新興国が対象のETFのメリット・デメリットは?主な銘柄も紹介

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新興国ETFは、日本やアメリカ、ヨーロッパなどの先進国ETFに比べるとリスクは高いものの、潜在的に高い成長率を背景に大きなリターンを期待できる上場投資信託です。ただし、新興国ETFは、先進国とは違って下落リスクや流動性リスクなどが高い銘柄もあるため、銘柄選びは慎重に行うことも大切です。

この記事では、新興国が対象のETFに投資したい方のために、新興国ETFのメリット・デメリット、注意点、代表的な銘柄を詳しくご紹介するので、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ETFとは
  2. 新興国ETFのメリット
    2-1.新興国のグローバル企業に分散投資できる
    2-2.大きなリターンを期待できる
    2-3.短中期投資にも適している
  3. 新興国ETFのデメリット
    3-1.下落リスクも大きい
    3-2.流動性が低い
    3-3.手数料の高い銘柄もある
  4. 主な新興国ETF銘柄6選
    4-1.新興国株インデックスETF
    4-2.中国株ETF
    4-3.韓国株ETF
    4-4.ロシア株ETF
    4-5.ブラジル株ETF
    4-6.インド株ETF
  5. まとめ

1 ETFとは

ETFとは、株式市場で取引可能な投資信託(上場投資信託)です。投資信託は1日1回しか取引できませんが、ETFは株の個別銘柄と同じく市場が開いている時間中であれば、株取引のようにリアルタイムで取引可能なのが特徴です。また、運用会社への手数料である信託報酬は、ETFのほうが投資信託よりも低い傾向があります。

さらに、投資信託は証券会社によって取扱商品が異なりますが、ETFは東京証券取引所に上場しているため、どの証券会社からでも全ての銘柄を取引することが可能です。

ETFには、日経平均やTOPIX、NYダウなどの相場指数(インデックス)に連動する金融商品があり、各ETFはインデックスを構成する複数の銘柄から構成されています。ETFを購入すると、それだけで分散投資を行えるのが特徴です。例えば、日経平均に連動するETFを購入すると、日経平均株価は日本株225銘柄から構成されているため、日本株225銘柄に分散投資したのと同等のポートフォリオを組むことができます。

中でも新興国ETFとは、中国やインド、ブラジル、ロシアなどのBRICs諸国や、韓国や台湾などの新興国の株式で構成されるETFとなっています。

2 新興国ETFのメリット

新興国ETFのメリットを見ていきましょう。

2-1 新興国のグローバル企業に分散投資できる

新興国ETFのポートフォリオは、成長著しい新興国のグローバル企業が中心となっています。新興国には、先進国企業の後を追うグローバル企業が続々と誕生しているため、新興国ETFを購入すると、新興国のグローバル企業に分散投資できます。

例えば、中国のIT大手BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)や、韓国のサムスン電子、台湾の世界的半導体企業TSMCなど、時価総額でトヨタ以上の規模となるグローバル企業が数多くあります。

2-2 大きなリターンを期待できる

日本を含む先進国の多くが少子高齢化による人口の停滞に苦しむ中、これから人口ボーナスを迎える新興国は成長が続くことが期待されています。さらに、新興国のインフラ整備は未熟なため、IT化が進む「リープフロッグ型発展」を遂げやすく、世界的なIT企業が生まれやすい土壌となっています。

先進国を上回る勢いで経済成長している国もあるため、新興国ETFには大きな値上がりを期待することができます。

2-3 短中期投資にも適している

ETF投資は、長期・分散投資をするのに向いていますが、新興国ETFは、大きな価格変動をしやすいハイリスク・ハイリターンETFなため、短期・中期投資と相性が良いのも特徴です。ただし、新興国ETFは値上がりと値下がりの波が大きいため、値上がりフェーズにあるときに保有しておき、上がり過ぎたら手放すなどの対策も大切です。

