新興国株式投資のメリット・デメリットは?主な新興国の特徴や商品も

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新興国とは経済が発展途上にある国や地域のことで、インフラもまだ十分に整っていないため、今後の経済発展が期待できます。経済発展とともに通貨や株価が上昇し、先進国の仲間入りができる国に投資することができれば、様々なメリットがあります。例えば高度経済成長期の日本のような国があれば投資する価値があります。

一方で、新興国株式に投資する場合のリスクには、為替と株価の2つがあり、特に為替リスクが高いため注意する必要があります。さらに、新興国といってもそれぞれの国・地域によってリスクは異なります。今回は新興国株式投資のメリット・デメリットと主な国の特徴や日本で購入できる具体的な商品について解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 新興国の株式に投資するには
  2. 新興国投資のメリット
  3. 新興国投資のデメリット
  4. 主な国の特徴
    4-1.ブラジル
    4-2.ロシア
    4-3.インド
    4-4.中国
    4-5.インドネシア
  5. まとめ

1.新興国の株式に投資をするには

新興国では、株式に直接投資できる国・地域もありますが、海外投資家の参入を制限している国・地域もあります。海外投資家の参入を制限している国への投資方法としては、ADR(米国預託証券)に投資し、米国市場を通して間接的に購入するということが出来ます。ADRに上場している企業は、米国証券取引所の厳しい上場審査を通過しているため、各国の優良企業が対象となります。

一方で、中国、ロシア、アセアン諸国、イスラエル等の株式市場は、外国人に開放されており直接投資できます。最近ではミャンマーの市場が開放され、他の国・地域でもこうした傾向が続くものと予想されます。

市場規模が大きい中国市場をみてみると、上海と深圳のB株、香港市場に本土と重複上場している銘柄が直接投資可能です。なお、上海A株についても銘柄の一部が外国人に開放されました。

こうした国・地域の株に投資できる証券会社には、ネット証券ではSBI証券や楽天証券などがあります。

SBI証券 ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、韓国、中国など
楽天証券 中国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアなど

個別銘柄よりインデックスに投資したい場合は、米国市場に上場しているETF、日本国内で販売されている投資信託を選択することもできます。なお、株式投資にともなう手数料は市場によっても異なるため確認する必要があります。

2.新興国投資のメリット

新興国の経済成長率は、先進国と比べ高いため、将来的な株価上昇による高リターンが期待できます。

経済成長性をみるうえで重要な「生産年齢人口」が増加している主な国・地域は、インド、南アフリカ、ブラジルです。これらの国・地域の平均年齢は日本の48.6歳に対し、インドが28.7歳、南アフリカが28歳、ブラジルが33.2歳となっています。

3.新興国投資のデメリット

新興国への投資はメリットがある一方で、大きなリスクが伴うことには注意が必要です。新興国の多くが一次産品への依存度が高いため、経済基盤がコモディディ価格の変動の影響を受けやすいことが挙げられます。また、市場の規模が小さいため通貨の変動が激しいこともデメリットの1つです。

特にインフレ率が高い国は、為替が下落基調にあるため、株価が上昇しても為替の下落により相殺されてしまうこともあります。為替が下落すると中央銀行は通貨を安定させるためにドル売り介入をします。

市場を安心させるだけの外貨準備高が積み上がっていれば問題ありませんが、外貨準備高の減少傾向に歯止めがかからないような場合、通貨安の傾向が続きます。通貨が売られると経済が混乱し株価が下落します。2020年現在のトルコがこの状況にあります。

4.主な国の特徴

2000年代以降著しい経済発展を遂げている4カ国としてBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の4カ国があります。これら4カ国と、同じく発展めざましいインドネシアについて、特徴や対象商品をみていきましょう。

4-1.ブラジル

ブラジルは名目GDP世界第9位で南米最大の経済規模の国です。コロナ対策について国内外から批判を受けていますが、経済は一部回復しており、通貨は底堅く推移しています。

