海外ETFは銘柄数の選択肢が多く、少額からでも資産運用ができる金融商品です。ただ、海外ETFがどんなものなのか、馴染みがない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、海外ETFの仕組みや特徴、メリット・デメリットなどについて解説したいと思います。
目次
- 海外ETFとは?
1-1.海外ETFの特徴 - 海外ETFのメリット
2-1.銘柄数が多く選択肢が広い
2-2.手軽に分散投資ができる
2-3.投資信託よりコストを抑えられる
2-4.自由なタイミングで取引できる - 海外ETFのデメリット
3-1.国内ETFよりも売買手数料が高い
3-2.為替リスクがある
3-3.分配金の再投資は自分で行なわなければならない - 海外ETFを購入する方法
4-1.海外ETFを購入できる場所
4-2.海外ETFの購入手順 - まとめ
1.海外ETFとは何か
まずETFというのは、「Exchange Traded Funds」の略称で、証券会社に上場している投資信託のことをいいます。海外ETFは、海外の証券取引所に上場している投資信託のことをいい、海外のインデックス(=さまざまな指数)をベンチマークとして運用されます。
日本にも数多くのETFがありますが、海外で組成・運用されるETFを購入することも可能です。海外では日本とはまた異なる市場が形成されていることから、ポートフォリオや値動きなど、いくつかの部分において国内ETFとは多少異なる性質を持っています。
また、日本国内で購入することができる海外ETFは、米国ETFと新興国のETFとなります。メインとなるのは取り扱い数が多い米国ETFですが、中国やインド、東南アジアなどのETFも購入可能です。
1-1.海外ETFの特徴
海外ETFの特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 株式と同じように売買できる
- 米国ETFは数が多い
ETFは「上場投資信託」を表しており、投資信託自体が取引所に上場しています。通常の投資信託の場合、取引終了後に発表される基準価額を参考にして、1日1回だけ売買が行われます。ですが、ETFは株式と同じように、銘柄の値動きを見ながら、証券取引所の取引時間内に何度でも売買することが可能です。
また米国ETFは、国内ETFと比較して銘柄数が多いという特徴があります。日本の国内ETFの銘柄数は200前後ですが、米国ETFはその10倍近い銘柄数があります。
2.海外ETFのメリット
ここからは、海外ETFのメリットについて解説します。具体的には、以下のようなメリットがあります。
- 銘柄数が多く選択肢が広い
- 手軽に分散投資ができる
- 投資信託よりコストを抑えられる
- 自由なタイミングで取引できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.銘柄数が多く選択肢が広い
海外ETFのメリットの一つが、銘柄数が多く選択肢が広いということです。
先述したように、国内ETFと比較して、海外ETFの銘柄数は10倍近くに上ります。そのため、幅広い選択肢から自分好みの銘柄を探すことができます。また、海外ETFは株価指数に連動するもの以外にも、金や特定の商品の値動きに連動するものなど、さまざまなものに投資することが可能です。
2-2.手軽に分散投資ができる
海外ETFを購入することで、手軽に分散投資ができるというのもメリットといえます。
ほとんどのETFはベンチマークに連動するように、さまざまな銘柄を組み合わせて構成されています。そのため、一口購入するだけで複数の銘柄・資産に分散投資をしているのと同じ効果を得ることができます。
例えば、S&P500をベンチマークにしたETFを購入した場合、疑似的にS&P500全体の銘柄に少額投資を行っていることになるのです。分散投資によって投資リスクを軽減できるため、海外ETFの購入は個別資産に投資するよりも比較的低リスクな投資手法といえます。
2-3.投資信託よりコストを抑えられる
ETFは国内外の投資信託と比較して信託報酬が安いほか、購入時・売却時にかかる手数料も安いケースが多いため、コストを抑えられるというメリットもあります。
投資信託を購入する場合は、ファンドマネージャーが銘柄選定を行い、運用も代行してくれるため、投資家はその働きに対して信託報酬を支払う必要があります。しかし一般的な投資信託(アクティブファンド)と比べて、株価などの指数に連動するように投資を行うETFでは銘柄選定を行う手間などが少ないぶん、ファンドマネージャーにかかる人件費が安くなり、信託報酬も安く済むケースが多いというわけです。
またETFの売買は証券取引所を通じて行われるため、株式の売買と同様の手数料体系となります。通常の投資信託であれば、購入する金融機関によっては購入時・売却時に購入額の数%の手数料が発生することもありますが、ネット証券で海外ETFの売買を行えば、それより安価に済むケースも多くあります。
