米国企業のIPO株を買う方法は?購入するメリットと注意点も

IPOは、日本と同様に米国でも人気が高くなっています。日本のIPOは個人投資家も参加することができますが、米国では公募価格でIPO銘柄を購入できるのは機関投資家と一部の富裕層に限られています。

しかし、個人投資家も徐々にではありますが、IPOに参加できるような環境が整いつつあります。オンライン取引所アプリのロビンフットは、「IPOアクセス」という個人投資家が新規公開株をIPO価格で購入できるプラットフォームを公開しました。まだ銘柄数は少ないのですが、対象銘柄が増えれば個人投資家への門戸が広がる可能性があります。

今回は、日本在住の日本人投資家が米国企業のIPO銘柄を購入する方法について解説します。

※この記事は2021年6月18日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 米国企業のIPO株を買う方法
    1-1.寄付き後に投資する
    1-2.IPO株のETFに投資する
  2. 米国IPO株を購入するメリット
    2-1.売却益が得られる可能性がある
    2-2.成長力のある企業に投資できる
  3. 米国IPO株を購入する上での注意点
    3-1.取引時間が日本時間の夜中
    3-2.為替の動きにも注意
  4. まとめ

1.米国企業のIPO株を買う方法

残念ながら現時点では、日本国内在住の日本人が米国企業のIPO銘柄を公募価格できる可能性は低い状況です。日本人が米国企業のIPOに参加できるのは、セカンダリー市場(初値後の市場)です。

1-1.寄付き後に投資する

日本の個人投資家が米国のIPO銘柄に投資する場合は、初値が付いた後となります。現在IPO銘柄の多くは機関投資家に販売されており、一部富裕層を除き個人投資家は公募価格で購入することが困難です。

下表は、最近上場した4銘柄の公募価格と初値、直近終値、上場来の高値、安値です(価格はUSD)。

銘柄 公募価格 初値 直近終値 高値 安値
センテッサ・ファーマシューティカルズ 20.00 20.25 24.91 26.90 20.00
コンベイ・ホールディング・ペアレント 14.00 14.00 12.20 14.29 12.08
ライエル・イミュノファーマ 17.00 18.75 16.20 18.90 14.99
ウォークミー 31.00 31.25 29.06 31.64 27.25
フィッグス 22.00 28.30 36.40 38.50 28.25

いずれの銘柄も公募価格を上回る水準で寄り付きましたが、初値で購入した場合は5銘柄中3銘柄が初値を下回っています。一方、5銘柄全て高値が初値を上回っています。フィッグスの株価は初値よりも28%上昇しています。フィッグスは下限レンジ16ドル、上限レンジが19ドルでしたが、人気銘柄のため公募価格が22ドルに決まりました。このことから、IPO銘柄に参加する場合は、人気が高い銘柄を選ぶと高い投資効率が期待できると考えられます。

日本で米国のIPO銘柄を寄付き直後に取引できる証券会社には楽天証券が挙げられます。1株から米国IPO銘柄に投資が可能です。注意点は、注文の受付は初値確認後となってしまうため、寄付きを買うことはできない点です。

また、IPOの値付け直後は株価が大きく動きやすいため、いくらで購入するかを確認の上で発注するようにしましょう。

1-2.IPO株のETFに投資する

米国のIPOに参加する方法として、IPO銘柄を投資対象とするETFに投資する方法もあります。ルネサンスIPOというETFで、現在63銘柄で構成されており、ズームやリフト、コインベースなども指数に組み入れられています。このETFに投資することでIPOの代替投資が可能です。

個別銘柄のような大きな価格変動は期待できませんが、2020年1年間のパフォーマンスはナスダック指数の43.64%に対し、107.88%と好成績でした。個別銘柄にこだわらない方にはETF投資も選択の一つです。