名目GDP 6,889(10億レアル)
実質GDP成長率 1.3%
1人当たり名目GDP 9,001ドル
人口 2億849万人
平均年齢 33.2歳
輸入相手国 中国、米国
輸出相手国 中国、米国
輸入 原材料及び中間財57.9%
輸出 一次産品が49.7%、工業製品が36.1%
商品 iシェアーズMSCIブラジルETF
HSBCブラジルオープン

統計データ参照:JETRO「ブラジル‐基礎的経済指標(2018年)

4-2.ロシア

ロシアでは石油や天然ガスなど鉱物製品が輸出の約3分の2を占めています。そのため、石油や天然ガスの価格の変動が経済に大きな影響を与えます。

名目GDP 104,630(10億ルーブル)
実質GDP成長率 2.5%
1人当たり名目GDP 11,289ドル
人口 1億4,680万人
平均年齢 40.3歳
輸出相手国 中国、オランダ、ドイツ
輸入相手国 中国、ドイツ、米国
輸出 燃料等鉱物製品、鉄鋼、貴金属
輸入 機械類、医薬品、衣類
商品 iシェアーズMSCIロシアETF
ダイワ・ロシア株ファンド

統計データ参照:JETRO「ロシア‐基礎的経済指標(2018年)

4-3.インド

インドは東アジア諸国とは異なり、IT産業などサービス業が成長を牽引しています。現在、モディ政権によるヒンドゥー至上主義から混乱が起きています。世界第2位の人口を誇り経済成長率の高い国ですが貧富の差が拡大しています。

名目GDP 139,814(10億ルピー)
実質GDP成長率 6.1%
1人当たり名目GDP 2,036ドル
人口 13億3422万人
平均年齢 28.7歳
輸出相手国 米国
輸入相手国 米国、中国
輸出 石油製品、宝石類、機械機器
輸入 原油、石油製品
商品 iシェアーズMSCIインドETF
野村インド株投資

統計データ参照:JETRO「インド‐基礎的経済指標(2018年)」

4-4.中国

中国は世界第2位の経済大国ですが、香港やウイグル、台湾問題などのほか、アメリカとの経済対立のため経済成長が鈍化傾向にあります。

名目GDP(IMF統計) 13,368(10億ドル)
実質GDP成長率 6.7%
1人当たり名目GDP 9,580ドル
人口 13億9538万人
平均年齢 38.4歳
輸出相手国 米国、日本、韓国
輸入相手国 韓国、日本、米国
輸出 機械類及び輸送機器類
輸入 機械類及び輸送機器類
商品 iシェアーズMSCI中国大型株ETF
新成長中国株式ファンド
MAXIS中国株ファンド

統計データ参照:JETRO「中国‐基礎的経済指標(2018年)

4-5.インドネシア

インドネシアは世界第4位の人口を有するイスラム教国です。近年、中間層の所得が増加傾向にあるため消費が拡大傾向にあります。

名目GDP総額 1,112(10億ドル)
実質GDP成長率 5.0%
1人当たり名目GDP 10,276ドル
人口 2億6,691万人
平均年齢 31.1歳
輸出相手国 中国、米国、日本
輸入相手国 中国、日本、タイ
輸出 動物・植物性油脂等
輸入 電気機器等
商品 iシェアーズMSCIインドネシアETF
NNインドネシア株式ファンド

統計データ参照:JETRO「インドネシア‐基礎的経済指標(2018年)

まとめ

新興国への投資は大きなリターンが期待できる反面、高いリスクを伴います。運用資産はまず、先進国に振り分け、新興国への投資は最小限に抑えたほうがリスクを軽減できます。

なお、個別株に投資する場合はリスクを抑えるために大型株、インフラ関連、ADRに上場している銘柄を選び、小型銘柄への投資は控えるようにするのが無難です。リスク管理をきちんと考慮したうえで新興国株式への投資を検討してみてください。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。