ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社は1月14日、ナティクシス・グループの主要運用会社による2022年の見通しの日本語版を公表した。ナティクシス・グループの運用会社のポートフォリオ・マネージャーやストラテジスト、運用責任者が、株式、債券、不動産、クレジット、インパクト投資、プライベート・エクイティの分野でそれぞれ今年の市場を予測。ボラティリティの継続、インフレの進行、米国債のマイナス実質金利、米国以外での投資機会、ESG戦略への需要の高まりといったトピックが挙げられている。
このうち、株式についてナティクシス・インベストメント・マネージャーズ・ソリューションズ「TINA理論(他に選択肢はない)は健在」のタイトルで見解を述べている。大幅上昇となった株式市場は、インフレ、サプライチェーン問題、中央銀行の利上げ、バリュエーション、新型コロナの変異株など、多くの懸念材料が確認されているが、同社の予想は夏までにはこれらの不透明要因の多くが明確になり、世界経済は正常化に向かっていく。このシナリオでは、インフレは22年初頭にピークを迎え、年末に向けて緩和していく見通しだ。
インパクト投資については、ミローバUSが「不確実性は残るが、厳選されたサステナブル関連銘柄は魅力的」という見方を示す。世界経済は回復を続け、足元の問題も下半期には多くが緩和される見通し。特に、インフレやサプライチェーンへの圧力は全般的に緩和される可能性がある。
予定されているインフラ投資計画に加え、世界の主要国の多くがネット・ゼロ経済を実現するという「COP26」の公約を受け、グリーンボンド市場の成長は加速する見通し。株式では、銀行やグリーンインフラ、再生可能エネルギーを含む復興計画を主導とする大規模なインフラに関連するシクリカル銘柄、電子商取引やフィンテック、電気自動車、ヘルスケアなどに最大の投資機会が備わっていると考えられる。
さらに、欧州は米国市場をアウトパフォームし、また、新興市場にも多くの投資機会があると指摘。ボラティリティの高さや、早期かつ持続的な景気回復に伴う持続的なリスクが予想されることから「慎重な姿勢を崩さず、比較的低い負債水準、価格決定力、明確な経常収益源など、優れた特性を備えた企業を選好する」意向だ。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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