投資信託で含み損が出た時は?初心者が知っておきたい対処法4パターン

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2020年3月のコロナショックのように、短期的に相場が大きく変動し市場環境が不安定になると、保有する投資信託の基準価額が下落し続けることもあります。購入当初は長期投資を前提としていたにもかかわらず、下落局面では「このまま投資信託を保有し続けていいのだろうか」と心に迷いが生じるものです。

このような時に、慌てて解約してしまったり、毎月の積立をストップしてしまったりすることは、必ずしも良い選択とは言えません。今回は、このような不確実性の高い時期に適切な対応ができるように、現役ファンドマネージャーの視点からその対処法をご紹介します。

目次

  1. ポートフォリオの状況把握
    1-1.投資の目的、期間、資産配分を再確認
  2. 相場の状況把握と下落要因の分析
  3. 投資信託で含み損が出た時の対処法4パターン
    3-1.静観する
    3-2.投資信託の追加購入を考える
    3-3.投資信託を売却する
    3-4.投資信託の一部を売却する
  4. まとめ

1.ポートフォリオの状況把握

まず、現状はポートフォリオ全体でどのくらいのダメージなのかを正確に把握するために、下記のチェックポイントを元に確認してみましょう。

  • ポートフォリオ全体を見て、当初想定した余裕資産の範囲を超えた損失が出ているか
  • 信用取引などレバレッジをかけてETF投資をしているか
  • 新興国株式など、特定の国や資産に偏った投資をしているか
  • 複数の投資信託に分散投資をしているが、何故か全ての投資信託がマイナスとなっていないか

1-1.投資の目的、期間、資産配分を再確認

ライフプランに応じた期間毎の運用方針を決め、プランに基づいた資産配分を決めて、ころころ方針を変えないことが大切です。発生した含み損により、当初想定したプランを変更する必要があるのかどうか、冷静に確認しましょう。

投資に充てて良いお金を全て投資信託に回してしまうのではなく、ある程度の現金を手元に残してあるなら慌てる必要はありません。しかし、レバレッジをかけてETF投資をしている場合は、現時点で余裕資産の範囲内に損失が収まっていたとしても、今後大きな損失につながる恐れがありますので確認が必要です。

また、複数の投資信託に分散投資したにもかかわらず、なぜか全ての投資信託がマイナスになっている場合は、商品の中身が似通っていたりして全く分散投資効果が効いていない可能性があります。

もしくは、いろいろ投資信託を組み合わせた結果、1つの国・地域などに過度に集中投資してしまっているということもあります。特に新興国に集中していた場合、気づいたら10年間下がりっぱなしという状況もあるので要注意です。

相場が荒れている時に解約をするべきではありませんが、落ち着いたときに分散投資を見直す必要があることを頭の片隅に置いておきましょう。

2.相場の状況把握と下落要因の分析

投資を行う上で知っておかなければならないことは“景気サイクル”です。経済学の教科書にも載っているように、景気サイクルは好況→後退→不況→回復の4つの局面が順番に繰り返し現れるとされています。

時代によって刻々と変化しますが、景気は4-5年程度で1サイクルします。そして2サイクルか3サイクル毎に大きなショックが訪れています。そのため、相場が一時的に下がっても慌てる必要はありません。今どの局面にいるのかを認識し、数カ月~数年かけて相場が戻るのを待ちながら、地道にプラン通りに投資を続けていけばよいのです。

しかし、相場全体としては景気サイクルの一環だと認識できたとしても、相場が下落した個別の要因は分析しておかないといけません。例えば今回のコロナショックの様に人々の生活や働き方が大きく変わる可能性がある場合、関係が深い投資信託を保有しているのであれば、入れ替える必要があることも考えられます。

3.投資信託で含み損が出た時の対処法4パターン

まず、一括買いにより既に全資産の内、投資信託がある程度の割合を占めている場合と、積立投資により余裕を持って長期投資のスタンスを取っている場合とに分けて考えましょう。

