NISAでは株・投資信託どちらを買えばいい?特徴と状況から解説

年間120万円の購入限度額の中で得た運用益が最長5年間非課税になる「一般NISA」では、投資信託以外に株式への直接投資ができます。非課税になる運用商品の選択肢が多いのは喜ぶべきことですが、実際にどちらに投資すべきか悩む人も多いのではないでしょうか。

この記事では、一般NISAで株式と投資信託に投資する方法と、それぞれに適した人についてなどを解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

※本記事は2021年5月27日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. NISAの概要と一般NISA
    1-1.NISAには3種類の制度がある
    1-2.一般NISAとは?
    1-3.一般NISAの注意点
  2. NISAで株式と投資信託どちらを買うべきか
    2-1.キャピタルゲインを狙う株式投資
    2-2.インカムゲインを狙う株式投資
    2-3.一般NISAでの投資信託
  3. 2024年に改正される一般NISA
  4. まとめ

1.NISAの概要と一般NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度」のことで、2014年(平成26年)に始まりました。年間120万円の投資枠の中で、上場株式・ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)・株式投資信託などの運用益が5年間非課税になるという制度です。

NISAを活用しない場合、運用益には20.315%の税金がかかります。10万円の運用益なら、税引き後の手取りは約8万円です。NISAの口座内で発生した利益には課税されないので、NISAの利用できる範囲内ではNISAを活用するようにしましょう。

1-1.NISAには3種類の制度がある

NISAは2016年(平成28年)に「ジュニアNISA」、2018年(平成30年)に「つみたてNISA」が加わり、3種類になりました。NISAは他のNISAと区別するために「一般NISA」と呼ばれています。このうち、20歳以上の人が利用できるのが一般NISAとつみたてNISAです。

つみたてNISAは積立投資に特化した制度で、年間40万円の投資枠があり、非課税期間は最長20年間です。運用できる商品は金融庁の認可を得た一定の投資信託に限られています。

口座の開設は1人につき1つの金融機関のみで、金融機関は1年単位で変更することができます。また、一般NISAとつみたてNISAはどちらか1つしか利用できません。

1-1.一般NISAとは?

NISAロールオーバー出典:金融庁「NISAの概要」

一般NISAは、一括投資も積立投資もできます。購入した金融商品の換金時期に制限はなく、資金の使い道も問われません。非課税期間である5年の終了時には、保有する金融商品の扱いを次の3つから選べます。

  • 翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバーする)
  • NISA以外の課税口座(一般口座・特定口座)に移す
  • 非課税期間終了前に売却する

このうちロールオーバーの場合、投資元本に含み益を加えた全額を翌年に繰り越せます。たとえば、120万円の非課税枠全額で株式を購入し、5年後の評価額が200万円になっていた場合、200万円全額を翌年の非課税枠に繰り越せるのです。仮にその後もロールオーバーした分が値上がりした場合、引き続き5年間は非課税で運用できます。

1-2.一般NISAに向いている人とは?

一般NISAとつみたてNISAはどちらかしか選べません。では、一般NISAが向いている人とはどんな人でしょうか。

運用できる余裕資金がある人

一般NISAの非課税投資枠は年間120万円とつみたてNISAの40万円に比べ大きく、一括投資もできます。非課税枠を使い切らなくてはいけないわけではありません。しかし、使わなかった非課税枠は繰り越せないため、できるだけ使えたほうがメリットがあります。そのため、運用できる使い道の決まっていない余裕資金がある人はNISAの活用が向いています。

リスクを取って大きなリターンを狙いたい人

一般NISAでは投資信託以外に、株式などつみたてNISAでは購入できない金融商品も投資対象です。そのため、株式でリスクを取って大きなリターンを得た場合の非課税メリットも大きくなります。株式投資でキャピタルゲインを狙う人は、購入金額枠が大きい一般NISAを活用しましょう。

さまざまな投資を試したい人

一般NISAでは一括投資・積立投資の両方ができて、運用できる金融商品も投資信託だけではありません。1種類だけでなくさまざまな投資にチャレンジしたい人にも適しています。たとえば、投資信託を毎月2万円ずつ積み立て、残りの枠で複数の株式を購入することなども可能です。

1-3.一般NISAの注意点

一般NISAで運用していく上で知っておきたい注意点について解説します。

非課税枠の繰越や再利用ができない

NISAでは1年間の非課税投資枠を使い切らなかった場合、未使用分を翌年に繰り越すことはできません。たとえば、一般NISAで1年間の投資額が50万円で70万円分が未使用だった場合、未使用分の非課税枠は翌年には消滅します。よって、翌年の非課税枠も120万円です。

