NISA恒久化が実現した場合の良い投資方法は?商品の選び方も

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NISAが2024年から新しい制度に変わることはすでに決まっていましたが、この度、新たに変更が加えられる公算が強くなりました。中でも注目ポイントは、非課税期間の恒久化です。

本記事では、自民党によってまとめられた与党税制改正大綱を元に、新しいNISAの変更点と、NISA制度の恒久化が実現した際の運用スタイルを紹介します。今後の資産形成にお役立てください。

※2023年1月8日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 今回発表されたNISA制度変更の提案概要
    1-1.一般NISAは成長投資枠へ
    1-2.新しいNISA制度のねらい
  2. 新制度のNISAにて考察する運用スタイル
    2-1.NISAの恒久化
    2-2.年間投資上限枠の引き上げ
    2-3.成長投資枠の使い方
  3. 新NISAを使ったポートフォリオの参考例
    3-1.生涯NISA枠1800万円を全て低リスク資産に
    3-2.成長投資枠を使って配当株やグロース株を狙う
  4. まとめ

1.今回発表されたNISA制度変更の提案概要

令和5年度税制改正の大綱等において発表された2024年度以降のNISA制度の方針を、以下の表にまとめました。

項目 つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有期間 無期限化 無期限化
非課税保有限度額 1,800万円(成長投資枠の限度額は1,200万円)
口座開設旗艦 恒久化 恒久化
投資対象商品 積立・分散投資に適した一定の投資信託 上場株式・投資信託など
対象年齢 18歳以上 18歳以上
現行制度との関係 2023年末までに現行の一般NISA、つみたてNISA制度で投資した商品は、新しい制度とは別の枠で現行の非課税措置を適用する

※成長投資枠では、整理、監理銘柄の株式銘柄や信託期間20年未満、高レバレッジの投資信託は対象外となっています。
※非課税保有限度額は、売却によって枠の調整ができる簿価残高方式です。
参照:金融庁「新しいNISA

今回発表されたNISA制度変更の提案は、すでに発表されている2024年からスタートする新NISAをアップデートしたものです。気になる変更点は、以下4点です。

  1. 非課税保有期間の無期限化
  2. NISAとつみたてNISAの併用可能
  3. 年間投資上限 つみたて120万円・NISA240万円
  4. 非課税期間中の最大投資金額1,800万円

恒久化を前提に様子見として設けられていた非課税期間は、今後の審議の結果によって、恒久化される可能性があります。現在、NISAとつみたてNISAは別枠とされ、どちらか一方を選んで運用するとされていましたが、新しい制度では一つのNISAに統一されるため、併用も可能です。

年間投資枠も大きく拡充され、提案が実現するとNISAの使い勝手は今よりも大幅に良くなります。

1-1.一般NISAは成長投資枠へ

現行の一般NISAは、成長投資枠として年間240万円、非課税期間中の最大投資金額1,200万円に設定され、新たな枠が設けられます。

成長投資枠の上限1,200万円に達すると、つみたて枠の上限は600万円、あわせて1,800万円となります。つみたてと通常の投資、どちらに比重をおいて運用するか、自分で決められる点は特徴的です。

なお、投資枠は簿価方式を採用しており、売却することであらたに枠を回復することもできます。

1-2.新しいNISA制度のねらい

自民党がまとめた令和5年度税制改正大綱によると、NISA改革を含む税制の見直しは、コロナ禍や物価高によって停滞している経済循環を活性化させる狙いがあるとされています。

新しいNISAが担う大きな目的は、企業の資金調達を後押しするための、家計からマーケットへの資金流入の加速です。また、国民のライフプランを支えるために、若年期から高齢期に至るまで、長期・積み立て・分散投資による継続的な資産形成をNISA制度によってサポートするねらいもあります。

成長投資枠の強化は、個人のライフステージに合わせて、投資に注力できる時期の集中投資をサポートするために設けられました。眠っている資金の流動性を促しつつ、企業の資金調達の活性化と国民のライフプランをサポートするという目的の元、今回の与党税制改正大綱がまとめられています。

