ブル型・ベア型のETF・投資信託のメリット・デメリットは?注意点も

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて株価が大きく変動する中、景気の下降局面に強い投資信託やETF(上場投資信託)選びが注目されています。なかでも信用取引のようにレバレッジを効かせて基準指数よりも高いリターンを狙える「ブル型」や、相場の下落時でも利益を狙える「ベア型」のファンドが話題となっています。

この記事では、ブル型・ベア型のファンドの特徴やメリット・デメリット、利用上の注意点をご紹介します。投資信託でリスクをとっても大きなリターンを狙いたい、相場の下降局面でもリターンを狙いたいという方は参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の企業・商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ブル型のETF・投資信託とは
  2. ベア型のETF・投資信託とは
  3. ブル型ファンドのメリット・デメリット
    3-1.レバレッジを効かせたハイリターンが期待できる
    3-2.損失リスクも大きい
    3-3.現物取引で損失は元本の範囲内に抑えられる
    3-4.短期的な運用に向いている
    3-5.コストは高め
  4. ベア型ファンドのメリット・デメリット
    4-1.下落相場でリターンの確保が期待できる
    4-2.信用取引の「空売り」効果が見込める
    4-3.中長期の運用には向かない
    4-4.現物資産のリスクヘッジになる
    4-5.コストは高め
  5. ブル型・ベア型ファンドの注意点
    5-1.明確なトレンドで運用する
    5-2.相場のもみ合う局面は避ける
    5-3.相場の分析が重要になる
    5-4.取引コストが高くなりやすい
  6. まとめ

1 ブル型のETF・投資信託とは

ブル型ファンド(別名レバレッジ型)は、TOPIXなどのベンチマーク(基準指数)に対して、テコの原理のように何倍もの変動率で上昇するため、より大きなリターンを狙えるのが特徴です。

例えば、国内株式市場の値動きに対して約2倍の運用を目指す「One 日本株ダブル・ブルファンド」というブル型ファンドを例にとります。ベンチマークは日経平均株価なので、日経平均株価が前日比で5%上昇した場合、One 日本株ダブル・ブルファンドは10%程度上昇することになります。

しかし、相場が下降局面で日経平均株価が前日比で5%下落すれば、日経平均レバレッジ・インデックスは10%以上の下落率を見せる可能性があります。

このようにベンチマークに対してX倍の値動きになるため、元手を効率的に活用できますが、損失もベンチマークのX倍になるというハイリスク・ハイリターンの商品と言えます。

レバレッジを効かせてリターンの最大化を目指す投資方法としては、信用取引や先物取引がありますが、ブル型ファンドは現物取引でレバレッジの効いた投資が可能になる金融商品です。必ずしも信用取引のために委託保証金(取引のための担保)を入れる必要はありません。リスクは小さくないものの、現物取引なら損失は元手の範囲に限定されるのも特徴です。

2 ベア型のETF・投資信託とは

ベア型ファンドは、ベンチマークの値動きの逆の値動きで投資成果を目指すファンドです。「インバース型ファンド」とも呼ばれており、「インバース」は「逆」を意味します。

例えば、国内株式市場の値動きに対して約2倍反対の運用を目指す「One日本株ダブル・ベアファンド」というベア型ファンドを例にとります。ベンチマークは日経平均株価なので、日経平均株価が前日比で5%下落した場合、One日本株ダブル・ベアファンドは10%程度上昇することになります。

日経平均株価に対して変動率がマイナス2倍になっているため、このファンドは日経平均株価が下落すれば利益を生んでくれるのが特徴です。

しかし、日経平均株価が5%上昇した場合、このファンドは約10%下落することになります。このためベア型ファンドは、ベンチマークが下落すると予想される相場で利用するのに向いた商品であり、下落相場における他の商品のリスクヘッジ(リスク回避)に活用できる商品です。

3 ブル型ファンドのメリット・デメリット

ブル型ファンドの詳しい長所や短所について見ていきましょう。

3-1 レバレッジを効かせたハイリターンが期待できる

ブル型ファンドは現物取引の投資ですが、信用取引のようにレバレッジを効かせた投資が可能です。一定の指標の動きに連動するように設計されているインデックス・ファンドの場合、ベンチマークと同等の投資成果が得られますが、ブル型ファンドは一定の元手でその何倍もの大きなリターンを狙えるという効率的な投資が期待できます。

