J-REITの銘柄選びのポイントは?人気銘柄5本の手数料や実績を比較

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株式や債券以外のファンドを探している方の中には、J-REITに興味をお持ちの方もいるのではないでしょうか。不動産価格は株価からやや遅れる形で連動しますが、賃料は株式に比べると景気に左右されにくい特徴があるため、分散投資先としても有効です。

この記事では、J-REITの特徴や、手数料、パフォーマンスなど様々な角度から分析を試みています。J-REITをポートフォリオの一部として組み入れたいと考えている方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 間接的な不動産運用ができるJ-REIT
    1-1.オフィスビルや商業施設などへの投資が可能
    1-2.直接投資とREITの違い
  2. J-REIT運用のしくみ
    2-1.REIT(不動産投資信託)
    2-2.実務は外部委託しなければいけない
  3. J-REITのメリットとリスク
    3-1.メリット
    3-2.想定されるリスク・デメリット
  4. J-REITの銘柄選びのポイント
    4-1.投資対象不動産の選別
    4-2.投資指標による選別
    4-3.投資銘柄や対象不動産の分散
    4-4.利回り以外も注目する
  5. 人気のJ-REITファンド5選
  6. まとめ

1.間接的な不動産運用ができるJ-REIT

J-REITは、不動産投資法人を通じてオフィスビルや商業テナントへ間接的な投資が可能なファンドです。以下に、詳しく解説します。

1-1.オフィスビルや商業施設などへの投資が可能

J-REITは、投資家から多くの資金を集めた上でオフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産物件を購入し、賃貸収入や売買益を投資家に分配する運用商品です。不動産売買を行いますが、構造上、投資信託と同じ方式で、法律でも投資信託に分類されています。

J-REITとは、日本国内のREITの意味をあらわし、アメリカで拡大した運用商品のREITを日本版に充てたもので、2001年から市場が開設され運用がスタートしました。

対象のオフィスビルや商業施設には、六本木ヒルズ森タワーや、大手町ファーストスクウェア、福岡のキャナルシティ博多などがあり、個人では投資が難しい大きな物件でもJ-REITを通すことで間接的な投資が可能となります。

1-2.直接投資とREITの違い

不動産への直接投資とREIT投資の違いについて、以下の表にまとめました。

項目 直接投資 REIT
投資対象 住宅メイン オフィス、商業施設、ホテルなど多岐にわたる
必要資金 多額 少額から投資可能
物件選び 経験と知識が必要 投資法人が選定する
分散投資 多額の資金で可能 少額でも可能
物件維持や管理、運営 自分か外部委託 投資法人が外部委託
流動性や換金性 低い 高い

REITと不動産直接投資の大きな違いは、投資金額の幅と分散投資効果です。

個人による現物不動産への直接投資の場合、選択可能な物件は住宅が多くなりますが、REITでは様々なタイプの不動産へ少額から投資可能です。物件の選定や管理は完全に投資法人に一任できますので、不動産の知識が浅い方でも参加しやすいメリットがあります。

不動産への直接投資のメリットは、ローンを組んでレバレッジを効かせた取引が可能な点です。不動産を担保としてローンを組むと、所持金の数倍もの金額の物件を所有することができます。

REITと直接投資、どちらにもメリット・デメリットがありますので、よく確認のうえ、投資対象を選択しましょう。

2.J-REIT運用のしくみ

J-REITはどのような仕組みにて運用されているのでしょうか。詳細を確認してみましょう。

2-1.REIT(不動産投資信託)

REITとは「Real Estate Investment Trust (不動産投資信託)」と呼ばれる運用商品で、不動産投資ファンドが、投資家から集めた資金をもとに複数の不動産を運用します。

仲介する不動産投資法人は、配当可能利益の90%以上を分配して、かつ一定の条件を満たすことで法人税が課税されない優遇措置を得ることができます。これにより利益のほとんどを分配金に回すことができる点は大きな特徴の一つです。REITに投資している投資家は、その分配金の恩恵を受けることができます。

2-2.実務は外部委託しなければいけない

不動産投資法人は運用などの実務を外部へ委託しなければいけない、という決まりがあるため。実際の運用は専門家である資産運用会社が行っています。不動産投資法人は受け皿となり、事務や資産運用はすべて外部委託される仕組みです。

