新型コロナウィルス感染拡大によって2020年の世界経済は“大番狂わせ”に見舞われた。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、日本時間の9月30日午前5時現在で感染者数は世界全体で約3347万7825人、死亡者数は100万を超えた。収束に向けた見通しが立たない状況だが、保険・資産運用大手のアクサグループは9月時点で、債券市場について「最近の不透明感の高まりにもかかわらず、今後さらにリターン獲得の可能性がある」としている。比較的安全性が高いとされる債券市場に、何が起こるのか。アクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサIM)株式会社アクティブ債券運用英国ヘッド兼アクサIMグローバル・ストラテジック債券戦略ポートフォリオ・マネージャーのニック・ヘイズ氏のコメントを紹介する。
債券市場は7月に利回りが過去最低水準に達するなど、強い地合いになっているが、当社は最近の不透明感の高まりにもかかわらず、今後さらにリターン獲得の可能性があると考える。市場のボラティリティはさらなる上昇が予想されるため、機敏な対応が重要だ。それでもソブリンとクレジットの分野で、魅力的なリターンを見出すことができる。
債券市場も新型コロナウィルス感染拡大の圧力と無縁ではない。不透明感は続くが、市場は3月に底打ちしており、債券市場の大部分は堅調なリターンを挙げている。JPモルガン・グローバル・ガバメント・ボンド・インデックス(米ドル建て)の年初来リターンは7.6%、メリルリンチ・ハイイールド・インデックス(同)は2.1%上昇した。年初来からのリターン上昇にもかかわらず、多くの追い風的な要因で、債券市場は引き続き魅力的。特に、世界の中央銀行が前例のない水準での刺激策を継続しているためだ。
中央銀行による資産買い入れにより流動性が供給され、債券価格を引き上げている。当社は量的緩和策が当面続くと見ているだけではなく、市場のボラティリティが再び高まれば、中央銀行が市場下支えのために量的緩和策をさらに拡大する可能性があると予測している。
さらに「最近はスプレッドがタイト化し、安全資産の国際とリスクがある社債の利回り差が縮小している。堅調な市場で債券は割高になりつつあるが、投資家にとって魅力的なバリュエーション市場にアクセスしたり、債券ポートフォリオに銘柄を追加する投資機会は依然として存在する」と指摘している。
特に投資機会を見出しているのが、ロング・デュレーションの国債、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)だ。同社は「CDSはボラティリティが高い時期にハイイールド債のリスク水準を調整するうえで、有効なツールとなる」と予測する。
9月に入り、先進国では経済回復への兆しも見えてきた。米ナスダック指数とS&P500指数は同月に史上最高値を更新するなど、3月の急落局面からは回復してきた。だが、同社は「第2波到来の懸念もある。世界経済回復の強さや形状に大きな影響を与え、さらに国ごとの差異を生む」と楽観していない。「潤沢な流動性と中央銀行のサポートで、早期の景気回復を予想するのは自然。しかしコロナ禍はこれまでの危機と本質的に異なる。さらに、感染拡大以外に経済回復に対する逆風は多い。それは11月の米大統領選、米中間で高まる経済的緊張だ」。この“逆風”二大要素に反論する投資家は少ないだろう。
こうした状況下、債券投資家にとってベストと考えられる選択肢は「長期的見通しと短期的見通しの両方をにらみつつ、構造的または栓略歴なアプローチをとること」。債券は短期的には割高に見えるが、株式などほかの資産クラスとの相関が全体的に低いため「株式市場のボラティリティが高い局面では良好なパフォーマンスをあげることがある」という理由だ。「いったん債券の需要が供給を上回れば、中期的に債券はかなりのリターンを上げ続ける」と見込んでいる。
【関連サイト】アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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