2-4.自由なタイミングで取引できる
自分の好きなタイミングで売買取引ができるというのもETFのメリットです。
通常の投資信託では、取引時間が終了した後に基準価額が算出されることになります。その価額を判断材料に、投資家は1日1回のみ取引をすることが可能です。一方で、ETFは証券取引所に上場しているため、その取引時間内であれば自由に売買取引を行うことができます。
株式の売買と同じように、値動きを見ながら自由なタイミングで売買できるため、取引がしやすい投資手法であるといえます。
3.海外ETFのデメリット
海外ETFの売買には、以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。
- 国内ETFよりも売買手数料が高い
- 為替リスクがある
- 分配金の再投資は自分で行わなければならない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.国内ETFよりも売買手数料が高い
海外ETFを取引するための売買手数料は、国内ETFよりも高く設定されているケースが多い、というのがデメリットとなります。仮に米国ETFを購入する場合、米国株を購入するのと同じような手数料が発生することになります。例えば、米国ETFを購入できるマネックス証券や楽天証券では、1取引あたり約定代金の0.495%(税込・2020年9月時点)が手数料として発生します。
ただし、NISA口座を活用したり、指定の海外ETFを購入したりすることで、買付手数料を無料にすることができるサービスもありますので、各証券会社の手数料体系をよく確認することが必要です。
3-2.為替リスクがある
海外ETFを売買する場合は、為替リスクが影響することもデメリットとなり得ます。
海外ETFは外貨建てで売買されるケースがほとんどです。そのため、日本円からETFを購入したい国の外貨に換金しなければなりません。もし円安の際に海外ETFを購入するならば、購入に必要な日本円が多く必要になります。また、海外ETFを売却する際に円高だった場合は、売買益が発生していても、換金によって利益が目減りしたり、損失へと転換したりする可能性があります。
一方、状況が逆の場合は、割安で海外ETFを購入できたり、利益が増えたりする可能性もあります。外貨建ての海外ETFには、このような為替リスクがあることを承知のうえで売買する必要があります。
ネット証券によっては、円建てで購入できるケースや、為替手数料を抑えられるケースもありますので、こちらもよく確認するようにしましょう。
3-3.分配金の再投資は自分で行わなければならない
投資信託における資産運用で資産を増やす場合に重要になるのは、発生した利益を再投資し、複利で運用資金を増やしていくことです。
ただし、海外物を含めたETFでは、分配金の再投資は行われませんので注意が必要です。ETFは、決算時の分配金を必ず投資家に支払う仕組みとなっているからです。
そのため、ETFに再投資を行いたい場合は、決算後に追加で買付を行わなければなりません。そのたびに買付手数料や為替手数料が発生しますので、注意しましょう。
4.海外ETFを購入する方法
最後に海外ETFを購入する方法について紹介したいと思います。とはいえ、外国株を購入する場合と大きな違いはありませんので、それほど難しくはないでしょう。
4-1.海外ETFを購入する場所
海外ETFを購入できるのは、取り扱いのある店舗型証券会社もしくはネット証券会社となります。近年では手数料が安く、手軽に取引しやすいネット証券の利用が伸びています。
海外ETFを購入できるネット証券では「マネックス証券」「楽天証券」「SBI証券」が豊富な品揃えをしています。いずれの証券会社も約300銘柄の米国ETFと、約30銘柄の中国ETFを取り扱っています(2020年9月時点)。
4-2.海外ETFの購入手順
海外ETFを購入する場合は、まず取り扱いのある証券会社に口座を開設する必要があります。あとは、通常の株式などと同じように証券会社を通じて、株式市場から海外ETFを購入する流れになります。
ただし、外国株取引と同じように、取引時間や外貨決済などについては理解をしたうえで取引するようにしましょう。
まとめ
今回は海外ETFの仕組みや特徴、投資をするメリット・デメリットについて解説しました。
株式と同じように取引できる海外ETFは、銘柄の選択肢が多く、手軽に分散投資ができるなどのメリットがありますが、取引手数料が高く為替リスクに影響を受けるなどのデメリットもあります。
海外ETFへの投資に興味がある方は、本記事も参考にしながら、事前に必要な知識を吸収してから投資を行うようにしましょう。
山本 将弘
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