また、NISAでは途中換金は自由にできますが、一度使った非課税枠は換金後でも再利用はできません。

損益通算と損失の繰越控除ができない

NISAで損失が発生した場合、特定口座など他の課税口座との損益通算はできません。株式や投資信託で損失が出た場合、課税口座では損益通算が行われ、控除しきれない損失は確定申告によって3年間の繰越控除が認められています。

株式や投資信託は元本保証でない金融商品なので、時には損失が生じることもあります。しかし、NISA口座で発生した損失については課税口座との損益通算も繰越控除もできないことに注意が必要です。

課税口座に移す場合、その時点の価格が取得価格となる

5年間の非課税期間が終了して、保有していた金融商品をNISA口座から課税口座に移す場合、課税口座においては移管時の時価が取得価格となります。

たとえば、50万円で買い付けた株式が移管時に30万円に値下がりしたとします。その場合の取得価格は30万円になります。その後、株式が70万円になった時点で売却したとすると、本来の取得価格は50万円なので利益は20万円のはずです。しかし、移管時に取得価格は30万円に書き換えられているため、利益は40万円ということになり、40万円に対して課税されます。

このようなケースを防ぐため、含み損のある金融商品を課税期間終了後も継続して保有する場合は、ロールオーバーを検討しましょう。

2.一般NISAで株式と投資信託どちらを買うべきか

以下の表は、一般NISAの商品別の買付額の内訳を示したものです(2020年9月末時点)。大多数が上場株式と投資信託で占められています。

商品 買付額 商品別比率(%)
総額 20兆2,060億6,899万円 100.0%
上場株式 8兆4,589億522万円 41.9%
投資信託 11兆1,764億3,393万円 55.3%
ETF 3,758億8,429万円 1.9%
REIT 1,948億4,555万円 1.0%

出典:金融庁「NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査 (2020 年 9 月末時点)」より筆者作成
※2014~2020年の利用枠で買付があった金額(ロールオーバーによる受入額を含む)の合計

では、一般NISAの投資では、株式と投資信託のどちらで運用すればいいのでしょうか。先述した内容も踏まえ、考えていきましょう。

2-1.キャピタルゲインを狙う株式投資

株式投資には値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う投資方法と、配当金や株主優待などのインカムゲインを得る投資方法があります。

このうち、キャピタルゲインを狙う投資方法は、「NISAの非課税メリットを最大限に生かすために高いリターンを求めたい」と考える、主に株式投資の経験者が主流となっています。なぜなら、安く買って高く売るスタイルの投資では、銘柄選定や取引のタイミングが重要であり、自分なりの運用方針を持つ人でないと適切な投資判断をすることは難しいからです。

損益通算ができないことに注意

NISAでの株式投資では損益通算ができないため、損失を出さないようにすることは重要です。しかし、NISAには非課税枠の再利用ができないという特徴もあるため、非課税枠の活用にとらわれて利益確定のタイミングを逸するリスクも考えられます。NISAでは運用益がなければメリットがありません。その点を理解し、通常の株式投資における利益確定の判断のとおりに取引をするようにしましょう。

IPO投資もNISAが利用できる

IPO投資がNISA口座でできる証券会社もあります(SBI証券マネックス証券SMBC日興証券など)。IPOとは新規株式公開のことで、IPO投資は主に、上場前の割安な公募価格で株式を購入し、上場後に値上がりしたらすぐに売却する投資方法を指します。一般的にIPO株は初値が公募価格より値上がりしやすいため人気が高く、購入は抽選になってしまうことがほとんどで、当選しないと購入できません。

そのため、IPO投資をする人は複数の証券会社に口座を開設し、NISA対応の有無にかかわらず当選しやすくする戦略を取ることもあります。しかし、NISA口座でIPO株を購入できて期待通りに値上がりした場合のメリットは大きいため、IPOに実績のある証券会社でNISA口座を開設するとよいでしょう。

ただし、IPO投資では値上がりを保証されているわけではなく、損失を被る可能性があることは理解しておいてください。

2-2.インカムゲインを狙う株式投資

配当金などインカムゲインを重視する場合は、3年から5年の長期保有を想定して銘柄を選ぶ必要があります。配当は業績によって減額されたり、無配当になったりすることもありますので、単に配当利回りが高いことだけではなく、事業が成長しているか・今後も継続的な成長が見込めるか、といったことまで含めて検討するようにしましょう。

