最近は、専業主婦家庭よりも夫婦共働きの家庭が多くなりました。共働きの家庭は収入が多くなる反面、家事やお金の管理が行き届かなくなりがちです。この記事では現役のFPである筆者が共働き家庭からのよくある相談事例と解決策を紹介します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2023年3月18日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
目次
- 共働き世帯からのよくある相談事例
1-1.無駄づかいをしているつもりはないのにお金が貯まらない
1-2.パートナーがお金を貯めていなくてびっくりした
1-3.パートナーの会社が倒産して家計がピンチに
1-4.家計の管理がルーズになりがち
1-5.夫婦でお金についての考えが合わない
1-6.教育費をかけすぎる - 共働き夫婦のお金の管理方法4選
2-1.費目別に支出を分担する
2-2.共同口座を活用し、残りは貯蓄の額を決める
2-3.生活費担当と貯蓄担当で役割を分ける
2-4.どちらかが管理し、どちらかがお小遣いをもら - お金に困らない家計にするには
3-1.ライフプランを立てる
3-2.共通のルールは守る
3-3.自由に使うお金については干渉しない - まとめ
1.共働き世帯からのよくある相談事例
最初にFP相談で共働き夫婦から寄せられる、よくある事例をご紹介します。
1-1.無駄づかいをしているつもりはないのにお金が貯まらない
共働きで世帯収入も決して少なくなく、特に無駄づかいしているとは思わないがお金が貯まりません。
FPの回答:収入が多ければお金が貯まるわけではありません
一般的に収入が多ければ支出も増えるため、意識してお金を貯めようとしなければお金は貯まりません。
収入から生活費を使っていって、残りを貯蓄しようとしていないでしょうか。よほど意志の強い人でなければ、その方法ではお金はほとんど残りません。
家計を見直し、収入から無理なく貯められる金額を先に貯蓄や投資に回し、残ったお金で生活する「先取り貯蓄」を習慣化しましょう。
1-2.パートナーがお金を貯めていなくてびっくりした
2人の子どもの教育費を夫婦それぞれで分担していました。ところが、パートナーが支払っていた長女の教育費を私にも出して欲しいと言われました。確認したところ、パートナーが全く貯金をしていないことが判明しました。今後の教育費や家計のお金の分担をどうすべきでしょうか。
FPの回答:パートナーのお財布事情はオープンにするようにしましょう
夫婦共働きでありがちなのが、「お互いのお財布事情がわからない」というケースです。必要な費用を分担し、あとはパートナーが「お金を貯めているだろう」と楽観的に考えていないでしょうか。
忙しくてお金のことについて話し合う時間がないと、いざというときに必要なお金が足りなくなりかねません。お金について話し合う時間を作り、お互いの事情をオープンにしていきましょう。
1-3.パートナーの会社が倒産して家計がピンチに
共働きで家計のやりくりをしていたが、パートナーの会社が倒産してしまいました。当面は失業手当でしのげますが、すぐに仕事が見つからないと家計にダメージが及びます。どうすればいいでしょうか。
FPの回答:生活費の半年分は預貯金で準備しましょう
共働きの世帯では夫婦どちらかの収入が途絶えても、もう1人の収入があります。しかし、それでも家計への影響は大きく、早く再就職をして家計を正常に戻したいところです。
どんな家庭にも失業や病気で収入が途絶えるリスクがあります。そのため、生活費の半年分の預貯金は緊急予備資金として準備しておきましょう。
1-4.家計の管理がルーズになりがち
共働きでお互いに忙しいため「黒字ならOK」と家計の管理がルーズになりがちで、なかなかお金が貯まりません。
FPの回答:自分たちに合ったお金の管理方法を取り入れましょう
夫婦共働きでお互いに忙しいと、お金の管理が疎かになりがちです。お金の管理についてのルールを決めて、そのルールに則ってやりくりしていきましょう。管理方法はお互いにあまり負担がかからず、簡単な方法がおすすめです。
1-5.夫婦でお金についての考えが合わない
私は投資をしてお金を増やしていきたいと考えていますが、パートナーはリスクを取ることに反対しています。どうすればいいでしょうか。
FPの回答:それぞれの予算で自分の考えに合った資産形成をしていきましょう
夫婦共働きの場合、それぞれがNISAやiDeCoで資産形成をする「ダブルNISA」や「ダブルiDeCo」がおすすめです。しかし、気が進まないことを無理にしても上手くいかないかもしれません。資産形成は夫婦それぞれに予算を決めて、自分の考えた方法で行うとよいでしょう。