2.米国IPO株を購入するメリット

米国のIPO銘柄には以下のようなメリットがあります。

2-1.売却益が得られる可能性がある

IPO銘柄の強みは、値上がり期待です。個人投資家は公募価格でIPO銘柄を購入することが困難なため、初値水準で投資をすることで収益を期待できます。

例として、ルネサンスIPO構成銘柄(63銘柄)を初値で購入し、執筆時点(2021年6月18日)まで保有していた場合のパフォーマンスを検証しました。結果、18銘柄の株価が2倍以上に上昇し、最大の上昇率はFiver International Ltdの771%でした。この銘柄の公募価格は21ドル、初値が26ドル、現在226.69ドルです。ルネサンスIPOの構成銘柄(63銘柄)を初値で購入した場合の平均上昇率は81.47%という結果です。

初値を下回っている銘柄は19銘柄で、その平均はマイナス28.47%です。マイナス幅が最も高い銘柄はAbCellera Biologics Incのマイナス61.98%です。

また、外国株は証券会社によっては1株から投資が可能なため、上場直後の銘柄をコツコツと購入する方法も取れます。

2-2.成長力がある企業に投資できる

IPO投資は、成長企業に投資できることもメリットです。アップルもかつては新興市場の銘柄でした。IPO銘柄の中には、現在のFAANGやマイクロソフトのように、将来大きな成長が期待できる銘柄があります。

アップルは、1980年12月にIPO価格22ドルでナスダックに上場しました。その後、5回の株式分割を繰り返し、現在1株が224株に増えています。株価は130ドル前後なので、当時1株を22ドルで購入していたら、現在29,120ドルと約1,320倍の金額になっています。

マイクロソフトも同様です。1986年3月に上場、IPO価格は21ドルでした。その後、9回の分割を繰り返し、1株が288株に増え株価は265ドルです。21ドルが3,634倍の76,320ドルになっています。

フェイスブックは、IPO価格が高い水準だったため、初値がIPO価格(38ドル)を下回る36.53ドルでしたが、その後の株価は順調に上昇し現在340ドルです。

今後もこれらの銘柄のような、成長性の高いIPOに投資することで将来的に大きな資産を築き上げることができる可能性があります。

3.米国IPO株を購入する上での注意点

米国のIPO銘柄を購入する際の注意点も解説します。

3-1.取引時間が日本時間の深夜

米国市場は日本の深夜に動きます。時差のため日本人にとっては不利な市場といえます。また、参加できるタイミングが寄り付き以降になるため、参加する場合は眠気に耐えながら寄り付きまで待つ必要があります。また、寄り後は価格が大きく変動するため、購入価格にも注意する必要があります。

3-2.為替の動きにも注意

円で投資する場合には、ドル円の動きにも注意する必要があります。為替の変動は個別株の価格変動より小さいものの、円投資の場合にはドル円の動きにも注意する必要があります。米国株を購入する際のベストタイミングは、株価が下落、為替が円高の時です。一方、売却は株高で為替が円安の時です。

まとめ

日米ともにIPO株は人気ですが、米国IPO銘柄はまだ個人投資家に門戸が十分解放されていません。オンライン取引所アプリのロビンフットは、「IPOアクセス」という個人投資家が新規公開株をIPO価格で購入するプラットフォームを公開したばかりです。

日本から米国IPOに参加する場合はIPO銘柄が寄り付いてからとなります。代替としてIPO ETFが取引されているため、IPOに参加したい場合にはETF投資も選択肢の一つです。

第2、第3のアップルやマイクロソフトのような銘柄が、今後も上場する可能性があります。FAANG銘柄のように業界のコアとなりそうなIPO銘柄へ初値後に投資し、そのまま長期保有することでアメリカンドリームを手に入れることができる可能性もあります。

ただし、IPO銘柄は値動きが激しく、また大手企業と比べて経営状況が不安定な企業が多いため、ダウンサイドリスクも高いと言えます。また日本から米国株を購入する場合は為替リスクも考慮する必要があるため、売買をする際には注意しましょう。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。