的な資産形成は望めません。そこで検討が必要になるのが株式投資や投資信託などの資産運用です。

1-1 30代の投資実態

一般的に30代は資産運用に回せる余裕も出てくる年齢ですが、実際に投資を実践できている方は多くありません。以下は日本証券業協会が実施した平成30年度証券投資に関する全国調査を一部抜粋した表です。

証券投資に関する全国調査概要

(カッコ内は全体に占める割合)

項目 全体 株式 投資信託 預貯金
30代男性 532人 63人
(11.8%)
39人
(7.3%)
488人
(91.7%)
30代女性 521人 24人
(4.6%)
23人
(4.4%)
493人
(94.6%)
合計 1,053人 87人
(8.3%)
62人
(5.9%)
981人
(93.2%)

日本証券業協会は、年代別にどのような金融商品を保有しているかなどを3年おきに調査しています。その中から30代の男女に分けて、株式、投資信託、預貯金の保有割合を抜き出した表です。

株式や投資信託などの金融商品を保有している30代の割合は男性が女性より多いものの、株式投資は男性11.8%、女性4.6%、投資信託は男性7.3%、女性4.4%と全体的に1割以下です。

30代の男女全体でも株式の保有割合が8.3%、投資信託は5.9%となっており、同年代の預貯金を保有している方の93.2%と比べてもかなり低く、預貯金と比べて投資をしている人の割合が少ないことを示しています。

1-2 30代の投資はライフプランに合わせることが重要

30代で投資を実践できている方が少ない理由の一つに、様々なライフイベントが影響を及ぼしていることが挙げられます。以下は、厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査」を基にまとめた各年代の平均貯蓄額と平均借入額です。

各年代の平均貯蓄額と平均借入額

項目 29歳以下 30代 40代 50代 60代
平均貯蓄額 179.8万円 530万円 650.9万円 1,075.4万円 1,461.7万円
平均借入額 248万円 1,071.1万円 1,002.7万円 546.8万円 213.6万円

30代の平均貯蓄額は530万円であり、29歳以下の平均貯蓄額179.8万円と比べて約3倍に増え、資金的な余裕が出ていることがわかるものの、平均借入額は1,071.1万円と29歳以下の248万円と比べて増額しているので、30代の多くが投資よりも借入金の返済や貯蓄を選択している状況です。

特に、30代は結婚や出産、住宅購入などの大きなライフイベントを控えているため、多くの資金が必要となり、投資に踏み切れない理由の一つとなっています。

しかし、貯蓄として保有している資金は、ほとんど利息の付かない預貯金に回されている状況です。そこで、預貯金のうちの一部を貯蓄よりも利回りの高い投資に回すと、将来必要なお金も作りやすくなります。

ただし、金融商品などを購入すると、現金が急に必要になった場合、すぐに換金できないこともあります。そのため、様々なライフイベントを見据えた上で、自分に合わせた投資計画を立てることが重要です。

2 30代で始める投資のメリット・リスク

30代で始める投資のメリットやリスクについて確認してみましょう。

2-1 老後を見据えて長期間運用できる

30代から投資を始めると長期間投資できる点が大きなメリットになります。投資を行う際は、「何年後にいくらの資金が必要」と目標を具体的に定めることが大切ですが、若いうちに投資を始めることで、余裕を持った投資戦略を立てることが可能です。

また、運用で得られた分配金・配当金などは、再び投資に回すことで元本を大きくする複利効果を生み出します。これにより、投資期間が長いほど運用益を期待できる点も長期間投資できることのメリットです。

2-2 少額から将来必要なお金を作れる

30代から投資を始めることで、40代・50代から始めるよりも少ない投資金額で目標を達成できます。例えば、目標金額が1,000万円の場合、10年で達成するためには毎年100万円を捻出する必要がある一方、20年だと毎年50万円で済みます。このように、早いうちから投資を始めることで少額から無理なく投資計画を立てることが可能です。

2-3 投資の知識・教養が身につく

投資は1年や2年などの短期間で結果を求めることが難しく、10年や20年などの長期間継続することで期待する結果を得やすくなります。そのため、若いうちから投資の知識を身に付け投資経験を積むことで、その後の投資をアドバンテージをもって進めることが可能です。

特に、年齢を経ると退職金など大きな資金を投資する機会も増えてきます。このような場面では、若いときから蓄積した知識や経験が役立ちます。

2-4 損失リスクがある

投資は預貯金と異なり、元金が減るリスクを伴います。時には予測できないような市況の変化などで大きな損失が発生することもあります。

しかし、このような場合でも焦らずに目標期間内で目標金額を達成できるような投資計画に見直すことが重要です。30代など早いうちから投資を始めていると、リカバリーする時間的な余裕もあるので、焦らずに投資を継続することが重要になります。

