中国株に投資できる投資信託は?投資するメリット・デメリットも

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著しい経済発展をしている中国には、世界中の投資家が注目しています。2019年のGDPは約14.7兆ドルと米国の約21.4兆ドルに次いで世界2位。世界3位の日本(約5兆ドル)の3倍あります。

この記事では、注目度が高まる中国株の魅力と注意点、投資信託を通じて投資する方法について解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 中国株の特徴
    1-1.上海証券取引所
    1-2.深セン証券取引所
    1-3.香港証券取引所
  2. 中国株のメリット
  3. 中国株のデメリット
    3-1.個別企業に関する情報が得にくい
    3-2.中国政府の影響が大きい
  4. 中国株に投資できるファンド5選
    4-1.UBS中国新時代株式ファンド(年1回決算型)
    4-2.HSBC中国株式ファンド(3カ月決算型)
    4-3.One-DIAM中国関連株オープン
    4-4.新成長中国株式ファンド
    4-5.損保ジャパン拡大中国株投信
  5. まとめ

1.中国株の特徴

中国には主に次の3つの証券取引所があり、それぞれ銘柄や取引通貨が異なります。各取引所の特徴について解説します。

1-1.上海証券取引所

中国の上海市にあるアジアを代表する証券取引所の一つです。1990年11月に設立され、同年12月から営業を開始しました。中国企業の急成長を反映し、2009年に売買代金で東京証券取引所を上回ってアジアで首位、世界で3位になりました。

2019年末時点での上場企業数は1,572社で、株式時価総額は世界4位の3兆5,552億ドルです。代表的な株価指数である上海総合指数は、世界中の投資家が注目している指数です。

1-2.深セン証券取引所

深セン証券取引所は、上海証券取引所と並ぶ、中国本土の2大証券取引所の一つです。中国株は本土市場と香港市場の2本立てになっていますが、本土市場の深セン証券取引所で取引される株式には、人民元で決済される「A株」と香港ドルで決済される「B株」の2種類があります。B株は外国人の投資が可能であるのに対し、A株は原則として中国籍の企業や個人に限定されるという違いがあります。

上海証券取引所が資本財や金融が中心なのに対し、深セン証券取引所はニューエコノミーの企業が多いという特徴があります。IT業界など新しい企業が著しい発展を見せているのが特長です。

深セン証券取引所の代表的な株価指数として、「深セン成分指数」や「深セン総合指数」などがあります。

1-3.香港証券取引所

香港にある、アジアを代表する取引所の一つです。香港では1891年に証券取引所が始めて設立されましたが、2000年3月に複数あった取引所が合併して現在の証券取引所になりました。2018年末時点での株式時価総額は3兆8,192億ドルで、世界第5位の規模を誇ります。

香港証券取引所には「メインボード(主板)」と「GEM(創業板)」という2つのマーケットが存在します。メインボードは大型優良企業向けの市場で、GEMは新興企業向けの市場です。

2.中国株のメリット

2020年の新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの国で経済状況が悪化しています。しかし、国際通貨基金(IMF)の予測では、中国は2021年に8%の成長に戻り、米国との規模の差も縮まります。

中国経済の回復が目立つのは、製造業の比率が高い(約4割)ためです。サービス業中心の国では外出規制の影響が大きいものの、製造業はコロナの影響が比較的小さいのです。IMFの予測通りなら、2021年の米国のGDPは21.2兆ドル、中国は15.8兆ドルになります。中国の経済規模は2008年のリーマンショック時で米国の31%でしたが、2021年には75%に迫るのです。

今後も高い経済成長が見込める中国株に投資するメリットは、大きいと考えられます。

3.中国株のデメリット

中国株のデメリットは、主に次の2つです。

3-1.個別企業に関する情報が得にくい

インターネットの普及により海外の情報を得やすくなりましたが、中国の個別企業の情報は入手しづらいというのが現状です。また国内企業に比べ、企業訪問したり実際の製品を確かめたりするのが難しくなります。

限られた情報で投資対象を決めなければいけないという点は、中国株投資のデメリットになります。

3-2.中国政府の影響が大きい

中国は共産党の一党独裁体制です。ですから、政府の一存によって政策が大きく変更される可能性もあります。また、一国二制度が認められる香港へも、中国共産党の力が強くなっています。

一国二制度というのは、香港が特別行政区として外交と防衛以外は高度な自治が認められている制度です。しかし、一国二制度で認められている表現の自由や民主主義が損なわれるかもしれないと、香港ではデモが起こりました。中国共産党は香港の企業に対する支配を強めようとする動きもあり、今後に注意が必要です。

