iDeCoの始め方は?金融機関選びや銘柄選びなど手順に沿って解説

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iDeCoは、税制面での恩恵を受けながら、自身で貯蓄や資産運用を行える私的年金制度です。対象商品は、定期預金・年金保険・投資信託なので低リスクで運用できる一方、具体的な銘柄の選び方や、どの金融機関で口座を開くべきか知りたい方もいるのではないでしょうか。

この記事では、iDeCoの特徴や始め方、金融機関および銘柄の選び方、始める際の注意点について詳しく解説します。iDeCoの特徴を知りたい方や、iDeCoの始め方を調べている方は参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2022年6月16日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. iDeCoとは
  2. iDeCoの始め方
    2-1.銘柄を選ぶ
    2-2.金融機関を選ぶ
  3. iDeCoの注意点
    3-1.60歳にならないとお金を引き出せない
    3-2.運用銘柄によっては損失リスクがある
    3-3.手数料負担は必須
    3-4.収入が無いと所得控除の恩恵を受けられない
  4. まとめ

1 iDeCoとは

老後の生活保障、死亡や障害に対する保障目的などで国から支給を受けられる年金の種類には、「公的年金」と「私的年金」の2つの制度が存在します。公的年金は、国に運営管理されている年金制度であり、国民年金や厚生年金などが該当します。

一方、私的年金とは、公的年金で受けられる保障額に上乗せさせる目的で加入する制度です。中でもiDeCoは、自身が拠出した掛金を自ら運用して資産形成をしていく私的年金制度となっています。

また、iDeCoは所得控除も受けられます。iDeCoで拠出した掛金は、全額所得控除の対象となるため、毎年の所得税額を減らすことができます。iDeCoの運用で発生した利益も全額非課税対象となり、NISA口座で運用した時と同様の恩恵を受けられます。さらに、拠出金を受領する際にも税制面で優遇されるのが特徴です。

2 iDeCoの始め方

iDeCoを始める場合、最初に加入条件の確認が必須です。iDeCoには、被保険対象者ごとに加入条件が設けられており、例えば、第1号被保険者の自営業者の場合、20歳以上60歳未満(60歳以上65歳未満で国民年金の任意加入者も含む)で、国民年金保険を納付していなければ加入できません。

また、第2号被保険者である会社員や公務員の場合、勤務先の企業において、企業型確定拠出年金に加入していると加入対象外になるケースがあります。農業者年金の被保険者の方は加入対象外です。

iDeCoの加入条件を確認した後は、毎月拠出する掛金額を決めます。iDeCoの掛金額は、月単位または年単位で設定できるようになっています。月単位の場合、最低掛金額は毎月5,000円で、1,000円単位で掛金額を設定可能です。

また、被保険者の保険加入区分によって、設定できる月々の掛金額の上限が設けられているため、その範囲内で毎月の掛金額を設定する必要があります。

月々の掛金額を決めたら、以下のポイントを参考に、運用する銘柄と口座開設を行う金融機関を選びます。

2-1 運用対象商品を選ぶ

iDeCoを始める場合、以下3つの金融商品の中から運用する商品を選ぶことになります。

商品の種類 商品の特徴
定期預金 事前に期間を決めた上で口座の預ける種類の預金。
年金保険 保険料名目で支払われた積立金額を基準に年金をもらえる商品。
投資信託 複数の投資家から集められた資金をまとめた上で、資産運用の専門家が各資産へ投資を行い、そこから発生した収益が投資家に分配される仕組みの商品。

iDeCoの運用対象商品は、「元本確保型商品」と「元本変動型商品」の2種類に大きく分けられます。元本確保型商品とは、運用中に原則として元本割れが起きない商品のことで、定期預金や年金保険などが該当します。

一方、元本変動型商品は、運用中に価格が変動することで元本価格が増えたり、減ったりする商品であり、投資信託などが該当します。

iDeCoの利用目的が貯蓄や所得控除の場合、元本確保型商品に該当する定期預金・年金保険が向いています。元本確保型商品を選ぶ場合、拠出合計額からほとんど増えないものの、同時に減ることもありません(手数料を考慮しない場合)。それにより、所得税額控除分のメリットが運用による含み損のデメリットと相殺されることもなく、税制優遇を受けられるのが特徴です。

一方、所得控除を受けながら将来必要な資金を作りたい場合、元本変動型商品の投資信託が向いています。投資信託は運用中に価格変動リスクが生じますが、その分、定期預金や年金保険よりも大きなリターンを期待できます。また、拠出による所得税額控除だけではなく、運用益も非課税対象となるため、その分、受けられる税制優遇の範囲も広くなります。

このようにiDeCoの利用目的を照らし合わせた上で、元本確保型商品と元本変動型商品のどちらが適しているかを検討し、運用対象の商品を選択することが大切です。

元本変動型商品を選ぶ方法

iDeCoの運用対象商品のうち、元本確保型商品の定期預金や年金保険は取扱数や種類も少ないため選びやすい一方、元本変動型商品の投資信託には様々な種類の商品があるため、どの銘柄を運用対象商品に選択すればよいのかで迷うこともあります。

投資信託には、主に以下の5つの種類があります。

組入資産 商品の具体的内容
国内株式 日本国内の株式銘柄が投資対象資産になっている投資信託。
国内債券 日本国内の債券銘柄が投資対象資産になっている投資信託。
海外株式 海外の株式銘柄が投資対象資産となっている投資信託。
海外債券 海外の債券銘柄が投資対象資産となっている投資信託。
バランス型(資産複合型) 国内外の株式、債券など、複数種類が投資対象資産になっている投資信託。