たとえば、年間120万円分の株式を購入し配当利回りが3%の場合、1年分の配当は3万6千円で、5年分なら18万円です。特定口座などの課税口座であれば、約3万7千円とおよそ配当収入の1年分の税金がかかりますが、NISA口座であれば非課税となります。

なお、NISA口座では国内株式の配当金受け取り方式を「株式比例方式」に設定しておく必要があります。また、高配当株式にも値下がりのリスクはあるため、長期保有の場合でも値動きには注意するようにしましょう。

インカムゲイン狙いで株に投資をする場合は米国株式も選択肢に

NISA口座を開いている証券会社でNISAでの米国株式が取引できるなら、選択肢の1つになります。高配当株式投資は1銘柄に集中して投資するより、業種などが異なる銘柄に分散して投資したほうがリスク軽減につながります。

日本株の場合は100株単位で売買されるため、株価5,000円の銘柄の場合、最低でも50万円の資金が必要です。120万円の枠の中で多くの銘柄に分散投資するには単価の安い銘柄を探さなければなりません。その点、米国株式は1株から取引できるので、複数の銘柄への分散投資が簡単にできます。

また、米国の企業は株主への配当を重視する傾向にあるため、配当回数も年4回の銘柄も多く、保有中に配当を得られる機会も多くなっています。

2-3.一般NISAでの投資信託

一般NISAにおける投資信託では、運用初心者からリスクを取って利益を追求したい人まで、さまざまなニーズに応えられます。

一般NISAの投資信託はつみたてNISAに比べて選択肢が多く、個々のリスク許容度に応じた商品が選べます。また、購入方法も積立・一括購入いずれも選択できます。ただし、長期間にわたって積立をする場合は、つみたてNISAを選ぶことで、非課税期間が長くなるメリットがあります。

NISAではリバランスのデメリットに注意

NISAでは資産のリバランスをするとデメリットが生じることに注意が必要です。

リバランスとは、株式や債券などの資産配分が当初の割合から変化した時に、元の割合に戻すことを言います。例えば、株式と債券の配分を半分ずつに決めてそれぞれに投資する投資信託を1万円ずつ購入したとします。ある時点で株式が2万円に値上がりし、債券に値動きがなかった場合、株式を5,000円分売却して債券を5,000円分購入し、両方を1万5,000円にします。

NISAにおいてリバランスのために売却をすると、その分の非課税枠を失うことになります。そのため、リバランスはなるべく行わないほうがいいということなのです。

投資信託はバランスファンドを中心に

一般NISAで投資信託を一括購入する場合はバランスファンドを選ぶといいでしょう。

NISAでは損益通算ができないため、非課税期間終了時に利益が出ていることが望ましいと言えます。また、NISA口座内で複数資産クラスを持ってリバランスしようとした場合、売却によって非課税枠が失われてしまいます。

このようなNISAの制度上の制約を考慮すると、ファンドの内部でリバランスされるバランスファンドで、リターンの振れ幅があまり大きくないものが選択肢となるでしょう。

また購入のタイミングの判断が難しい場合、毎月10万円ずつなど複数回に分けて購入し、購入単価を均すのも1つの方法です。

3.2024年に改正される一般NISA

一般NISAは2024年に制度が変わります。

新・NISAの概要

年間の非課税投資枠 1階:20万円
2階:102万円
非課税期間 5年(合計610万円の非課税枠)
口座開設期間 2024年から2028年
投資対象商品 1階:つみたてNISAと同様の公募株式投資信託等
2階:上場株式・公募株式投資信託等

大きな変更点としては、「2階建て」となり、1階部分の積立投資が必須となる点です。2階部分の投資をする場合には積立投資もしなくてはなりません。

制度変更前の2023年12月末時点で現行の一般NISAを利用している人は新しいNISAへ移行されることになっています。その場合、1階部分の積立投資は不要とされています。

まとめ

一般NISAは非課税で株式の直接投資も投資信託の購入もできるため、さまざまなニーズに応えられる非課税投資制度です。非課税メリットを最大限に生かすためにリスクの高い株式の直接投資で大きなリターンを狙うのも1つの考え方です。また、NISA制度の制限を考慮して、あまり大きな値動きの幅にならないようなバランスファンドでの投資も選択肢の1つです。

いずれにしても制度をよく理解して、自分の投資スタイルに合った方法で一般NISAを活用しましょう。

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松田 聡子

松田 聡子

明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。運営サイト : 働く女性・子育て世代のためのマネーセミナー