S&P500連動ETFのメリット・デメリットは?主な銘柄も

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ETF(上場投資信託)は、株式同様にリアルタイム取引が可能なため、短期売買にも向いている金融商品ですが、1本購入するだけで米国の主要企業500社に分散投資できるS&P500連動型ETFは長期投資にも適しているため、注目している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、S&P500連動ETFのメリット・デメリット、主な銘柄を詳しく知りたい方向けに解説するので、米国ETFに関心のある方、ETFで長期の資産形成を図りたい方は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2021年7月25日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. S&P500連動のETFとは
  2. S&P500連動ETFのメリット
    2-1.米国の主要企業に分散投資ができる
    2-2.経費率が低い
    2-3.購入手数料無料の銘柄がある
    2-4.取引方法が豊富
  3. S&P500連動ETFのデメリット
    3-1.証券会社によっては自動積立投資ができない
    3-2.分配金の自動再投資ができない
    3-3.つみたてNISAでは一銘柄しか買付できない
    3-4.iDeCoでの運用は不可
  4. S&P500連動ETFの主な銘柄
    4-1.バンガード・S&P500ETF
    4-2.iシェアーズ・コアS&P500ETF
    4-3.米国株式S&P500ヘッジ無ETF
  5. まとめ

1 S&P500連動のETFとは

ETFとは投資信託の中でも証券市場に上場しているものを言います。投資信託が、1日1回算出される基準価額をベースに取引価格が決まる一方、ETFは、市場が開いている時間内ならリアルタイムに取引できるのが特徴です。

ETFの運用対象となる指数の種類は様々あり、中でも米国の代表的な株価指数「スタンダード・アンド・プアーズ500種指数」を指数対象として運用されている商品がS&P500連動ETFです。ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している銘柄の中で、主要500企業の大型株の時価を基準として、時価総額加重平均によって株価指数が算出されています。

S&P500には成長著しい企業も多く含まれているため、次世代の米国経済を担う企業に分散投資をしながら、企業の成長および規模の拡大に伴う恩恵を受けることができます。

2 S&P500連動ETFのメリット

S&P500連動ETFに投資するメリットは以下の通りです。

2-1 米国の主要企業に分散投資ができる

S&P500は構成銘柄だけで米国株式の市場時価総額全体の8割を占めており、その業種も「情報技術」「金融」「ヘルスケア」「一般消費財」など多岐にわたります。

例えば、「アマゾン」「アップル」「グーグル」「フェイスブック」「マイクロソフト」といった「GAFAM」と呼ばれる米国の世界的な企業は全てS&P500の構成銘柄に含まれています。

また、金融分野では、世界的な総合金融グループである「JPモルガン」、有名投資家のウォーレン・バフェットが会長とCEOを務める「バークシャー・ハサウェイ」などがあるほか、一般消費財やヘルスケア関連の事業を手掛ける「ジョンソン・エンド・ジョンソン」もS&P500の構成銘柄企業です。

このような米国の代表的な企業へ分散投資を行えるのが、S&P500連動ETFのメリットです。

2-2 経費率が低い

ETFを運用するためには、管理費用や取引費用などの経費を負担する必要があり、その経費の純資産総額に対する割合のことを経費率と言います。ETFの経費率は、銘柄によってその割合が異なるものの、0.1~0.2%程度が目安になります。

一方、S&P500連動型の中には、経費率0.1%未満のETFもあるため、そのぶん運用効率を高めることができ、長期運用をしやすくなっています。

2-3 購入手数料無料の銘柄がある

ETFを購入する際、銘柄によっては買付手数料を負担しなければなりません。特に購入する海外株式や債券の指数と連動するタイプの場合、買付手数料が発生するケースも多く、S&P500連動ETFも例外ではありません。

しかし、証券会社によっては、手数料無料でS&P500連動ETFを購入可能です。例えば、楽天証券では、2020年1月6日から2銘柄のS&P500連動ETFを手数料無料で買付できるほか、SBI証券では、3銘柄のS&P500連動ETFが買付手数料無料の対象となっています。

2-4 取引方法が豊富

S&P500連動ETFの中には、海外ETFではなく、国内ETFの扱いとして買付できる銘柄もあります。国内ETF扱いのS&P500連動ETFの場合、現物買いのほか、信用買いの方法でも買付することが可能です。信用取引可能なS&P500連動ETFでは、レバレッジを効かせることで、より大きなリターンを狙うことも可能です。

また、投資では相場状況の急変により大きな損失が出るケースもあるものの、インバース(ベア)型のS&P500連動ETFでは、相場の値下がり局面でも積極的に利益を狙えるため、現物株取引等のリスクヘッジとして活用することもできます。

