株式累積投資は、毎月同じ額で株式を購入し、中長期的に運用する株式投資の手法です。累積投資(るいせきとうし)は略して「るいとう」と呼ばれています。毎月決まった日付に決まった金額で、単元未満株を購入するため、積立のような投資が可能です。
しかし、「株式累積投資(るいとう)と投資信託は違うの?」「メリット・デメリットを知ってから検討したい」「株式累積投資の始め方は?」という疑問の声も聞かれます。
そこで、この記事では、株式累積投資の特徴とメリット・デメリットをまとめました。株式累積投資を検討する際の参考にしてください。
目次
- 株式累積投資(るいとう)とは?
- 株式累積投資の始め方
- 株式累積投資のメリット
3-1.月々の投資は1万円から始められる
3-2.ドル・コスト平均法でリスクを軽減できる
3-3.複数銘柄の購入で分散投資ができる
3-4.銘柄の種類が多い - 株式累積投資のデメリット
4-1.手数料が投資信託に比べて割高
4-2.ネット証券会社での取り扱いは少ない - 株式累積投資と投資信託を比較
- まとめ
1.株式累積投資(るいとう)とは?
株式累積投資とは、毎月定額で株式を購入する手法のことです。株式累積投資を略して「るいとう」と呼びます。一定金額で同一株を買い付けられるため、積み立てのような感覚で保有株式数を徐々に増加させていく投資方法です。
株式累積投資は、証券会社が指定している銘柄から自由に選べます。また、1口座で購入できる銘柄の数は証券会社によって決められています。通常、数万円以上のまとまった資金がないと単元株(100株)は購入できないものの、株式累積投資を利用すればそれ未満の少額から株式を購入可能です。
注意点として、保有銘柄に配当金がある場合、自動的に再投資され金銭は受け取れないということは覚えておきましょう。
2.株式累積投資の始め方
株式累積投資の始め方は、以下の手順となります。
- 購入したい銘柄を選ぶ
- 毎月の買い付け金額と買付日を選ぶ
- 入金方法を決める
- 株式累積投資がスタート
株式累積投資は、証券会社や利用コースによって違いはあるものの、主に支店窓口・オンライン・電話での取引が可能です。株式累積投資はNISAやつみたてNISAのように専用の口座開設の必要はなく、総合取引口座で取引できます。
なお株式累積投資はネット証券会社での取り扱いは少なく(ネオモバやauカブコム証券など一部サービスに類似機能あり)、大手証券会社にて対応しているケースが多くなっています。すでに口座を保有している、あるいはこれから口座開設を考えている証券会社が株式累積投資に対応しているかどうかは、事前に確認しておく必要があります。
3.株式累積投資のメリット
ここからは、株式累積投資を利用する上での特徴やメリットを見ていきましょう。
3-1.月々の投資額は1万円から始められる
株式累積投資の場合、投資できる金額は月々1万円からと設定されていることがほとんどです。そのため、通常の株式のように100株単位で購入する必要はなく、まとまった資金がなくても投資が可能です。
また、設定金額は1,000円単位で変更できるため、無理のない範囲で投資額を決められます。毎月自動的に引き落としされるため、投資のタイミングを決める必要もありません。
少額から投資をスタートでき、毎度購入のタイミングを探る必要もないなど、株式投資へのハードルが低くなっている点はメリットだといえます。
3-2.ドル・コスト平均法でリスクを軽減できる
株式累積投資は、ドル・コスト平均法で投資していく手法です。ドル・コスト平均法とは、一定額を定期的に投資する方法です。株価が高いときは購入株数を少なく、株価が低いときには購入株数が増えるため、中長期的に平均買付単価が平準化される効果があります。
株式累積投資では、ドル・コスト平均法により購入時期の分散ができるため、リスクを軽減する効果があります。
3-3.複数銘柄の購入で分散投資ができる
株式累積投資では分散投資が可能です。分散投資とは、複数の銘柄(資産)に投資を行い、価格変動の影響を減らす方法です。
たとえば、1つの銘柄のみを購入していると、その株価が下落した場合のリスクは高くなります。しかし、値動きの異なる複数の銘柄を購入しておくことで、リスクを軽減することができます。
株式累積投資は、証券会社が指定した複数の銘柄から選択できるため、必ず同一株を購入しなければならないという訳ではありません。そのため、複数の銘柄を組み合わせることで、リスクを軽減させながら積み立てていくことが可能です。
3-4.銘柄の種類が多い
株式累積投資で取り扱っている銘柄の種類は、以下になります。
- 国内金融商品取引所で上場している株式
- ETF(上場投資信託)
- REIT(不動産投資信託)
- 優先出資証券
それぞれの証券会社で指定されている銘柄は違うものの、その数は数千銘柄と数多くあります。ラインナップされている銘柄の中には、普段よく利用しているコンビニ・家電メーカー・自動車メーカー・銀行など、身近な企業も多く含まれています。自分に合った銘柄を多くの選択肢の中から選べるでしょう。
