株を長期保有するメリット・デメリットは?保有し続けるコツも

株式の投資スタンスは大きく分けると、株価の変動を収益のタイミングととらえ短期間で売買する短期投資と、企業の中長期的な成長に期待し株式を長期間保有する長期投資の2種類があります。

短期投資は投資というより投機に近い取引です。一方、長期投資は将来にわたって大きく成長が期待できる企業に投資をするため、将来的に株価の上昇が期待できます。また、企業が成長することで、配当金の増額も期待できます。

今回は、株を長期保有(長期投資)する際のメリット・デメリットと、長期投資を実際に行う際に大切になる、保有し続けるための考え方について解説します。

目次

  1. 長期投資のメリット
    1-1.株価の上昇が期待できる
    1-2.配当金の成長が期待できる
    1-3.日々の株価の値動きを無視できる
    1-4.コストが低い
    1-5.銘柄選びに慎重になる
  2. 長期投資のデメリット
    2-1.資金効率が悪い
    2-2.未来を正確に予測することが困難
  3. 株式を保有し続けるためのコツ
    3-1.企業情報に敏感になる
    3-2.忍耐力、鈍感力を鍛える
    3-3.臨機応変な対応をとる
    3-4.決算報告書は必ずチェックし、株主総会に出席する
  4. まとめ

1.長期投資のメリット

まずは長期投資をするメリットを解説します。

1-1.株価の上昇が期待できる

長期投資の最大のメリットは、長期的に株価が大きく上昇する可能性があるということです。長期投資のメリットがあるのか検証してみましょう。

下表は過去10年間(2010年末から現在)と過去20年(2001年末から現在)までの日経平均株価とダウ工業平均の上昇率と、構成銘柄のうち上昇率1~5位までの銘柄と成績です。

どちらの指数の構成銘柄も指数の上昇率を大きく上回っています。過去20年間の構成銘柄上位5銘柄の上昇率は、どちらの指数の構成銘柄も1,000%を超えています。ここでは表示していない下位銘柄の上昇率がマイナスのため、指数全体の上昇率が押し下げられました。

指数に投資するよりも一部の有望な個別銘柄に投資したほうが、長期的に高い収益が期待できるという結果となりました。
    

2010年末から2021年3月22日 上昇率
日経平均株価 185%
バンダイナムコHD 1,062%
中外製薬 969%
東京エレクトロン 955%
サイバーエージェント 849%
ダイキン工業 776%
2000年末から2021年3月22日 上昇率
日経平均株価 111.63%
サイバーエージェント 12,400%
エムスリー 8,472%
楽天 2,303%
豊田通商 1,742%
ソフトバンク 1,541%
2010年末から2021年3月22日 上昇率
ダウ工業平均 183%
ビザ 1,172%
アップル 1,143%
ユナイテッド・ヘルスG 1,090%
マイクロソフト 966%
ホームデポ 943%
2000年末から2021年3月22日 上昇率
ダウ工業平均 203%
アップル 538,329%
セールスフォース・ドットコム 4,903%
ユナイテッド・ヘルスG 2,750%
ナイキ 2,466%
マイクロソフト 1,612%

1-2.配当金の増額が期待できる

企業が成長すると、配当金が増額されることが多々あります。米国では株価の上昇に伴い配当金を増額する企業も珍しくありません。ダウ工業平均の構成銘柄では、プロクター・アンド・ギャンブル、スリーエム、コカ・コーラ、ユナイテッド・ヘルスなどの有名企業のほか、多くの企業が継続的に増配をしています。

ユナイテッド・ヘルスの株価の上昇率は、過去20年で2,750%、10年で1,090%でした。また、2010年度の配当金は0.405ドルでしたが、2021年現在の配当金額は5ドルと10年で12倍に成長しました。株価が上昇し、配当金が増額されました。

日本企業の中にも増配を続けている企業が多々あります。花王は1991年3月以降、増配を継続しています。2001年度の配当金額は25円でしたが、2011年に58円に、2020年には135円に増えました。株価は2000年末の3,320円が、2021年3月23日には7,204円と2倍以上に上昇しています。

1-3.日々の株価の動きを無視できる

長期投資の目的は、資産形成です。将来の株価上昇が期待できる銘柄に投資していることが前提のため、日々の株価の動きに一喜一憂する必要がありません。もちろん日々の株価をチェックする必要はありますが、1日に一度、引け後に確認する程度で良いでしょう。