投資信託のしくみと共通点がありますが、REITは投資に特化できるよう、仕組みの簡素化が進められています。

3.J-REITのメリットとリスク

J-REITのメリットとリスクを簡単におさえておきましょう。

3-1.J-REITのメリット

J-REITのメリットは以下の4点です。

利回りが高い

前述の通り、REITは特定の条件を満たすことで法人税が免除されますので、収益を100%分配金にまわすことができます。一般的な会社は、利益から法人税を引いた金額から配当金が分配されることを考えると、REITが相対的に高利回りな点も納得できます。

マーケットに余剰資金が出ている時は、不動産へ資金流入することが多く、昨今のマイナス金利政策も、REITの資金調達によい影響を与えています。

少額から取引可能

REITへの投資は不動産への直接投資に比べて少額から参加することができ、おおよそ十数万円程度からの投資が可能です。投資信託に比べると、最低投資金額は高めですが、不動産への直接投資は一般的に数百万~数千万円かかることを考えると、REITへの投資は少額からできる点に強みがあるといえるでしょう。

管理の手間がかからない

不動産へ直接投資を行い自分が大家となる場合、管理の手間がかかる場合があります。管理会社が管理してくれることも多々ありますが、任せっぱなしというわけにもいかず、物件の状況の把握は定期的に行わなければいけません。

一方、REITは間接的な不動産投資となり、投資家が物件を直接管理することはありません。別の仕事を本業としている方にとって、物件管理の煩わしさがない点は大きなメリットといえるでしょう。

換金性が高い

J-REITは証券取引所のREIT市場に上場されており、全国の証券会社の窓口やネット証券のオンライン取引によって時間内であればいつでも売買可能です。市場の健全性が維持されていれば、流動性、換金性については高いといえるでしょう。

実物の不動産を売却して現金化するには、それなりの時間と手間がかかります。売出しから資金の決済まで、早くて1ヶ月、場合によっては半年以上かかってしまう可能性もあります。

急に現金が必要な時に、実物不動産のような資産を数多く保有していると換金に苦労することにもなりかねません。資産形成にはJ-REITのような換金性の高い運用商品を組み込んでおいたほうが無難です。

3-2.想定されるJ-REITのリスク・デメリット

以下、J-REITのデメリットを2点ピックアップしました。

価格・金利変動リスク

価格や金利変動のリスクは投資信託や株と同じく、J-REITにもあります。REITは機関投資家のような大口投資家も多く購入しているため、相場が動く時はそれなりの価格変動となることもあり得るのです。

投資法人は金融機関から資金を借り入れているため、低金利下では有利な運用ができますが、市場金利が上がり始めると、少なからず資金繰りに影響を及ぼします。J-REITの運用は、金利の影響を受けることも考慮しておかなければいけません。

投資法人の倒産

投資法人が倒産してしまうケースも考えられます。主な原因は資金繰りが行き詰まることです。

投資信託の場合、ファンドの運用が終わると強制償還となり、資金は戻ってきますが、J-REITの場合、やや複雑です。資産が完全にゼロになる可能性は低いのですが、元本を大きく毀損することも考えられるため、倒産リスクとして認識しておきましょう。

4.J-REITの銘柄選びのポイント

J-REITの銘柄を選ぶ時におさえておきたいポイントを紹介します。

4-1.投資対象不動産の選別

J-REITはオフィスビルや商業ビルを始めとして、数多くの不動産へ投資しています。主な対象不動産は以下の通りです。

  1. オフィスビル
  2. 商業施設
  3. 住宅
  4. 物流施設
  5. 宿泊施設
  6. 病院、高齢者施設

J-REITの対象不動産の多くはオフィスビルと商業施設で占められており、おおよそ半分以上の割合となっています。オフィスビルと商業ビルは景気の影響を受けやすい傾向があり、景気後退の局面では収益を下げるケースが多く見られます。宿泊施設も同様に、景気の影響を大きくうける不動産です。