上記のOne 日本株ダブル・ブルファンドは同期間の日経平均株価の騰落率の2倍となるような運用を目指す商品ですが、ほかには3倍以上、4倍以上を目指すファンドもあります。

3-2 損失リスクも大きい

日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に連動する通常のインデックス・ファンドの場合、TOPIXが前日比で5%下がれば、そのインデックス・ファンドも5%程度の下落率にとどまります。

しかし、例えばベンチマークの騰落率の2倍で変動するブル型ファンドの場合、マイナス10%程度に下落することになるので、損失が大きくなるリスクがある点にも留意しましょう。

3-3 現物取引で損失は元本の範囲内に抑えられる

ブル型ファンドは現物取引が可能です。ハイリターンを狙える一方で、ベンチマークが下落した場合の変動率も大きくなるのでリスクもありますが、現物取引なら信用取引のように元本を超えた損失は原則生じません。

3-4 短期間でも大きな利益を狙える

ブル型ファンドはベンチマークの何倍ものリターンが期待できるため、短期間の投資でも大きな利益を生みやすいのが特徴です。

一方、中長期で運用する場合、ベンチマークが下落局面に入れば、これまでの利益を大きく減少させる可能性が高まります。

株式などの現物取引で一定の利益を確保するには、相場の山谷の繰り返しを通じた中長期の投資が必要となるケースも少なくないのですが、ブル型ファンドでは短期的な上昇場面を予測してファンドを購入し、上昇局面が終了しそうな時点で換金して利益を確保するといった運用スタイルに向いています。

3-5 コストが高め

ブル型ファンドは調達資金の一部を株価指数先物へ投資し、それを繰り返して効率良くリターンの確保を目指すファンドなため、運用コストも通常の投資信託と比べて大きくなります。

ブル型は各ファンドで購入時手数料や信託報酬などの費用は異なりますが、中長期で運用する場合は、どの程度のコスト負担になるかを確認することが重要です。

4 ベア型ファンドのメリット・デメリット

次に、ベア型ファンドの詳しい長所や短所について見ていきましょう。

4-1 下落相場でリターンの確保が期待できる

ベア型ファンドはベンチマークと逆の動きを目指して利益を狙う商品であるため、日経平均株価やTOPIXなどが下落する相場でも利益の確保が期待できます。

通常の株式や投資信託等への投資では、市場相場が下落していけば買った資産の価値も下がり、含み損が発生することになります。

しかし、ベア型ファンドはそのような下げ相場でも利益を生んでくれる可能性があるので、不況下などでも資金を活用できるのが特徴です。

4-2 信用取引の「空売り」効果が見込める

ベア型ファンドは信用取引の「空売り」と同じような効果をもたらしてくれます。

株式投資の信用取引における空売りとは、相場が下落すると予想した場合に、実際に保有していない株式を証券会社から借りて売却し、その後その下落した銘柄を購入して返済する取引のことです。「高く買ってから安く売る」ことで利益が得られるため、買いから入る通常の取引とは利益の発生条件が逆になります。

信用取引は現物取引と違ってやや分かりにくいルールで行う投資方法ですが、ベア型ファンドは普通の現物取引なので簡単なうえ、空売りのように下げ相場でも利益を狙えます。

4-3 中長期の運用には向かない

中長期の投資で相場の山谷が繰り返されるとベア型ファンドは利益を生みにくくなり、結果的に損失を被る可能性も高まります。

ベア型ファンドは下落相場で利益を生み、上昇相場で損失が生じます。そのため、上昇相場が多くなるような中長期の投資では一時的に大きな損失が生じかねません。

4-4 現物資産のリスクヘッジになる

株式や投資信託は下落相場になれば価値が減少しますが、ベア型ファンドは下落リスクを緩和することができます。

中長期の運用を考えて購入した株式や投資信託は、保有している間は価値を下げる可能性もありますが、そのような下落局面でベア型ファンドを購入すれば、株式等の下落を補うことができます。