上記5種類の投資信託の中で、国内外の債券とバランス型は、運用リスクの比較的低い商品です。国内債券の投資信託は金利変動によるリスクが生じるものの、価格の値動きは小さいのが特徴です。

海外債券の投資信託は、金利変動リスクの他に為替変動リスクも生じますが、値動き自体は国内債券の投資信託と同様に緩やかです。また、バランス型の投資信託の組入資産には国内外の債券が含まれているため、その分、運用リスクを抑えられます。

資産運用の未経験者や低リスク運用を目指したい場合、国内外の債券またはバランス型の投資信託が向いています。

一方、国内外の株式は債券と比較して価格変動幅が大きいため、高いリターンを期待できる反面、運用リスクも高くなります。また、海外株式が含まれる投資信託の場合、価格変動リスクのほか、為替変動リスクも生じるため、運用リスクはさらに高くなります。

リスク許容度が高く、大きなリターンを狙いたい方は、国内外の株式を運用対象とした投資信託が向いています。

2-2 金融機関を選ぶ

2018年5月に確定拠出年金法が改正され、各金融機関がiDeCoの運用商品として提供できる数の上限は35と定められました。その影響により、各金融機関が提供するiDeCoの運用商品も20~30程度と多くないため、運用方針に適した銘柄を取り扱っている金融機関を選ぶことがポイントです。

また、投資信託を運用対象商品にする場合、運用時に発生するコストも考慮する必要があります。同じ銘柄でも、取り扱う金融機関によって手数料が異なるケースもあるほか、投資信託の運用は手数料が低ければ低いほど、その分、銘柄の運用者にとって利益となります。

このほか、運営管理手数料を確認した上で、最終的に金融機関を選ぶことも大切です。iDeCoを始める場合、主に以下の手数料が発生します。

名称 金額 説明
加入時手数料 2,829円(初回のみの支払い) iDeCo加入時に国民年金基金連合会へ支払う手数料
加入者手数料 105円(掛金拠出1回につき) 掛金拠出時ごとに国民年金基金連合会へ支払う手数料
運営管理手数料 金融機関によって異なる iDeCoのサービス提供を行っている金融機関に対して支払う手数料
事務委託手数料 66円(1ヶ月につき) 事務委託を受けてiDeCoの資産管理を行う信託銀行へ支払う手数料

上記手数料のうち、国民年金基金連合会へ支払う加入時手数料と加入者手数料、信託銀行へ支払う事務委託手数料は、どの金融機関を利用しても変わりませんが、運営管理手数料は、利用する金融機関によって金額が異なります。

店舗型の銀行の場合、基本的に1ヶ月数百円単位の手数料が発生します。これに対して、ネット証券の場合、運営管理手数料無料となっている場合もあります。

運用開始時や途中で発生するコストを少なくすれば、運用効率をより高めることができるので、運営管理手数料のなるべく少ない金融機関を選択しましょう。

3 iDeCoの注意点

iDeCoは、低リスクで老後の資産形成を図れる私的年金制度ですが、引き出しに関する年齢制限や元本毀損リスクに注意することも大切です。詳しく確認してみましょう。

3-1 60歳にならないとお金を引き出せない

iDeCoは、原則60歳に満たなければ拠出した掛金や運用益を引き出すことはできません。iDeCoの給付方法は、原則60歳以降で受け取れる「老齢給付金」、法が定める障害の状態になったときに受け取れる「障害給付金」、加入者が亡くなった時に遺族が受け取れる「死亡一時金」の3種類です。

まとまった資金が急に必要になった時などは対応できない可能性もあるため、iDeCoに拠出する掛金額は、老後まで使用予定のない余裕資金の範囲内で決めること等が大切です。

3-2 銘柄によっては損失リスクがある

iDeCoで運用できる銘柄のうち、投資信託は損失リスクのある商品です。相場状況や銘柄によっては、元本が毀損する可能性もあります。

一方、元本確保型商品の定期預金や年金保険で運用する場合、基本的に掛金額の損失リスクはありません。しかし、インフレが生じるとお金の価値が下がり、掛金の実質的な資産価値も目減りする可能性がある点には注意も必要です。

3-3 手数料負担は必須

iDeCoを始める場合、手数料の負担は必須となります。運営管理手数料無料の金融機関を選ぶことも可能ですが、加入時手数料や加入者手数料等は必ず負担することになります。老後資金を作るためにiDeCoを始めても、運用状況によっては手数料負けとなる可能性もあるので、銘柄選びや金融機関選びは慎重に行う必要があります。

3-4 収入が無いと所得控除の恩恵を受けられない

iDeCoへ拠出した掛金は全額所得税控除の対象になりますが、例えば専業主婦などの無収入の方は所得税や住民税を支払っていないので、iDeCoを始めても所得税控除の恩恵を受けられません。

そのため、専業主婦や退職者など無収入の方は、元本確保型商品を選ぶよりも、複利効果による利益を得られたり、運用益が非課税となったりする投資信託の元本変動型商品で長期運用するほうが適している場合もあります。

まとめ

iDeCoは、拠出した掛金を運用して資産形成を行える私的年金制度であり、老後生活の資金不足を補う役割が期待されています。iDeCoを始める場合は、掛金設定額の決定、運用対象商品銘柄や利用する金融機関の選択などが重要なポイントになります。

一方、元本変動型商品では、元本が毀損するリスクや、iDeCo運用時の手数料を考慮することが大切です。iDeCoを始める際は、特徴や仕組みをよく理解した上で、投資目的に合った銘柄や金融機関を検討してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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