4.中国株に投資できるファンド5選

中国の経済やマーケットは大きく成長しているものの、中国の個別企業は情報が手に入りづらい、投資できる銘柄がわかりづらいといったデメリットがあります。投資信託を利用することでそれらのデメリットをカバーしながら中国株投資を進めることが可能です。以下では中国株に投資できるファンドを5つ紹介します(数値は2021年2月9日現在)。

4-1.UBS中国新時代株式ファンド(年1回決算型)

基準価額 16,800円
純資産総額 50,490百万円
信託報酬 2.083%(税込)
運用会社 UBSアセットマネジメント株式会社

中国籍、香港籍もしくは主に中国に活動拠点を置く企業の株式が投資対象。中長期的な成長が期待できるセクターの中で、高い競争優位性を有する企業を選んで投資します。2020年11月の構成銘柄上位は、以下の通りです。

  1. TALエデュケーション・グループ 9.6%
  2. テンセント・ホールディングス 9.6%
  3. ピンアン・インシュアランス 6.6%
  4. アリババ・グループ・ホールディング 6.6%
  5. グイジョウ・マオタイ 4.7%

4-2.HSBC中国株式ファンド(3カ月決算型)

基準価額 14,077円
純資産総額 7,014百万円
信託報酬 1.9579%(税込)
運用会社 HSBC投信

「HSBCチャイナ・マザーファンド」および「HSBC中国A株マザーファンド」への投資を通じて、中国の株式等に投資するファンドです。HSBCチャイナ・マザーファンドは、主に中国の証券取引所(香港証券取引所・上海証券取引所・深セン証券取引所)に上場あるいは、取引所に準ずる市場で取引されている株式へ投資します。

一方の「HSBC中国A株マザーファンド」は、主に中国A株を主要対象とするETF(上場投資信託)に投資します。幅広い銘柄に分散投資しているので、中国市場の成長を享受できるのが強みです。

4-3.One-DIAM中国関連株オープン

基準価額 34,359円
純資産総額 4,329百万円
信託報酬 1.76%
運用会社 アセットマネジメントOne

主として中国株に投資しつつ、「中国関連株」を加えることで、中国の成長を享受することを目指すファンド。中国株の条件は、以下の市場に上場していることです。

  1. 香港証券取引所
  2. 上海証券取引所
  3. 深セン証券取引所
  4. シンガポール証券取引所
  5. ニューヨーク証券取引所に上場する中国資本企業

また、中国関連株は「大中華圏(香港・台湾)、アジア諸国(韓国・東南アジアなど)、米国・欧州などの非中国資本企業で売上もしくは資産の相当部分(50%以上)が中国による企業」を指します。

4-4.新成長中国株式ファンド

基準価額 17,302円
純資産総額 4,001百万円
信託報酬 1.76%
運用会社 アセットマネジメントOne

「中国株式マザーファンド」と「中国本土株式マザーファンド第2号」を主要対象とするファンド。中国株式マザーファンドでは、香港証券取引所・上海証券取引所・深セン証券取引所に上場する中国企業をメインに投資します。また、中国本土株式マザーファンド第2号は、中国の証券取引所に上場している人民元建ての株式(中国A株)を主要対象とする投資信託に投資します。

このファンドに投資すれば、中国経済の中長期的な成長の恩恵を受けることができるのです。

4-5.損保ジャパン拡大中国株投信

基準価額 15,404円
純資産総額 2,494百万円
信託報酬 1.705%
運用会社 SOMPOアセットマネジメント

中国・香港・台湾の株式を主要対象とし、信託財産の着実な成長と安定した収益の確保を目指すファンドです。損保ジャパン拡大中国株投信は、ファミリーファンド方式で運用します。ファミリーファンド方式とは、複数のファンドを合同運用する仕組みです。

投資家の資金をまとめてベビーファンドとし、ベビーファンドの資金の全部または一部をマザーファンドに投資することで、実質的な運用はマザーファンドでおこないます。そして、信託財産の着実な成長と安定した収益の確保を目指します。

まとめ

中国株投資にあたっては投資信託を利用することで、100円と少額から購入できるネット証券もあるので、中国株投資を気軽に始められるメリットがあります。また、個別銘柄でもアリババなどの有名企業であれば比較的情報は入手しやすいため、中国株の売買手数料が安く、取扱銘柄数も多いマネックス証券やSBI証券などで気になる株を探すという手段もあります。

関心のある方は、この記事を参考に、今後も高い経済成長が見込まれる中国株への投資も検討してみてはいかがでしょうか。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011