ベア型ファンドの購入後に相場が回復に転じるようなら、ベア型ファンドを換金して利益を確定し、あとは株式等の資産が元の水準に戻るのを待つことで、ベア型ファンドの弱点を抑えることも可能です。

4-5 コストは高め

ベア型ファンドも株価指数先物取引などを利用するため投資コストが高くなります。特にマイナス1倍を超えるファンドの場合、運用コストも大きくなります。

5 ブル型・ベア型ファンドの注意点

ブル型・ベア型ファンドを利用する場合の注意点をご紹介します。

5-1 明確なトレンドで運用する

ブル型・ベア型ファンドは中長期で利用するとそのメリットを十分に発揮できないため、短期間のトレンドが明確な場合に運用するのがおすすめです。

投資期間が数カ月以上に渡ると相場のトレンドが大きく変わる可能性も高まるため、ブル型・ベア型ファンドは長く保有せず、早めに換金のタイミングを探るほうがリスクの低減に繋がります。

5-2 相場のもみ合う局面は避ける

相場がある程度の範囲で上昇・下落を繰り返すようなもみ合う局面でブル型・ベア型ファンドを利用すると利益の確保が難しくなります。

株式市場について年間を通じて見ると、相場が膠着する時期も少なくありません。ブル型・ベア型ファンドは明確なトレンドが出る場合に大きな利益を狙える商品なので、相場が小高下を繰り返す場面では損失となる可能性も高まります。

例えば、2018年5月1日〜同年8月15日までの日経平均株価と、変動率の2倍の値動きを目指す「日経平均レバレッジ・インデックス」を比較すると、日経平均株価は22,508円から22,204円へとマイナス1.3%で推移しましたが、日経平均レバレッジ・インデックスの基準価格は2,026,791円から1,961,651円へとマイナス3.21%下落しています(野村アセットマネジメントより)。

もみ合い相場ではブル型・ベア型ファンドは利益を生みにくく、リスクが大きくなる可能性もあるため、相場のトレンドが見えるまで投資を控えるなどの戦略も必要です。

5-3 相場の分析が重要になる

ブル型・ベア型ファンドは比較的短期でトレンドが明確な相場での投資が望ましいことから、相場を読む力が必要になります。

相場を予想するためには国内外の経済動向や地政学リスクなどの情報を集め、重要なファクターの情報はモニタリングするといった作業も重要です。例えば各メディア等で得られる情報は常に確認し、購入や換金のタイミングを計る必要があります。また、購入後は相場の分析とともに換金するための見切りポイントを決めておくことも重要です。

また、相場の読みが外れ反対に大きく動く場合、一定程度の損失になったときにいったん換金して損失を拡大させない「損切り」も重要になります。

このような相場の分析・読みや損切りといった作業は、ある程度の知識・経験等が求められるので、慣れない間は投資額をできるだけ抑えて始めるのがおすすめです。

5-4 取引コストが高くなりやすい

投資信託の取引にかかる費用(手数料等)としては、おもに購入時手数料や信託報酬等の管理費用、信託財産留保額や換金手数料などの売却手数料があります。

ネット証券などでは購入時手数料を無料としている企業も増えてきましたが、信託報酬や換金手数料などは各ファンドで異なるため、総合的な取引コストは目論見書で確認する必要があります。特にブル・ベア型ファンドの運用コストは高くなる傾向があるので、事前の確認が大切です。

6 まとめ

ブル・ベア型の投資信託・ETFは、現物取引でも信用取引のように元手以上のリターンが狙える金融商品です。ベア型では下落相場でも利益を狙えるため、株式などの現物資産の投資におけるリスクヘッジに役立ちます。

短期的なトレンドが明確な場合、利益を効率的に増大させる投資手段になり得るため、新型コロナウイルスで株価が急落した昨今、ブル・ベア型の投資信託・ETFの売買が活発化しています。

この記事などを参考に、ブル・ベア型の投資信託やETFを検討する際は、リスクや手数料にも注意して慎重に選ぶようにしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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