オルタナティブ投資の種類は?各商品のメリット・デメリットも解説

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ここ数年、日銀の金融緩和・マイナス金利政策により日本の債券市場から収益を生み出すことが難しくなってきています。これまでは「日本国債を買っておけばよかった」とも言える日本の資産運用業界が変革を求められているなか、オルタナティブ投資が注目されはじめています。

郵政グループ3社が上場した2015年にゆうちょ銀行が運用プロフェッショナルを外部から採用し、オルタナティブ投資を促進したという報道は聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

オルタナティブ投資は本来、富裕層の人たちが資産防衛をするために保有資産の多様化をしておきたいというニーズから生まれたもので、株式や債券といった景気の影響を強く受ける伝統資産との相関性が低く、伝統資産が軟調である際にも利回りを狙うことを目指しているものです。

今回は、オルタナティブ投資の意味や種類を、メリット・デメリットを交えつつ解説します。

目次

  1. オルタナティブ投資とは
  2. オルタナティブ投資の主な種類とそれぞれのメリット・デメリット
    2-1.コモディティ
    2-2.不動産
    2-3.デリバティブ
    2-4.投資型クラウドファンディング
    2-5.ヘッジファンド
  3. まとめ

1.オルタナティブ投資とは

Alternative(オルタナティブ)は英語で「代替」と訳すことから、代替投資とも呼ばれます。

一般的に投資と聞いて最初に思い浮かべるのは、伝統資産である株式や債券を購入する既存のやり方ですが、オルタナティブ投資の場合は「既存の投資に代わるこれまでに無かった投資」を意味します。したがって、オルタナティブ投資の選択肢は実に広く、「株や債券」以外のものはすべてオルタナティブ資産に含まれます。

ヘッジファンドやクラウドファンド、不動産、金融先物、保険ファンド、一時期過熱していた仮想通貨や美術品まで多岐にわたっており、むしろ今この瞬間にも新たなオルタナティブ投資が誕生しているかもしれません。

オルタナティブ投資の特徴は、私募の資金調達が投資対象に含まれていることです。一般的な株式や債券は公募、つまり誰でも参加できる投資になります。公募の特徴は、投資家が投資先を自由に選び、売買価格や付随する情報が公示されていることです。一方で私募は投資内容に関する情報が不十分なケースが多いため、よく内容を把握しておく必要があります。

2.オルタナティブ投資の主な種類とそれぞれのメリット・デメリット

オルタナティブ投資にはどんな種類があるのか、それぞれにどんなメリットやデメリットがあるのかを解説していきます。

2-1.コモディティ

コモディティとは英語で商品のことを指す言葉で、コモディティ投資とは、商品先物市場で取引されている原油やガソリンなどのエネルギー、金やプラチナなどの貴金属、トウモロコシや大豆などの穀物といったような商品に投資することをいいます。世の中の物価と連動することからインフレに強い一方で、配当金などのインカムゲインは発生しません。

先ほど述べたように、オルタナティブ投資の最も重要な点は伝統的な資産とは異なる動きをするということから、基本的に株式とは逆相関にあり、特に社会情勢が不安定になり株式市場の下落局面となった際に選好されやすい金は、コモディティ投資のメインとして扱われています。

また、金以外の貴金属や原油などのエネルギーは、限りがあるため価値が損なわれにくいのが魅力です。穀物は良くも悪くも天候に左右されやすいというリスクがあります。

2-2.不動産

オルタナティブ投資の代表的な例として不動産が挙げられます。基本的に不動産は賃貸か売買で利益を上げる投資方法になります。物価と連動するためインフレに強く、安定した賃料収入が得られる一方で、初期費用がかかり、流動性が低く即座に売却というわけにはいかないことから、長期投資がメインとなります。

それらのデメリットを解消するために開発された商品がREIT(リート)になります。不動産投資信託と呼ばれており、小口化した不動産投資信託商品を一般投資家に販売し、集めた資金で運用会社が不動産の購入・保有・管理などを行います。そして得られた賃料収入や不動産売却益を投資家に分配するという仕組みです。

REITは比較的安定性が高い不動産に分散投資を行うのですが、コロナショックによる働き方改革により毎日都心のオフィスに通勤する必要がなくなるなど、将来の生活形態が変化することになる可能性もあるため、投資先の対象不動産を十分吟味する必要があります。

2-3.デリバティブ

株や債券、為替、コモディティなどから派生した取引の総称で「金融派生商品」とも呼ばれます。代表的なものとしては、先物取引、スワップ取引、オプション取引などがこれに当たります。かなり複雑に設計された商品もあり、投資した資金以上の損失を生む可能性がありますので、よく中身を理解するようにしましょう。

2-4.投資型クラウドファンディング

クラウドファンディングは、不特定多数の人が出資者となり、企業のプロジェクトやスタートアップに資金を投じる資金調達方法になります。

投資型クラウドファンディングは主に以下の3つに分けられますが、投資した金額以上の損失が発生しないという点がメリットとなります。一方で資金投下から収益化するまでには時間を要すことになるため、長期投資が基本となります。

インフラ投資型ファンド

特定の事業、道路やトンネル、発電所、鉄道、空港などのインフラ(社会資本)に投資をすることで、売上高に応じて分配金が支払われます。

株式投資型ファンド

プライベートエクイティ(未上場・未公開株式)ファンドとベンチャーキャピタルファンドが主なもので、これから起業するベンチャー企業への投資や不振企業の再生、さらには破たんしそうな企業の株式を買うものなど、その種類は多彩です。

貸付型ファンド

ソーシャルレンディングとも呼ばれますが、インターネットを通じて資金需要者に資金を貸し付け、金利収入を得るという、他の金融商品と相関関係が低い新しい資産運用法であり、債券や預金よりも高い利回りの物が多くあります。一方で、貸付先の倒産リスクがあることや、元本が保証されないといったリスクがあります。

2-5.ヘッジファンド

ヘッジファンドとは、主に機関投資家や資産家など大口の投資家を対象として集めた資金を基に運用する方法になります。ヘッジファンド自体は株式や債券や為替で運用しますが、投資家はあくまでもヘッジファンドに投資をするため、オルタナティブ投資に含まれます。

個人投資家だけでは投資できないような金融商品が、知識と経験を持っているプロによって運用されるのが魅力になりますが、個人投資家がヘッジファンドに投資をするとなると資金規模などの面でハードルが高く、手数料が高いこともネックとなります。

まとめ

上記で説明したもの以外にも証券化商品、FX(外国為替証拠金取引)、暗号資産(仮想通貨)、美術品など、オルタナティブ投資の種類は豊富です。加えて、株式や債券のように「安く買って高く売る」という基本的な投資手法以外の投資手法も存在します。

したがって、分散投資を考えている人にとっては興味深くお勧めの投資ですが、投資内容が複雑なため初心者では損をする可能性もあります。10年以上前にはなりますが、リーマンショックのトリガーとなった「サブプライムローン」などはまさにオルタナティブ投資の1つである証券化商品であり、このことからも購入する商品の特徴をしっかりと理解しなければならないことがお分かり頂けるかと思います。

きちんとデメリットとリスクを学んで、リスクをヘッジしながら分散効果を高めることができるのか、相対的に高いリターンが得られる投資なのかどうか、しっかり検討するようにしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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