2.新制度のNISAにて考察する運用スタイル

新しいNISAを活用した運用スタイルを考える際に、ポイントとなる変更点は以下のとおりです。変更点にちなんだ詳細を、以下に説明します。

  1. NISAの恒久化
  2. 年間投資上限枠の引き上げ
  3. 成長投資枠の使い方

2-1.NISAの恒久化

NISAの現行制度は、つみたてNISA最大20年、一般NISA5年の投資可能期間が設けられており、ロールオーバーによる延長ができる仕組みです。

実質、投資期間無期限化への暫定措置にも見えるロールオーバー制度でしたが、今回の提案が通るとNISAの投資可能期間は正式に無期限になります。

NISAの恒久化に伴って促進される運用スタイルは、低リスク資産の長期運用です。期間の区切りがなくなるため、本格的に20年以上の長期資産形成の計画ができます。

2-2.年間投資上限枠の引き上げ

現行NISAでは、つみたてNISA40万円、一般NISA120万円の投資上限が設けられています。新NISAでは、つみたてNISA120万円、成長投資枠となる一般NISAでは240万円へ増額されます。

現行制度では、つみたてNISAの月額投資上限は3.3万円でしたが、新制度では10万円まで投資可能です。

現行NISAの、投資資金に余力がある時でも3.3万円までしか投資できない点には、物足りなさを感じている人も多いのではないでしょうか。つみたてNISAの投資上限拡大は、より投資の自由度を広げてくれるでしょう。

また、成長投資枠の投資上限240万円は、投資余力がある際に、高配当狙いの株式銘柄を集中的に買い付けるなど、汎用的に活用できるでしょう。

2-3.成長投資枠の使い方

現行NISAでは、つみたてNISAと一般NISAの併用はできません。つみたてNISAによる長期資産形成を計画する場合、一般NISAを使った機動的な投資は諦めることになります。しかし、新制度のNISAでは併用が可能です。毎月のつみたての傍ら、資金に余裕がある時に限定して、配当利回りが高い銘柄を集中的に買い付けることもできます。

加えて簿価残高方式が新たに採用され、売却すると新たに投資枠が確保できる制度も見逃せません。従来のNISAと比較して、自由度が高く、機動的な取引ができるようになるでしょう。

3.新NISAを使ったポートフォリオの参考例

新しいNISA制度を活用したポートフォリオを2通り考えてみました。基本的には、つみたてNISAの制度に沿った運用か、成長投資枠を存分に活用した運用スタイルに振り分けることが望ましいのではないでしょうか。iDeCoとの併用も考えたいところです。

なお、成長投資枠を活用したハイリスクな投資信託の運用は制限されています。

3-1.生涯NISA枠1800万円を全て低リスク資産に

生涯の投資枠1,800万円は、つみたてNISAの年間上限枠120万円を15年間使い切ると達成できる金額です。投資するファンドにもよりますが、金融庁のシミュレーションによると、年間上限枠120万円を15年間使い切った場合、年率想定利回り1%で約1,900万円、2%で約2,100万円まで資産を増やすことができます。

選択する低リスクファンドは、全世界株式タイプのファンドか、資産を分散したバランスファンドが望ましいでしょう。一つの国や地域に投資する株式ファンドは、ややリスクが高くなります。

3-2.成長投資枠を使って配当株やグロース株を狙う

低リスク運用はiDeCoにまかせて、NISAではややリスクをとった運用を行うスタイルも考えられます。

NISAでは、株式の配当金にかかる税金も非課税になるため、配当利回りの良い個別株に投資したり、今後の成長が期待できるグロース株や、株主優待が良い銘柄へ投資したりなど、多くの選択ができるようになります。

成長投資枠の生涯投資枠は1,200万円です。集中的に資金を投入して買い付けることもできますが、投資信託と同様に少しづつ買い付けることもできます。

株式の運用は、投資信託と違う知識が必要になりますが、資産形成には有効です。投資信託と株式のハイブリッド式資産形成も新NISAであれば実現できる可能性があります。

まとめ

今回、自民党によってまとめられた「令和5年度税制改正の大綱等」は、閣議決定を経て改正法案が国会へ提出されます。細かい点が変更となる可能性はありますが、本会議で可決されると新しいNISA制度が適用されます。

NISA制度の恒久化が実現すると、ひとまずNISA制度は完成といえるのではないでしょうか。iDeCoとNISA、両制度を上手く活用して、長きにわたる資産形成を着実に進めていきたいところです。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。