株式投資には値上がり益や配当金などのリターンがありますが、損失がでるリスクもあります。そのため、リスクを正しく認識したうえで、適切な対策が必要です。この記事では、株式投資のリスクと対処法をご紹介します。
目次
- 株式投資の3つのリスク
1-1.価格変動リスク
1-2.信用リスク(倒産リスク)
1-3.流動性リスク - 株式投資のリスクの対処法
2-1.分散投資する
2-2.長期投資する
2-3.GPIFの運用を参考にする - リスク分散しながら株式投資できるサービス
3-1.投資信託
3-2.ロボアドバイザー
3-3.NISA・つみたてNISA・iDeCo - まとめ
1.株式投資の3つのリスク
株式投資は銀行の預貯金とは異なり、元本保証の金融商品ではありません。そのため、さまざまな要因により損失が生じるリスクがあります。株式投資のリスクは、主に以下の3つです。
1-1.価格変動リスク
価格変動リスクは、株式の価格変動により損失が出るリスクです。株価は企業の業績や国内および国外の政治・経済状況、市場動向などの影響を受け、常に変動し続けています。
株を購入したときよりも株価が高いときに売却できれば利益がでますが、安い時に売却をすると損失がでてしまうのです。
1-2.信用リスク(倒産リスク)
信用リスクは、株式を発行している企業の業績悪化もしくは倒産などにより、株の価値がなくなってしまうリスクです。最悪の場合、投資した資金がすべて戻ってこないケースもあります。株を購入する際には、その企業の経営状況についても確認するようにしてください。
1-3.流動性リスク
流動性リスクは、需要または供給が少ないために希望する価格で売買ができないリスクです。
株の取引は、売り手と買い手が一致して、はじめて売買が成立します。しかし、業績悪化などで売り注文が殺到した場合、買い手が不足して売却できないという事態が起こる可能性があります。結果として想定よりも安い価格で売らなければならず、損失がでてしまうケースもあるのです。
2.株式投資のリスクの対処法
株式投資には常にリスクがつきまといます。リスクを理解したうえで、株式投資をしなければいけません。株式投資のリスク対処法を紹介します。
2-1.分散投資する
株式相場の世界では、「卵は一つのカゴに盛るな」という格言があります。これは卵を一つのカゴに盛っていると、そのカゴを落とせばすべての卵が割れてしまいますが、複数のカゴにわけて卵を盛っていれば、一つのカゴを落としてしまっても他のカゴの卵は無事だという教えです。
つまり、投資でも資産を集中させるのではなく、分散投資を行いリスクを避けることが大切なのです。分散投資には、「銘柄の分散」「地域の分散」「時間の分散」の主に3つの分散方法があります。それぞれ詳しく解説します。
「銘柄の分散」
複数の銘柄に投資をして、ある銘柄が値下がりしたときでも別の銘柄の値上がりでカバーする方法です。異なる業種の企業を組み合わせれば、お互いのリスクを相殺できる可能性が高まります。
「地域の分散」
投資地域を一つに限定すると、その地域の市場環境や経済状況による価格変動リスクが高まります。国内と海外、あるいは先進国と新興国など複数の地域の銘柄を組み合わることで、リスクを軽減できるのです。
「時間の分散」
一度にまとめて投資するのではなく、時期をわけて購入する方法です。時間分散として最も代表的なのが「ドル・コスト平均法」という投資手法。毎月1万円など、定期的に一定の金額で株式を購入していきます。そして、株価が安いときはたくさん購入でき、株価が高いときは少ししか買えないため、平均購入価格を下げる効果があります。
2-2.長期投資する
長期投資も、株式投資のリスクを軽減するのに効果的です。長期投資とは、短期間での売買を繰り返さずに、長期にわたって株式を保有し続ける投資方法です。
短い期間で見ると、株式の価格は変動を繰り返しており、大きく値下がりをすれば損失を被ります。一方、10年、20年といった長い期間で見れば、価格のブレは小さくなり、リターンは安定してくる傾向があるのです。
また、長期投資には、複利効果が見込めるというメリットもあります。複利効果とは、運用で得た利益を元本に加えて再投資することで、利息が利息を生む効果のことです。そしてこの複利効果は、投資期間が長くなれば長くなるほど力を増します。
長期投資はリスクを小さくするだけでなく、利益を大きくするためにも有効といえるのです。
2-3.GPIFの運用を参考にする
初心者の方は、GPIFの運用が参考になります。「長期・分散投資」を実践しているからです。GPIFは、正式名称を「年金積立金管理運用独立行政法人」といい、公的年金の積立金を運用しています。
GPIFが市場運用を開始した2001年年度から2020年度(第3四半期)までの類型収益額は85兆3,011億円、収益率は年率3.37%と安定したパフォーマンスをあげています。
GPIFの投資原則は、資産、地域、時間などを分散して投資し、長い投資期間を活かし、安定的かつ効率的な収益を獲得することです。年金財政上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオとして選定された基本ポートフォリオは、国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%となっていて、国内外の幅広い資産に分散投資しています。
株式だけでなく複数の資産にバランスよく分散投資を行うことで、リスクを軽減させながらリターンをあげているのです。
3.リスク分散しながら株式投資できるサービス
上記のように、長期・分散投資によって株式のリスクを軽減する手法は、個人で個別銘柄を購入して実現するには少々手間がかかります。そこで、簡単に長期・分散投資ができるサービスや制度についても紹介します。
3-1.投資信託・ETF
株式を投資対象とする投資信託やETFを購入することで、複数の銘柄に簡単に分散投資ができます。投資信託・ETFの中には地域分散に繋がるものもあります。どちらも中長期的な価格の上昇を目指して保有するのに向いたもので、個別株式よりもリスクは低くなります。
なお投資信託は証券会社でも購入できますが、株取引とは違う画面から発注する必要があるほか、手数料などのルールも異なります。
3-2.ロボアドバイザー
ロボットによるポートフォリオ提案や運用支援を通じて、世界中に分散投資するETFを積立購入しお任せで運用できるサービスがロボアドバイザーです。代表的なサービスにウェルスナビやTHEO+docomoなどがあります。
手数料はアクティブ投資信託と同程度ですが、分散効果の高い長期運用を自動で行ってくれるほか、アプリなどで資産状況や投資状況を確認しやすいという強みもあります。
3-3.NISA・つみたてNISA・iDeCo
一定の非課税枠の範囲内での投資であれば、売買益や配当にかかる税金が非課税になる制度がNISAとつみたてNISAです。NISA口座では株式を購入することができ、年間120万円までなら非課税メリットを受けながら複数の銘柄に分散投資ができます。
つみたてNISAは金融庁が厳選した特定の投資信託の中から、好きなファンドを積立購入することで非課税メリットを享受できる制度です。株式ファンドを積立購入することで長期的な資産の成長を期待できます。
また個人型確定拠出年金であるiDeCoでも投資信託を積立購入できます。原則60歳まで引き出せないのがデメリットですが、積立購入した金額が所得控除の対象になるため、所得税と住民税を引き下げながら低リスクに投資ができます。
まとめ
株式投資には、主に「価格変動リスク」「信用リスク」「流動性リスク」の3つのリスクが存在します。そして、リスクの対処法としては、分散投資や長期投資などがあげられます。
株の正しい知識を身に付け、適切なリスク管理をしながらリターンを目指していくようにしてください。
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山下耕太郎
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