3 新興国ETFのデメリット

新興国ETFを取引する際に注意したいポイントも確認しておきましょう。

3-1 下落リスクも大きい

新興国は高い経済成長を遂げていますが、先進国に比べて経済や市場が未熟です。相場の価格変動が大きく、高リターンを期待できるものの、下落リスクも高くなります。

また、高い経済成長が株式市場と結び付かない場合もあり、新興国によっては株式市場の低迷が長引くケースもあります。

3-2 流動性が低い

新興国ETFは、取引量が少ないこともデメリットの一つです。取引量が少ない場合、買いたいときに買えず、売りたいときにすぐ売れない「流動性リスク」が生じます。

ETFや株の流動性は、銘柄の1日の売買代金や板の状態から確認することが可能です。例えば、1日の売買代金がほとんど無く、買い板や売り板がほとんど出ていない銘柄は、流動性が低いことを示しています。

新興国ETFを選ぶ場合は取引量にも注目し、各銘柄の流動性を確認することが大切です。

3-3 手数料の高い銘柄もある

ETFの運用で注意したいのが信託報酬などの手数料です。信託報酬とは運用管理にかかる費用であり、銘柄によって異なります。株価指数連動型ETFの信託報酬は比較的安い傾向にありますが、指数以上の成果を目指すアクティブ型ETF等の場合、手数料が1%を超えるタイプもあるので、留意しておきましょう。

4 主な新興国ETF銘柄6選

中国、インド、ブラジル、ロシアなどの代表的な新興国ETFをご紹介します(「信託報酬」「分配金利回り」については、日本取引所を参照しており、「直近5年間のパフォーマンス」については、2016年7月始値〜2021年7月15日終値で算出しています)。

4-1 新興国株インデックスETF

上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)

証券コード 1681
信託報酬 0.264%
利回り 1.36%
直近5年間のパフォーマンス +70.47%(1,094円→1,865円)
最低必要金額 18,650円

上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)は、代表的な新興国株指数「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」に連動する新興国株ETFです。このETFは、投資信託であるインデックスファンド新興国株式に投資するファンド・オブ・ファンズであり、組入上位銘柄は次の通りです。

組入上位銘柄 構成比率 銘柄の概要
アリババホールディングス 8.41% 中国のオンラインBtoB企業
テンセントホールディングス 6.41% 中国の世界的IT企業
TSMC 5.40% 台湾の世界的半導体企業
サムスン電子 3.52% 韓国の世界的な総合家電・電子企業
美団 1.96% 中国の生活関連サービス企業

東証に上場している新興国ETFとして代表的な銘柄で流動性も高く、アジアのグローバル企業を中心に構成されているのが特徴です。

4-2 中国株ETF

NEXT FUNDS ChinaAMC・中国株式・上証50連動型上場投信

証券コード 1309
信託報酬 0.93%
利回り 0.00%
直近5年間のパフォーマンス +99.00%(22,210円→44,200円)
最低必要金額 44,200円

NEXT FUNDS ChinaAMC・中国株式・上証50連動型上場投信は、上海証券取引所を代表する50銘柄で構成される株価指数「上海50指数」に連動する新興国ETFです。

組入上位銘柄は次のようになっています。

組入上位銘柄 構成比率 銘柄の概要
野村ChinaAMC China 50 ETFマザーファンド 92.20% 中国株ファンド
ニュー・ノムラ・チャイナ・インベストメント・ファンド―チャイナAシェアーズ・インデックス・ファンド 7.80% 中国株ファンド

中国株で構成されている新興国ETFの中では、取引量が最も多くなっており、代表的な中国株ETFです。直近5年間ではほぼ2倍という高い値上がり率となっていますが、分配金が出ないタイプである点に留意が必要です。

4-3 韓国株ETF

サムスンKODEX200証券上場指数投資信託[株式]

証券コード 1313
信託報酬 0.15%
利回り 1.30%
直近5年間のパフォーマンス +94.83%(2,189円→4,265円)
最低必要金額 42,650円

サムスンKODEX200証券上場指数投資信託[株式]は、韓国の代表的な200銘柄から構成される「KOSPI200 (韓国200種株価指数)」に連動する韓国株ETFです。韓国株で構成される新興国ETFの中では最も流動性のある銘柄です。