1-6.教育費をかけすぎる
子どもには好きな道を進ませたいと思い、中学受験からずっと私立と教育費を惜しみませんでした。現在大学生の長男と長女が、それぞれ大学院進学と留学を希望しています。
教育費をかけ過ぎたせいか、夫婦の老後資金の準備がほとんどできていません。子どもの希望どおりに費用を負担すべきでしょうか。
FPの回答:早くから子どもに家計状況をオープンにするようにしましょう
家計の状況はさまざまで、子どもが奨学金をフル活用する家庭もあれば、留学や大学院進学まで親が負担する家庭もあります。子どもの教育にお金をかけすぎて親の老後資金が不足するのは避けるべきで、予定外の学費に関してはどこまで援助すべきかを夫婦で明確にしましょう。
その上で、早いうちに子どもに方針を伝えておくことが大切です。どうしても必要だと考えれば、子どもは自力で希望する進路に進むでしょう。
2.共働き夫婦のお金の管理方法4選
共働きで夫婦それぞれのお金が完全に別々で、お互いのお財布事情がわからない状況はできるだけ避けたいものです。ここでは、共働き夫婦のお金の管理方法を紹介します。自分たちに合った方法を取り入れてみましょう。
2-1.費目別に支出を分担する
基本的に財布は夫婦別々で、住居費は夫、食費は妻のように費目別に支出を分担する方法です。この方法のメリットは、自分が決められた支出を負担すれば、あとは自由にお金を使える点です。また、パートナーに収入を知られたくない場合にも都合がよいでしょう。
反面、残ったお金をパートナーがどのように使っているかがわからず、後で問題になる可能性があります。また、かかる費用は家族状況などによって年々変化します。負担する費目や金額について、定期的な見直しが必要です。
2-2.共同口座を活用し、残りは貯蓄の額を決める
夫婦共同の口座を作り、生活費をそれぞれの収入に合わせて負担します。残りについてはそれぞれ貯蓄に回す額を決めて、最終的な残りをお小遣いにする方法です。お互いの収入がガラス張りになり、不公平感のなさがメリットです。
ただし、この方法では共同口座の持ち方に工夫が必要です。どちらかの名義の口座を1つ持つか、家計用の口座を別々に作り1つの口座のように管理していくかなどのやり方があります。
2-3.生活費担当と貯蓄担当で役割を分ける
一方の収入で生活費をまかない、もう一方の収入を全額貯蓄する方法です。貯蓄は収入の変動が考えられる妻が担当するケースが多いでしょう。また、貯蓄担当の収入が少なすぎると必要な貯蓄ができなくなります。夫婦の収入に大きな差がないカップル向けといえます。
お金の管理を2人で行い、こまめに情報共有ができる夫婦でないと上手くいかないでしょう。
2-4.どちらかが管理し、どちらかがお小遣いをもらう
夫婦の収入の全てを家計管理の得意な夫または妻が管理し、パートナーにお小遣いを渡す方法です。専業主婦世帯で多く取られている方法といえます。
お金の管理には得意不得意があるので、夫婦のどちらかが得意なのであれば有効な方法です。お小遣いをもらう側が不満を持たないように、管理する側が情報をオープンにすることが大切です。
3.お金に困らない家計にするには
共働きの家庭は収入が2人分ではありますが、支出も多くなりがちだったり、家計の管理がルーズになったりしがちです。必要資金をしっかり準備してお金の心配のない家計にする方法を解説します。
3-1.ライフプランを立てる
計画的に資産を作っていくためには、ライフプランを共通認識として持つことが大切です。細かい目標設定は必要ないので、主に人生の3大資金である住宅・教育・老後資金についていつまでにいくら貯めるかの計画を立てましょう。
その目標に対して、夫婦それぞれの役割分担を決めていくのです。定期的に目標に対する進捗を確認しましょう。無計画だったり相手任せだったりすると、必要な場面に資金が足りなくなるかもしれません。
3-2.共通のルールは守る
目標設定やお金の管理について決めたルールについては、お互いがきちんと守るようにしましょう。資産形成をしていくには夫婦の協力が欠かせません。役割分担はどちらかの負担が過大にならないように、状況の変化に応じて見直しましょう。
3-3.自由に使うお金については干渉しない
共働きでは夫婦それぞれに社会的な立場があり、付き合い等にお金がかかります。どちらにも相応のお小遣いが必要であり、その使い道は干渉しないようにしましょう。
まとめ
夫婦共働きなのに、意外にお金を貯められない家庭は少なくありません。忙しい人が堅実にお金を貯めていくには、計画に則って実行していくことが大切です。夫婦で目標や方法をよく話し合い、協力して家計を運営していきましょう。
松田 聡子
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