毎月分配型投資信託のメリット・デメリットは?購入判断の仕方も

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投資信託には分配金が定期的に支払われる「分配型」の投資信託があります。そして、分配型のなかでも毎月分配金が支払われる「毎月分配型投資信託」は初心者から人気がある一方で、注意が必要な商品でもあります。

今回は毎月分配型投資信託のメリットやデメリット、購入判断の仕方について解説しますので、投資信託を始めたい方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. 毎月分配型投資信託の基礎知識
  2. 毎月分配型投資信託のメリット
  3. 毎月分配型投資信託のデメリット
    3-1.複利効果が薄れる
    3-2.投資した元本が取り崩されているケースがある
  4. 毎月分配型投資信託の購入を判断する方法
    4-1.毎月の分配金よりも毎月の収益が高い投資信託を選ぶ
    4-2.長期運用を目的とする場合は購入しない
  5. まとめ

1.毎月分配型投資信託の基礎知識

毎月分配型投資信託とは、毎月指定の日に決算が実施され、そのたびに投資家に対して分配金が支払われる投資信託のことをいいます。

投資信託の分配金は年に1回~2回支払われるのが一般的ですが、毎月分配型投資信託では毎月分配金が支払われることから、かつては投資信託の人気商品の上位を占めていた時期がありました。

しかし、本当に顧客のためになる金融商品かどうかを金融庁が疑問視するようになってから、多くの銀行や証券会社が販売を取りやめたという経緯があります。しかし、現在でも毎月分配型投資信託には根強い人気がある状況です。

2.毎月分配型投資信託のメリット

毎月分配型投資信託の大きなメリットは、短期的にある程度の分配金をもらえるということです。

毎月1回必ず決済が行われて分配金が支払われるため、自分のお小遣いや年金の足しにしているケースも多く見られます。分配金が毎月入ることから気持ちにも生活にも余裕が生まれやすくなるのは魅力だといえます。

3.毎月分配型投資信託のデメリット

一方で、毎月分配型投資信託には以下のデメリットもあります。

  • 複利効果が薄れる
  • 投資した元本が取り崩されているケースがある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1.複利効果が薄れる

複利の効果が薄れてしまうというのが、毎月分配型投資信託の大きなデメリットといえます。

複利とは、とても簡単にいえば「利息にも利息がつく」ということです。例えば、金利が3%の預金口座があるとします。そこに100万円の資産を預けた場合、1年後には100万円の3%の3万円を利息として受け取れます。

そして、利息の3万円をそのまま預金口座に預けたとしたら、1年後には資産の100万円に利息の3万円を追加した合計103万円に対して、3%の利息となる3万900円を受け取ることができるのです。

これは、1年目に発生した利息の3万円に3%の金利が掛かり、900円の利息が発生したことを意味します。このように利息に利息がつくことを複利といいます。

借金をした場合、利子に利子が発生して雪だるまのように返済額が膨らんでいきますが、投資で得た利息を再投資する場合は、利息に利息が発生するので、資産がどんどん多くなっていきます。これが複利の効果です。

投資信託は複利効果を活用する金融商品

そもそも投資信託は複利効果を活用して資産を長期運用することを前提とした金融商品です。投資信託を運用して発生した利益を元本に追加する(=再投資する)ことで、利益はさらに上乗せされるので、資産が増えていくという仕組みです。

しかし、毎月分配型投資信託では、発生した利益を再投資ではなく分配金として投資家に還元してしまうため、複利効果が薄くなりやすいのです。

場合によっては、薄いどころか全く複利効果がないケースもあるということは、あらかじめ理解しておく必要があります。

3-2.投資した元本が取り崩されているケースがある

投資している元本が取り崩されているケースがあるというのも、毎月分配型投資信託のデメリットです。

まず、投資信託の分配金には、以下の2種類があることを理解しておきましょう。

  1. 普通分配金
  2. 特別分配金

分配金に回すお金のことを「分配原資」といいますが、普通分配金と特別分配金では分配原資が大きく異なります。

普通分配金の分配原資となるのは、投資信託を運用して発生した利益です。つまり、投資信託によって儲けたお金になりますので、分配金として還元されることには何の問題もありません。