組入上位銘柄は次の通りです。

組入上位銘柄 構成比率 銘柄の概要
SamsungElec 32.96% 韓国の世界的な総合家電・電子企業
SK hynix 5.81% 韓国の半導体製造会社
Celltrion 3.41% 韓国の総合バイオテクノロジー企業
LGCHEM 3.33% 韓国の総合化学メーカー
NAVER 3.20% 韓国のIT企業最大手

サムスン電子が構成銘柄の3分の1を占めていることから、やや銘柄の偏りはあるものの、直近5年間のパフォーマンスは約2倍と高いリターンを記録しています。なお、この銘柄は海外ETFとなるため、外国証券取引口座の開設が必要になります。

4-4 ロシア株ETF

NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信

証券コード 1324
信託報酬 1.045%
利回り 4.38%
直近3年間のパフォーマンス +73.91%(92円→160円)
最低必要金額 16,000円(100口)

NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信は、ロシア・モスクワ取引所の株価指数「RTS指数」に連動するロシア株ETFです。高配当利回りのエネルギー企業を中心に構成されており、高い配当率が特徴です。

組入上位銘柄は、次の通りです。

組入上位銘柄 構成比率 銘柄の概要
GAZPROM PJSC 13.28% ロシアの世界最大の天然ガス企業
SBERBANK OF RUSSIA PJSC 13.26% ロシア最大の商業銀行
LUKOIL PJSC 10.98% ロシア最大の石油企業
MMC NORILSK NICKEL PJSC 7.83% ロシアのニッケル・パラジウム世界最大手
YANDEX NV-A 7.79% ロシアのインターネット企業

4-5 ブラジル株ETF

NEXT FUNDS ブラジル株式指数・ボベスパ連動型上場投信

証券コード 1325
信託報酬(税込) 1.045%
分配金利回り 0%
直近5年間のパフォーマンス +51.11%(133円→201円)
必要投資金額 20,100円

NEXT FUNDS ブラジル株式指数・ボベスパ連動型上場投信は、ブラジル・サンパウロ証券取引所の株価指数「ボベスパ指数」に連動するブラジル株ETFです。分配金込みのトータル・リターン指数であるため、分配金は0%となっています。

組入上位銘柄は、次の通りです。

組入上位銘柄 構成比率 銘柄の概要
VALE SA 11.83% ブラジルのエネルギー開発企業
ITAU UNIBANCO HOLDING S-PREF 6.39% ブラジル最大の銀行
PETROBRAS – PETROLEO BRAS-PR 5.80% ブラジルの石油企業
B3 SA-BRASIL BOLSA BALCAO 5.41% ブラジルの証券取引所
BANCO BRADESCO SA-PREF 4.98% ブラジルの大手銀行

4-6 インド株ETF

ETFNEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信

証券コード 1678
信託報酬 1.045%
分配金利回り 0.00%
直近5年間のパフォーマンス +70.49%(122円→208円)
必要投資金額 20,800円

NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信は、インド・ナショナル証券取引所の株価指数「Nifty 50指数」に連動するインド株ETFです。

組入上位銘柄は、次の通りです。

組入上位銘柄 構成比率 銘柄の概要
NIFTY先物 100.01% インド株先物

信託報酬(ETFの運用中にかかるコスト)は1%超と高いですが、直近5年間のパフォーマンスは70%超のプラスとなっています。東証では唯一のインド株ETFとなっており、流動性も最低限ある銘柄です。

まとめ

新興国ETFは、高いリターンが期待できる一方、下落リスクも高い金融商品です。銘柄によっては、「取引量が少ない」「信託報酬が割高」などのETFもあるため、選ぶ際は注意も必要です。個別の新興国に投資する場合は、中国株ETF、韓国ETF、ロシア株ETF、ブラジル株ETF、インド株ETFなどの複数銘柄でポートフォリオを構成するなど、さらなるリスク分散を図る対策も重要です。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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