1-4.コストが低い

コストがかかるのは株の購入時のみです。短期売買のように、頻繁に売買を繰り返さないためコストを最低限に抑えることができます。

配当金は課税されますが、配当金と雑所得を含めた金額が年間20万円以下の場合には納税義務が生じない場合もあります。口座開設時に、特定口座の源泉ありを選択すれば、確定申告の必要はありません。

1-5.銘柄選びに慎重になる

長期にわたって投資をするため、銘柄選びに時間を費やし納得ができるまで徹底的に対象企業を分析しましょう。技術力があり、マーケットシェアが高い企業であることのほか、10年後、20年後にもその企業が存在しているかが重要です。

倒産リスクについては、格付け機関が発表している格付けを参考にすると良いでしょう。格付けは、最上位からAAA(トリプルエー)⇒AA(ダブルエー)⇒A(シングルエー)⇒BBB⇒BB⇒B⇒CCC・・・Dと表示されます。債券市場ではBBB以上を投資適格(倒産確率が低い銘柄)とし、BB以下を倒産確率が高いジャンク債と呼んでいます。

すべての銘柄が格付けされているわけではありませんが、A以上の格付けが付与されていればリスクは低いと言えます。長期投資の対象企業が日本企業の場合は、格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)、米国企業ならムーディーズとS&Pの格付けを参考にしましょう。格付けは各格付機関のホームページ上で確認することができます。

長期投資のデメリット

長期投資にはデメリットもあります。

2-1.資金効率が悪い

長期投資においては、一度投資をしたら10年、20年と長期間にわたり保有するため、その期間、資金を寝かせることになります。そのため、資金効率は短期売買と比較して悪いといえます。 

2-2.未来を正確に予想することが困難

銘柄選びを慎重に行ったとしても、経済環境や世界情勢の変化などで投資先の企業が窮地に立たされる場合があります。

2000年のハイテクバブル崩壊、2001年の同時多発テロ事件、2008年のリーマンショック、2020年の新型コロナの世界的流行など、「禍」を想定することは困難です。今回のコロナショックでは、航空業界やホテル、百貨店などが窮地に追い込まれてしまいました。こうした状況を受け、著名な長期投資家であるウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、保有していた航空関連銘柄を全て売却し、大きな損失を出したことが話題となりました。

3.株式を保有し続けるためのコツ

長期投資を行うにあたって欠かせない、株式を保有し続けるための考え方・コツについてまとめました。

3-1.企業情報に敏感になる

長期間にわたり株式を保有するためには、業界の動向や企業の情報に敏感になる必要があります。30年前には、携帯電話がこれほど普及すると想像できた人はほぼいませんでした。技術革新は日進月歩で進歩しています。つねに新しい情報に敏感になるようにしましょう。

3-2.忍耐力、鈍感力を鍛える

長期投資には忍耐力が必要です。株価が少し上昇しても、つられて売却するようなことをしてはいけません。長期投資は将来の大きな資産をつくるための手段です。当初の目的を忘れないようにしましょう。

もし、当初資金に余裕があれば、投資額を2倍にしましょう(100株なら200株)。株価が2倍に成長したら1単位(100株)売却すると簿価が0円となり、実質的な損失が発生しないためです。

3-3.臨機応変な対応をとる

長期投資においては臨機応変な対応することが重要です。バークシャー・ハサウェイは新型コロナウィルスによる影響から航空各社の業績が悪化し、業界の見通しがたたなくなったため、保有していた航空株をすべて売却しました。

環境の変化で企業業績が悪化するような場合は、株式を売却する決断が大切となります。そのまま投資を継続すると大きな損失を出してしまう可能性が高まります。

3-4.決算報告書は必ずチェックし、株主総会に出席する

決算書には必ず目を通すようにしましょう。できれば株主総会にも出席し、幹部の考えや人間性などを知ることで、正しい投資先だったか確認することができます。株主総会は役員に直接質問することができる大切な機会です。

まとめ

長期投資は将来的に富を増やすことが目的です。目先の株価の乱高下に惑わされることなく、投資した銘柄は最低10年保有するという気持ちで投資しましょう。一方で、企業に致命的な損失を与えるような災害や災難が起きたときには臨機応変に素早い対応が必要です。時には、時期を読み売却することも大切です。

受け取った配当金は、同一銘柄に再投資することで複利効果が得られ、資産をさらに増やすことができます。配当金が少ない場合には、一株から投資が可能なSBIネオモバイル証券などで購入すると良いでしょう。

長期投資を始めることで、企業の成長に合わせて資産の拡大が期待できます。よく企業や市場を分析し、検討を始めてみてはいかがでしょうか。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。