住宅や物流施設は、オフィスビル、商業施設に次ぐ割合で、一定数の需要が見込まれるため、オフィスビルや商業施設ほど景気の影響をうけません。

景気の影響を受ける不動産と比較的影響が薄い不動産がありますので、どのような不動産が投資対象となっているのか、構成銘柄の確認もしっかり行っておきたいところです。

4-2.投資指標による選別

J-REIT銘柄の運用成績を確認するにあたって、必要となる投資指標を紹介します。以下の6つをおさえておくと、銘柄の見極めに役立ちます。

  1. 分配金利回り
  2. 純資産
  3. NAV倍率
  4. NOI利回り
  5. 有利子負債比率
  6. 格付け

運用成績を確認するにあたって、もっとも注目するポイントは分配金利回りや純資産でしょう。どのくらいの資金で運用して、分配金を出しているのかを掴むための重要な指標となっています。

その他には、LTVとも呼ばれる有利子負債比率も大事な指標です。有利子負債比率とは、総資産に占める有利子負債(借入金)の割合を示す指標です。投資法人は借入金によるレバレッジ効果をもとに運用していますが、借入金の比率が高すぎると危険な運用となってしまいます。有利子負債比率がおおよそ50%を超えるとリスクが高いとされています。

NAV倍率は、J-REITの価格が割安かを判定するため、NOI利回りは総合的な収益力を見るための指標です。

4-3.投資銘柄や対象不動産の分散

J-REITも他の運用商品と同じく、投資対象の分散は重要です。特定の銘柄が値下がりしている状況でも、他の銘柄でカバーできる可能性があります。

オフィスビルと住居のように、不動産は用途によって特徴が異なるため、異なる値動きをすることも多く、特徴が異なるいくつかの不動産へ分散投資したほうがリスクを抑えられるのです。

4-4.利回り以外も注目する

利回りは運用成績を確認する上でわかりやすい指標ということもあり注目されますが、利回り以外の指標も確認しておきましょう。例えば有利子負債比率は利回りと同じくらい重要な指標です。いくら高い利回りを出し続けていても、無理な運用がたたって途中で倒産してしまっては意味がありません。

その他、純資産が多ければ運用にも幅がでますので、時価総額の値にも注目したいところです。

5.人気のJ-REITファンド5選

J-REITの銘柄を組み入れた人気のファンドを5本紹介します。

楽天証券より11月10日時点の情報を抜粋しました。

項目 基準価額 純資産(億円) 信託報酬(税込) トータルリターン/5年
ダイワJ-REITオープン(毎月分配型) 3,292円 4,136.28 0.79% 6.82
J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) 7,343円 3,900.15 1.10% 7.99
ニッセイJ-REITファンド(毎月決算型) 4,611円 1,142.52 1.10% 6.18
新光J-REITオープン 4,455円 1,032.81 0.71% 6.91
MHAMJ-REITインデックスファンド(毎月決算型) 9,635円 959.59 0.71% 7.02

純資産額が多い順に、J-REITを投資対象とした5本のファンドをピックアップしました。

J-REIT・リサーチ・オープンと、ニッセイJ‐REITファンドは、個別のJ-REIT銘柄を選定して運用する方針をとっていますが、残り3つのファンドは、東証REIT指数に連動するインデックスファンドです。

東証REIT指数は、不動産投資信託として上場している全銘柄を対象とした指数で、日本のREIT市場の状況を把握するために算出されている指標です。東証REIT指数に連動する運用は、「国内REIT市場のトレンドをカバーした運用」ということになります。

J-REIT・リサーチ・オープンと、ニッセイJ‐REITファンドは、アクティブファンドとなり、ファンドマネージャーの力量が試されるところですが、現在ファンドの運用は、5年のトータルリターンでおおよそ6%~8%となっています。

まとめ

REITはアメリカで生まれた運用商品で、日本には2001年から市場が開設されJ-REITという名称で運用がスタートしました。運用を仲介する投資法人は、特定の条件をクリアすると法人税が免除されるため、J-REITは高い分配金利回りが期待できる特徴があります。またJ-REITは株式や債券と異なる値動きをすることがあるため、分散投資先として有効です。

J-REITには東証REIT指数に連動するインデックスファンドと、個別の銘柄を選別して投資するアクティブファンドがあります。J-REIT全体の動きを捉えた運用がしたい場合はインデックスファンド、共感できる運用方針のファンドがあればアクティブファンドを選びましょう。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。