積み立て投資の場合、何も慌てる必要はなく、衝動的に解約することのないように気を付けましょう。むしろ、暴落時は沢山の口数を購入できるので、平均購入単価を下げられることに繋がるというメリットがあるくらいです。下記には、既にある程度の割合で投資信託を保有している方の対処法をご紹介します。

3-1.静観する

たとえ今の相場環境が悪くても、当初投資した時に想定していた最悪の落ち込み幅の範囲内であり、即座に現金化する必要がないのであれば、そのまま様子を見るという方法があります。

損失が想定を少し超えていた場合については、相場下落の要因が現在保有している投資信託と直接的な関係がない場合は、景気サイクルの一環として認識し、静観すればよいでしょう。

3-2.投資信託の追加購入を考える

投資には『落ちるナイフを掴むな』という格言がありますが、いくら余裕資金とはいえ下落している最中に追加購入を検討する場合は慎重に行いましょう。

基本的な考え方としては、仮にまっさらな状態で何も投資資産を保有していない状態を想像し、その投資信託を現時点で購入したいか、ということになります。そこでNOという決断になるのであれば、一旦購入は見送りましょう。一方、もしGOサインが出る場合は、同じ投資信託を追加で購入して平均買い付け単価を下げましょう。将来的に基準価額が上昇したとき、より大きな値上がり効果を期待できるからです。

ただ、それでも最悪を想定して、購入する予定金額の3割程度の打診買いに留めておきましょう。パニック相場で下がっている時の値幅を甘く見てはいけませんし、一発で相場の底を当てられるほど相場は簡単ではありません。更に下がり、二番底をつけるのであれば、そこでまた3割分購入できる余力を残しておきましょう。

※打診買い…相場の下落局面において、そろそろ下げ止まるかと思い、買いを入れること。また、市場の反応を探るために小口の買い注文を出すこと。

3-3.投資信託を売却する

売却をするのも一つの手法です。売却の前に最後の確認として、投資している商品そのものに問題がないか検証しましょう。例えば、類似商品と比べて極端にパフォーマンスが悪い場合は、中身の確認が必要です。

確認した結果、相場下落の直接の原因と関係が深く、今後世の中の変化により需要がなくなりそうな資産や業種や国に投資していたというのは分かりやすい売却の理由となります。長期的に見た場合、将来見込みのないものに投資をして、時間を浪費するのは余りに勿体無く、逆に早々に見切りをつければ、その後長い時間を掛けていくらでも取り返すことが可能です。

3-4.投資信託の一部を売却する

厄介なのが既に見込みがないと何となくわかっているのにもかかわらず「いずれは上がる」と信じ込んでしまうことです。投資信託は、仮に損失が発生していたとしても、保有している以上は信託報酬を通じて間接的に手数料が徴収され続け、長期間ではかなりのコストとなりますので気をつけて下さい。

こういった場合は、当初設定した基準価額を下回ったら機械的に半分売却するなどのようにルール化しておくのも一つの手法です。

まとめ

投資信託は、長期的に数年単位で相場を見ながら、地道に投資を続けるべき商品です。ライフプランに基づいて投資の目的や運用期間、目標額などを確認したら、あとはルールを決めて、淡々と実行していきましょう。たとえば、半年に1回時価をチェックし、当初決めた比率から大きくずれていたときにだけ、配分が元に戻るように調整するなどです。

また、長期間放置するためには最初の段階から分散投資について徹底して分析した方がよいでしょう。暴落時は地域や資産を分散しても同じ方向に動くことが多いかもしれませんが、それでも分散投資をして値下がり幅を少しでも小さく抑えた方が、相場回復後に有利になりますし、怖くなって解約してしまうなどといった感情的な投資行動を抑えることにも繋がります。

含み損はある程度想定しながら、当初のプラン通り余裕資金で運用できるように準備をしておきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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