一方、特別分配金の分配原資は、もともと投資している元本の一部なのです。

実は、特別分配金は「元本払戻金」ともいわれています。例えば、毎月1万円の特別分配金が受け取れる投資信託があるとします。1ヶ月後の運用益が5,000円しか発生しなかった場合、運用益から5,000円、投資した元本から5,000円が投資家に支払われていることになります。

払い戻される元本は運用益ではないため税金が掛かることはありませんが、元本を取り崩しているため、投資した金額をただ返却されている状態に過ぎません。そのため、長期的に資産を増やしていきたいと考えている場合、元本割れリスクを軽減できる一方で投資効率が悪くなってしまうというデメリットがあります。

また、毎月の分配金に投資元本が含まれていることを知らずに、実は損失が発生していたことに気が付かなかった、というケースもあります。そのため、特別分配金の仕組みをあらかじめ理解し、運用益がちゃんと発生しているのか、毎月確認する必要があるといえます。

4.毎月分配型投資信託の購入を判断する方法

毎月分配型投資信託を購入する場合には、以下のポイントに注目して購入を判断しましょう。

  • 毎月の分配金よりも毎月の収益が高い投資信託を選ぶ
  • 長期運用を目的とする場合は購入しない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1.毎月の分配金よりも毎月の収益が高い投資信託を選ぶ

毎月分配型投資信託を購入する場合は、毎月の分配金より収益が高い投資信託を選びましょう。分配金よりも投資信託の収益が少ない場合、特別分配金によって分配金が支払われる可能性が高いからです。

投資信託の収益はファンドの詳細ページに記載されている直接利回りの数値から計算可能です。基準価格に直接利回りを掛けて12ヶ月で割ることで、毎月の収入を算出できます。仮に「基準価格7,000円」「直接利回り5.0%」の投資信託があるとすれば、以下の計算式で月の収益がわかります。

  • 7,000円×5.0%÷12=29.17円

月の収益の金額が設定されている分配金よりも高ければ問題ありません。逆に低ければ元本の払い戻しが多くなると考えられるため、低リスク運用を重視しない場合は、その投資信託は利用しないほうがいい可能性もあります。

4-2.長期運用を目的とする場合は購入しない

もし長期的に資産を増やしたいと考えているならば、毎月分配型投資信託も購入は控えた方が望ましいといえます。

先述したように投資信託は複利効果によって資産を増やしていくことを主にしています。しかし、毎月分配金が支払われる場合、その効果は薄くなってしまいます。そのため、長い目で資産運用を行いたい場合、発生した利益を再投資するタイプの投資信託を選択したほうが、将来的な資産形成に繋がりやすくなります(ただしリスクは高くなります)。

毎月分配金がもらえるというのは魅力ですが、特別分配金のような例もありますし、分配金の払い戻しが発生する可能性もあります。なるべく低リスクな運用を心掛けたいならともかく、資産形成を狙うのであれば効率は良くないといえます。
自分の状況や希望に応じて、適切な投資信託を選択することが大切です。

まとめ

今回は、毎月分配型投資信託のメリットやデメリット、購入判断の仕方について解説しました。

毎月分配金がもらえるため、直近の生活や心に余裕が欲しい方には向いている投資信託ですが、長期的な資産形成には向いておらず、またリスクは低くなるものの損失が発生するデメリットもあります。どのような仕組みになっているのかを理解して投資判断を下すようにしてください。

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山本 将弘

フリーランスWebライター。主に株式投資や投資信託の記事を執筆。それぞれのテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。将来に備えとリスクヘッジのために、株式・不動産など「投資」に関する知識や情報の収集、実践に奮闘中。