イーサリアム2.0のステーキングプールを提供するStakehoundが、顧客の資産を管理するための秘密鍵を紛失したことを6月22日に明らかにした。実際には、Stakehoundが資産の管理を委託していたカストディ企業Fireblocksが秘密鍵を紛失したと主張している。
Stakehoundは、イーサリアム2.0における8.8%のステークポジションを持つ大手ステーキングプールだ。イーサリアム2.0では、最低32ETHからステークが必要となるが、小額からステーキングに参加したい人のためにStakehoundのようなステーキングプールが提供されている。
現時点で、イーサリアム2.0にステークされたETHの総額は約600万ETH(1兆円強)となっており、全体の8.8%となると1,000億円を超えることになる。そのため、Stakehoundは外部のカストディ企業であるFireblocksに資産の一部を預けていた。
今回の紛失は、FireblocksがStakehoundから預かっていた資産を管理するための秘密鍵が対象となっている。その額は38,178ETH(約80億円)にのぼるという。Stakehoundは、Fireblocksを相手に訴訟を起こしたことを公表した。
具体的には、FireblocksがStakehoundの資産を管理する秘密鍵のバックアップキーを取らずに削除したことが原因とされている。これに対してFireblocksは、Stakehoundとの契約にはバックアップキーの生成義務が含まておらず、Stakehound側の主張には根拠がないとした。
また、秘密鍵のマスターキーは顧客側で管理するものであり、仮にFireblocks側の秘密鍵を紛失したとしても顧客側のマスターキーには影響はないという。
なお、Fireblocksからの秘密鍵紛失が通知されたのは5月2日にことであるとされており、発表までに1ヶ月以上の期間を要したのは訴訟対応などを進めていたことが関係しているようだ。訴訟の結果次第では、秘密鍵を管理するカストディ企業のあり方を再定義する一件となるだろう。
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【参照記事】Fireblocks ETH 2.0 Key Management Incident
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