世界の投資家はサステナビリティをどの程度重視しているか?2.3万人超の大規模調査

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サステナビリティ(持続可能性)は、買い物や食事、移動手段など日常の消費行動で意識されつつある。では、投資家が投資先を選ぶ際、サステナビリティに対する信条をどのようにとらえ、どのように判断をしているだろうか。英国シュローダーが投資家の投資動向や投資意識を把握することを目的に「シュローダー・グローバル投資家意識調査2020」を実施、10月13日付で第2弾の結果を発表した。日本の投資家もグローバルの投資家も、投資において「倫理観」を重視している傾向が明らかになった。

サステナビリティに対する信条とは、大きくいえば環境・社会・経済の3つの観点から持続可能な世界を構築していくという考え方を指す。「個人的な信条に反する投資は行わない」と回答した日本の投資家は全体の76%、グローバルの投資家は77%と同様の水準。

国別では調査対象の32ヶ国中、最も倫理基準を重視する割合が高いのが中国(90%)、最も低い国が米国(67%)となった。一方「投資リターンが大きければ信条に反した投資もする」と回答したグローバルの投資家は 23%、日本は24%にとどまった。

グローバル投資家の半数近く(2018年の42%から47%に増加)は、環境への幅広い影響を理由に、サステナブル投資に魅力を感じている。一方、日本の投資家は23%だが、2018年の16%より増加した。さらに、42%のグローバル投資家は、高い投資リターンが期待できることを魅力の理由に挙げる。これは、グローバルの投資家がサステナブル・ファンドへの投資によって投資リターンと環境へのプラスの影響が共に実現されることを期待していることを示している。日本の投資家は21%で、増加傾向とはいえ後続の印象だ。

逆に、日本の投資家の方が意識が高い項目もある。サステナビリティに関する情報開示は、運用商品提供会社にとって必須の条件といえる。情報開示が十分でない場合、提供会社の信頼が損なわれると考える投資家の割合は、グローバルで 58%。日本はそれを上回る60%となった。グローバルの69%は、各国の政府や規制当局が気候変動の抑制に責任を負うべきと考えているが、日本は71%と、さらに多かった。

企業と投資家の責任という観点では、グローバルの投資家の半数以上の59%が「投資家自身も責任を負うべき」と回答したのに対し、日本の投資家は42%。また、資産運用会社や主要株主が責任を負うべきと考えているのはグローバル46%だったが、日本は35%にとどまる。「企業に責任がある」という回答はグローバル、日本とも65%で同水準だった。

調査は世界32ヶ国/地域で、1万ユーロ(または相当額)以上を今後 12カ月間で投資する予定があり、かつ過去 10年間に何らかの投資行動をとった投資家約2万3450人を対象に実施。調査期間は2020年4月30日~6月15 日。第三弾としてリタイアメント(老後)をテーマにした調査結果を発表する予定。

【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

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