なお、分散投資効果を高めたいのであれば、分散性の高いETFの購入比率を高くするのが効率的です。あるいは自身で個別株式を選定しつつ、債券ETFやREITなども組み合わせることでも高い分散効果を発揮することが可能になります。
4.株式累積投資のデメリット
株式累積投資を利用する上での注意点について触れていきます。株式累積投資を始める前に、デメリットについても検討しましょう。
4-1.手数料が投資信託に比べて割高
株式累積投資の手数料は、証券会社によって名称や金額に差はあるものの、以下の2点が必要となります。
- 株式累積投資口座管理料(事務手数料)
- 委託手数料
株式累積投資口座管理料(事務手数料)は、事務諸経費として毎年支払う手数料です。委託手数料は、1売買単位の約定代金によって、1単元の約定にかかる手数料です。1単元の約定にかかる手数料は証券会社によって違うため、事前に確認しましょう。
株式累積投資は口座管理に対して、毎年手数料が掛かる点には注意が必要です。同じく積立投資ができる投資信託と比較して、株式累積投資の手数料は割高といえる水準となっています。
4-2.ネット証券会社での取り扱いは少ない
先述のように、株式累積投資は、多くのネット証券会社では利用することができません。大手証券会社と一部のネット証券でしか取り扱っていないのは、株式累積投資の手数料が割高となることが理由のひとつです。
株式累積投資は主に、支店窓口がある大手証券会社で取り扱われています。しかし、証券会社によってはオンラインでの申し込みは受け付けていないケースもあります。そのため、株式累積投資をスタートする際は、事前に証券会社の対応状況と申込方法を確認しておく必要があります。
4-3.株主優待に制限がある
株式累積投資は株式に投資する手法であるものの、単元未満で株式を購入するため、すぐには株主優待を受けられません。株主優待とは、株を所持していることへの返礼として、企業から商品や優待券などが送られてくるシステムです。
株主優待を受けたい場合は、持分が単元株式数に達することが必要です。そうすれば投資家(株主)の名義となり、株主優待を受ける権利が獲得できるようになります。そのため、株主優待の恩恵をすぐに受けたい場合は注意が必要だといえます。
5.株式累積投資と投資信託を比較
株式累積投資について触れたうえで、以下では投資信託積立(積立投信)との違いについて見ていきましょう。共通点は毎月一定の金額を投資する点です。
項目 | 株式累積投資 | 投資信託積立 |
---|---|---|
月々の投資額(目安) | 1万円から | 100円から |
手数料 | 高い | 安い |
取扱区分 | 国内金融商品取引所で上場している株式・REIT(不動産投資信託)・ETF(上場投資信託)・優先出資証券等 | 株式・債券・REIT(不動産投資信託)・その他資産・資産複合 |
取り扱い証券会社 | ネット証券会社での取り扱いが少ない | ネット証券会社でも取り扱いあり |
NISAの取り扱い | なし | 銘柄によってあり |
比較してみると、毎月同じ額を積み立てていく手法は同じであるものの、株式累積投資と投資信託はそれぞれ異なる特徴を持つということが分かります。
株式累積投資は、月々の投資額を1万円からに設定している証券会社が多く、少額で株式投資が始められます。対して、投資信託は100円からスタートでき、さらに開始のハードルが低いうえ、様々なネット証券会社でも取り扱いがあります。
株式は一般的に投資信託よりもリスクが高く、したがって大きく稼げる可能性もあれば大きく元本割れするケースもあります。値動きは銘柄によって大きく異なるため、うまく成長企業や割安企業を見つけられれば、短中期的にまとまった利益を狙うこともできます。
株式累積投資では、定期・定額で買い付けるドル・コスト平均法を行うことによって、このような株式投資の高いリスクを平準化できるという強みがあります。また選べる銘柄数も投資信託に比べて多いことから、分散投資も可能なほか、銘柄選定力を磨けば大きな利益を得られる可能性も上がります。
一方、株式累積投資は投資信託と比べると以下のようなデメリットもあります。
- ネット証券会社での購入は限られる
- NISA・つみたてNISAの口座は利用できない
- 手数料が高い
株式累積投資と投資信託積立の特徴をそれぞれ比較しながら、どちらが自分に合っているサービスか検討してみましょう。
まとめ
株式累積投資は少額から株式投資をスタートできます。リスクを軽減するドル・コスト平均法で積立投資を行う手法なので、投資経験が浅い人も挑戦しやすい投資方法といえます。一方、手数料は投資信託に比べて割高で、購入できる証券会社は限られるなどのデメリットもあります。
メリット・デメリットを知った上で、株式累積投資の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
- 外国株(米国株など)が買えるネット証券会社
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鈴原 千景
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