シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は12月17日、シュローダーが個人投資家の投資動向や投資意識の把握を目的に実施した「シュローダー・グローバル投資家意識調査2021」で、投資家のリスク志向に関する分析結果を発表した。コロナ禍と世界的な超低金利による資産運用の難しさを背景に、世界の投資家は若年層を中心に高リスク資産への投資を拡大する傾向にある。
調査は、世界33の国・地域の2万3000人(うち日本1000人)を超える個人投資家を対象にオンラインで行った。ロックダウン解除後の投資行動について尋ねたところ、半数近くが「低リスク資産への投資を増やす」(46%)と「貯蓄を増やす」(46%)を挙げた一方、37%は「高リスク資産への投資を増やす」と回答し、「減らす」の28%を上回った。高リスク資産への投資を増やす投資家の割合は18~37歳では44%に上った。
一方、日本では、「高リスク資産への投資を増やす」投資家は27%と、「減らす」の34%を下回った。この割合はカナダ(24%)、ポルトガル(25%)についで最も低い水準で、最も高い米国(53%)のほぼ半数。年齢層別では、「高リスク資産に投資を増やす」投資家の割合は、18~37歳が27%、38~50歳が33%、51-70歳が28%、71歳以上では16%だった。結果について、同社は「日本ではコロナ後に高リスク資産への投資を志向する投資家の割合は世界に比べて限定的で、年齢層とリスク志向の関係は明確ではない」としている。
過去1年間に投資を行った資産について尋ねたところ、すべての年齢層を通じて「インターネット/ハイテク関連の株式・ファンド」への投資の割合が最も高い。また、若年層は、どの資産に対しても約半数が投資を行ったと回答しており、この年代はリスクの高い資産に投資を行っている一方で、投資先を分散している可能性があることが示された。
日本の投資家の間でもインターネット/ハイテク関連の株式・ファンドの人気は高く、過去1年間に投資を行った投資家の割合は、すべての年齢層(18~37歳:46%、38~50歳:44%、51~70歳:50%、71歳以上:39%)で他の資産を上回った。
超低金利環境における行動に関して尋ねたところ、53%が「高い投資成果を求めて高リスクの投資を行う」と回答。また、3分の1(33%)が「仮想通貨に投資する」と回答した。投資家が高リスクの資産に向かうのは、超低金利によってリターンを得るのが難しいことが背景にある。日本でも「高い投資成果を求めて高リスクの投資を行う」が51%と世界と同様、最も高い割合だった。
一方で「仮想通貨に投資する」投資家の割合は14%と、世界の投資家の半分以下だった。この割合は調査対象国の中で最も低く、カナダ(16%)、スウェーデン(19%)を下回る。一方、最も割合が高かったのは、南アフリカ(53%)、タイ(53%)、アルゼンチン(52%)、インドネシア(50%)、ブラジル(45%)だった。
シュローダー・インベストメント・マネジメント社は、日本の投資家の傾向について「世界では若年層の投資家を中心により高いリターンを求めてリスクの高い投資を行う傾向がある一方、日本の投資家は世界と比較してリスクに慎重であることが確認された」と述べ、同社の投資家像と一致するとした。
そのうえで「不安定な市場環境においては、短期的に大きなリターンを得られる機会もあるが、リスクの高い資産への投資は大きな損失を被る可能性もある。短期的な成果にとらわれすぎず、長期的な目標や計画に基づく投資が重要」とコメントしている。
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