「世界の平均気温上昇、産業革命前より3.8℃上昇に」対策はバイデン新政権下でのパリ協定復帰?

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資産運用大手のシュローダーは、独自に開発した「気温上昇予測ダッシュボード」の最新予測値に基づき「現在の変化のペースが続いた場合、産業革命以前と比較した世界の平均気温上昇は3.8℃に至る」と発表した。日本法人のシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が12月10日、「気温上昇予測ダッシュボード 2020年第3四半期」を公開した。

「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大がなければ、2020年11月にグラスゴーで第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が開かれていたはずであり、世界の首脳陣がパリ協定を下支えするより厳格で具体的な計画を持ち寄ることが期待されていた」とレポートは前置きする。COP26は21年に延期されたが「一方でこの数カ月、世界の温室効果ガスの排出量を削減するための対策の強化と迅速化に向けた予期せぬ動きが見られている」と続く。

同社の気温上昇予測ダッシュボードの最新予測値によると、産業革命以前と比較した世界の平均気温上昇は3.8℃で、20年半ばに示された3.9℃から低下したが、パリ協定で合意された2℃未満という目標には届かない。「積極的な政策や速やかな資本配分の見直し、強力な金銭的インセンティブなどの対策が必要」と同社は指摘する。

一方、急速な変化が間近に迫っている可能性を示す兆候が見受けられる。筆頭は、米国大統領選挙におけるジョー・バイデン氏の勝利だ。バイデン政権下で「現状に対する圧力が高まることが想定される。実行に移された場合、気温上昇予測ダッシュボードが示す長期的な気温上昇の鈍化が見え始めるかもしれない」と同社は示唆している。

バイデン氏が大統領に就任した場合、同社は「米国の気候政策が180度転換する可能性がある」と明言する。ドナルド・トランプ大統領がパリ協定からの正式離脱を表明した19年11月5日に、バイデン氏は自らが大統領に就任した暁にはパリ協定に復帰することを公約している。同日にバイデン氏は「トランプ政権は今日、パリ協定からの正式脱退を表明した。しかし、バイデン政権下でこの協定に復帰する」とツイート。米国がパリ協定に合意したのは2015年、バラク・オバマ政権下のことだ。同社は「バイデン氏がパリ協定への復帰を約束していることや2050年までの米国の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げていることから、グリーン産業やグリーンテクノロジーへの大幅な投資が見込まれる。これ以外にも2兆ドル規模のクリーンエネルギー・インフラ計画を打ち出しており、併せて、石油・ガス、公益、自動車セクターなど炭素排出量の多い産業に対する規制の強化も求められると見られている」点に着目している。

“兆候”の要素として、同社は、アジア各国が新たに排出量実質ゼロの目標を掲げ、グローバルのGDPに占める排出量実質ゼロを掲げている比率が上昇していること、先進国では脱炭素化を公約する企業が増え続けていることも挙げている。同日の時点では未決着の米国大統領選だが、シュローダーは既にバイデン政権による平均気温上昇の対策に注視している。資産運用をはじめ金融業界にとって当面は重要なトピックになるのは間違いない。

シュローダーの気温上昇予測ダッシュボードは、炭素価格から、再生可能エネルギー量、二酸化炭素回収・貯留(CCS)容量まで幅広い要素から示唆される気候変動対応の進捗を追跡するために開発した。

【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

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