2-5 取引コストで運用益が圧迫される

取引手数料や税金などの運用コストで利益が圧迫される点は、そこまで多くの資金を投資に回せない30代にとってリスクの一つです。

例えば、株式を取引する場合は売買手数料、投資信託では信託報酬などが取引コストとして発生します。これらのコストが大きくなると運用益が出ても手元に残る資金が少なくなるため、手数料負担を極力抑えられるネット証券会社の利用や手数料の少ない金融商品選びが重要なポイントになります。

2-6 ライフプランが予定通りに進まないこともある

30代が投資を行うリスクとして、計画していたライフプランが予定通りに進まない可能性もあります。例えば、事故や病気でしばらく働けなくなったり、失業したりするなど予期しない出来事が起こり得ます。このような想定外の出費が増えれば、投資に回す余裕も無くなり、投資計画の見直しも迫られます。

また、投資に多くの資金を割いていると、必要な時に現金をすぐに用意できない場合もあるため、投資と預貯金のバランスに気を付けて投資計画を立てておくことが大切です。特に、30代は様々なライフイベントが発生するため、突発的な支出などに備えて預貯金などに多少の余裕を持たせる工夫が必要です。

3 30代の投資デビューに向く金融商品

こちらでは、30代の投資デビューに向く金融商品について確認してみましょう。

3-1 投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金を運用のプロが様々な商品に投資してくれる金融商品で、投資対象となる商品は株式、債券、株価指数、金・プラチナなど多岐にわたります。

投資信託はプロに運用を任せられる点が大きな特徴です。投資信託の価格は、1日1回算出される基準価額で決まり、例えば、好調な経済成長の続く米国株式ファンドや先進国ファンドを購入すると、保有しているだけでその恩恵を受けることができます。

また、投資信託の投資先は複数資産に分かれているので、一つの投資信託を購入することで分散投資の効果を得ることができます。さらに、1万円程度の少額から投資できるのもメリットで、証券会社によっては毎月1,000円から積立で購入可能です。

一方、投資信託のデメリットは、株式投資と比べて取引コストが高めな点です。最近は「ノーロード型」と呼ばれる購入時手数料無料のファンドが多いものの、投資信託の運用管理にかかる費用は信託報酬として投資家が負担することとなります。

信託報酬は購入する投資信託によって異なりますが、高い銘柄だと1〜2%程度を負担する場合もあります。そのため、運用益をしっかり確保するためには、信託報酬の少ない投資信託選びなども必要になってきます。

なお、投資信託は「NISA」や「つみたてNISA」などの税制優遇制度を利用することで、運用益に税金がかかることなく資産形成を図ることも可能です。

NISAは年間120万円まで、「つみたてNISA」は年間40万円まで投資に対する利益が非課税となるため、投資信託で資産形成を始めたいと考えている方はこれらの税制優遇制度の利用も検討候補になります。また、NISAは株式やETF等とも併用できます。

3-2 国内株式

多くの方が投資のイメージをしやすいのは、国内株式の取引です。株式とは企業が出資した投資家に発行する証券で、上場企業の株式は証券会社を通じて株式市場で売買することができます。

株取引は、企業の業績が好調なら配当金(=インカムゲイン)を受け取れるほか、保有している株式を買ったときよりも高値で売却できれば譲渡益(=キャピタルゲイン)を得られる点がメリットです。

また、株主優待を実施している企業もあり、株式を保有していることでその企業の商品や、割引券・宿泊券など銘柄に関連した優待券を貰うこともできます。

一方、国内株取引でリスクとなるのが、業績悪化などを要因とする急激な株価下落です。特に企業が倒産すると株価はゼロに等しくなることもあるため、売買する際は、相場や企業の財務状況・経営成績などを冷静に分析することが大切です。

なお、株式投資はハイリスク・ハイリターンの投資方法となるものの、投資デビューをする30代にとっては市況や会社の仕組みを学べる機会にもなります。

また、NISAを活用することで年間120万円までの取引から発生する利益を非課税とすることができるため、取引コストを抑えたい方にも適した金融商品です。

4 まとめ

投資期間は長いほど資産形成の計画を柔軟に立てることができるほか、少額投資から始めれば家計に及ぶ負担も少なくできます。そのため、資金的な余裕のある方だけでなく、結婚したばかりの30代の方や収入の少ない方でも、早い時期から投資を実践すると老後の資産形成を効率的に進めることができます。

しかし、預貯金と投資のバランスには気を付ける必要があり、場合によってはライフプランに合わせて投資戦略の見直しなども必要です。これらのことに気を付けながら自分に合った金融商品を検討してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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