3 S&P500連動ETFのデメリット

S&P500連動ETFを購入する際は、以下のポイントに注意することが大切です。

3-1 証券会社によっては自動積立投資ができない

ETFは、投資信託と異なり、基本的に金額指定で購入することはできないため、毎月一定額を自動積立の方法で買付する自動積立投資に適していません。

ただし、証券会社によっては、自動積立の方法でS&P500連動ETFを買付できるところもあります。例えば、SBI証券の「米国株式・ETF定期買付サービス」では、毎月一定の日にあらかじめ設定した金額の範囲内で購入可能な口数を自動的に計算し、自動積立をすることが可能です。自動積立による買付の対象となるのは、SBI証券で取り扱っている米国ETF全銘柄で、その中にはS&P500連動ETFも含まれています。

一方、マネックス証券でも「マネックスアドバイザー」のサービスを利用すると、資産運用のアドバイスを受けつつ毎月1万円からS&P500連動ETFの自動積立ができるものの、手数料が発生します。

3-2 分配金の自動再投資ができない

投資信託は決算時に発生した分配金を受け取るか、または再投資に回すかを自由に設定することが可能ですが、ETFの場合、銘柄を構成する株式や債券から生じた利益や利息は分配されます。自動的に再投資に回すことができない仕組みのため、複利運用をする場合は、手動で新たに買い付ける必要があります。

3-3 つみたてNISA対応の銘柄は1本のみ

毎年40万円を買付上限額として、得られた利益が非課税になる「つみたてNISA」は、投資初心者でも始めやすい資産運用方法です。

しかし、つみたてNISAに対応しているETF銘柄は2021年7月25日時点で全7本となっており、そのうち、S&P500連動タイプは「上場インデックスファンド米国株式(S&P500)」(1547)の1本のみとなります。

3-4 iDeCoでの運用は不可

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、拠出した資金を自身で運用して資産形成を行い、60歳以降に給付金として受け取ることができる年金制度です。iDeCoには、拠出金全額が所得控除の対象になる、運用益が非課税になる、受取時に給付金の一定額が非課税になるなどのメリットがあります。

しかし、iDeCoで運用できる商品は、定期預金や保険などの元本保証商品と投資信託のみとなっており、S&P500連動ETFは運用対象外です。

4 S&P500連動ETFの主な銘柄

長期投資に適したS&P500連動型のETFは様々な種類があります。その中でも主な銘柄は以下の通りです。

4-1 バンガード・S&P500ETF

バンガード・S&P500ETFは、米バンガード社が運用している海外ETFです。バンガードは、長期投資向けの低コスト商品を提供しているほか、顧客重視のサービス形態をとっており、国内ではSBI証券や楽天証券で取り扱われています。

バンガード・S&P500ETFの上位保有銘柄には、「アマゾン」「マイクロソフト」「アップル」「グーグル」「バークシャー・ハサウェイ」と世界的な企業が並んでいます。

一方、経費率は0.03~0.04%の最安水準で、純資産総額の基準価額と証券市場での取引価格との乖離率も0.1%と小さいため、運用パフォーマンスの高い商品となっています(2021年7月25日時点)。

4-2 iシェアーズ・コアS&P500ETF

iシェアーズ・コアS&P500ETFは、ブラックロック社が運用する海外ETFです。ブラックロックは、米国のニューヨークに本社を置く世界最大級の資産運用会社です。

iシェアーズ・コアS&P500ETFは、2000年5月15日にファンドが設定され、運用年数は20年以上となります。経費率は0.03%なのでバンガード・S&P500ETFと同水準です。

また、2021年6月30日時点までの運用利益は7.27%で、S&P500の同時期の運用利益は7.33%であるため、指数との乖離率も0.06%の範囲内で収まっています。

iシェアーズ・コアS&P500ETFの保有銘柄は、バンガード・S&P500ETFとほぼ同じ内容ですが、「アップル」「マイクロソフト」等のIT企業が全体保有銘柄の5%以上を占めています。

国内で取り扱っている証券会社は、楽天証券、SBI証券などです。

4-3 米国株式S&P500ヘッジ無ETF

米国株式S&P500ヘッジ無ETFは、野村アセットマネジメントが運用している国内ETFです。「NEXT FUNDS S&P 500 指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信」(2633)が正式名称であり、2021年3月31日に上場した新興のETFです。

米国株式S&P500ヘッジ無ETFの信託報酬は、2021年3月29日~2022円3月30日までの期間が年率0.077%(税込)、2022年3月31日以降は、年0.099%(税込)と、投資信託と比較しても最安水準なのが特徴です。

また、米国株式S&P500ヘッジ無ETFの決算日は、毎年の3月10日と9月10日の年2回となっています。そのため、分配金の支払いも上記決算日に毎年2回行われます。

まとめ

S&P500連動ETFは、世界経済をリードする米国主要企業に分散投資ができるほか、経費率が低いため、長期の資産形成に向いた金融商品です。また、リアルタイムで取引ができるため、株取引のように短期売買もできる上、レバレッジタイプや信用取引で運用すると、より大きなリターンを狙えるほか、リスクヘッジの手段にもなります。

一方、自動積立や分配金の自動再投資に向かないなどの注意点もあるので、S&P500連動ETFを検討する際は、メリット・デメリットや各銘柄の特徴をしっかり把握した上で選ぶことが大切です。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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