投資信託の平均利回りはどれくらい?高利回りファンド5つと注意点も

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投資信託は長期で運用する金融商品ですが、どの程度の利回りがあるのでしょうか。この記事では投資信託の利回りの求め方と、高利回りファンド5つを紹介します。ただ、利回りの高さだけでファンドを選ぶと運用に失敗する可能性もあるので、注意点についても解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 投資信託の利回りとは
    1-1.利回りと利率の違い
    1-2.利回りと騰落率の違い
    1-3.トータル・リターンで利回りを判断する
  2. 投資信託の利回りはどれくらいか
  3. 高利回りファンドの注意点
    3-1.分配金には2種類ある
    3-2.コストも意識する
  4. 高利回りファンド5選
    4-1.DIAM 新興市場日本株ファンド
    4-2.日本新興株オープン
    4-3.SBI 小型成長株ファンドジェイクール
    4-4.SBI 中小型成長株Fジェイネクスト
    4-5.MHAM 新興成長株オープン
  5. まとめ

1.投資信託の利回りとは

投資信託の利回りとは、投資信託を運用した時に投資金額に対してどの程度の利益が得られたかを表した数値です。利回りの計算式は、以下の通りです。

  • 投資信託の利回り=利益÷投資金額×100

たとえば、100万円投資して10万円の利益を得た場合の利回りは、「10万円÷100万円×100=10%」です。

1-1.利回りと利率の違い

利回りは、投資金額に対する収益の割合です。収益には利息だけではなく、投資信託を売却した時に得られる売買益も含まれます。また利回りは、1年間の「年利回り」を指すことが通常です。

一方の利率は預金や債券に使われる言葉で、投資金額に対し毎年受け取る利子の割合のことです。ただ、投資信託では利率ではなく「分配金利回り」と呼びます。分配金は投資信託の基準価額に応じ、運用会社の判断で支払いがおこなわれます。

1-2.利回りと騰落率の違い

投資信託では「騰落率」という言葉もよく使われますが、利回りと間違えやすいので注意が必要です。投資信託の騰落率とは、3カ月や6カ月、1年など特定の期間において、投資信託の基準価額がどれだけ変動したかを変動率で表した数字です。

たとえば10,000円の投資信託が1年後に12,000円に値上がりした場合の騰落率は、20%です。一方の利回りとは、分配金込みの基準価額を表します。投資信託を選ぶ時は騰落率を見ることも大切ですが、同時に利回りも考えるようにする必要があるのです。

1-3.トータル・リターンで利回りを判断する

投資信託の新規買い付けから算出基準日までの全期間を通じ、損益金額を収益率としてパーセンテージで表したものを「トータル・リターン」といいます。騰落率は基準価額のみに着目した数字ですが、トータル・リターンは分配金や手数料にも着目した指標です。そのため、投資信託において利回りを考える場合はトータル・リターンで判断することになります。

2.投資信託の利回りはどれくらいか

投資信託の本数は6,000本を超えているので、利回りが10%を超えるものから、マイナスになるものまで幅広くあります。利回りの差がでる理由としては、運用しているファンドマネージャーの実力や、ファンドごとに投資先に違いがあるからです。

利回りやトータル・リターンはその時々の運用成績や売却時期によって大きく変動するほか、各ファンドによって投資先や運用スタイルが異なることから、平均的に何%であるとは言えないのが実情です。そのため、ファンドを選ぶ際は過去の成績(騰落率、トータル・リターン等)やリスク性向を確認し判断することになります。

一般的に高い利回りを狙えるファンドでは、その分リスクも大きくなる傾向があります。そのため、利回りとリスクのバランスを考えておくことが大切です。投資信託にはさまざまなリスクがありますが、ここでいうリスクとはリターンの振れ幅のことです。

リスクが大きくなれば得られる収益も大きくなる傾向にありますが、損失も大きくなる可能性があります。投資信託は元本が保証された金融商品ではありません。利回りがマイナスになることや、元本割れになる可能性もあるので注意が必要です。

3.高利回りファンドの注意点

利回りが10%以上のファンドには一見大きな魅力を感じますが、以下の点に注意が必要です。

3-1.分配金には2種類ある

投資信託の分配金は、預貯金の利子とは違います。預貯金の利子は決められた時期に必ず支払われますが、投資信託の分配金は支払いが約束されている訳ではありません。現在高い利回りのファンドでも、次回は下がることもあれば、分配金がでないこともあるのです。

また、分配金には「普通分配金」と「特別分配金」の2種類があります。普通分配金は分配後も基準価額が個別元本(投資信託を購入した時の値段)を下回りませんが、特別分配金は元本の取り崩しになるので、基準価額は購入時の個別元本を下回ります。

つまり、預貯金の利子は元本が保証された上で利子が支払われますが、投資信託の分配金は元本の取り崩しが含まれていることもあるのです。特別分配金は投資信託の運用資産から拠出されるので、分配金が出るとその分だけ基準価額が下がります。つまり自分が買った基準価額を下回った場合は、分配金の分だけ元本を取り崩していることになるので注意が必要です。

3-2.コストも意識する

投資信託は利回りも大切ですが、税金や手数料などのコストにも注意する必要があります。同じ運用実績であれば、コストを抑えた方が実質的なリターンを高められるからです。税金に関しては、投資信託の売却益や普通分配金などの利益に対し、20.315%の税金がかかります。

そして投資信託のコストには、主に証券会社や銀行などの販売会社が徴収する「販売手数料」と、管理会社と運用会社が徴収する「信託報酬」があります。販売手数料は投資信託を購入する際、販売会社に支払う手数料のことです。

販売手数料は投資信託によって異なりますが、0~5%程度です。また、販売会社によって同じ投資信託でも販売手数料が異なる場合もあります。ただ最近はSBI証券やマネックス証券、楽天証券などネット証券を中心に、販売手数料がかからないノーロードファンドも増えています。

一方の信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうための経費として、保有している間ずっと支払い続ける費用です。信託報酬は投資信託の種類によって異なりますが、年率0.5~2%程度が一般的です。そして特定の指数への連動を目指すインデックスファンドの方が、指数を上回る成績を目指すアクティブファンドよりも信託報酬は低い傾向にあります。

投資信託を購入することは、自分の資産を管理・運用するためにこのようなコストを支払って、投資のプロを雇っているのだという考え方もできるのです。

4.高利回りファンド5選

投資信託の利回りランキングを確認します。ここでの利回りは「トータル・リターン」です。投資信託の利回りは長期で考えることが大切なので、期間10年間のトータル・リターンランキング5位までを紹介します(2020年10月16日時点)。

4-1.DIAM 新興市場日本株ファンド

トータル・リターン 33.75%
純資産総額 18,622百万円
運用会社 アセットマネジメントOne
カテゴリー 国内小型グロース

主な投資対象は、新興市場に上場された株式です。対象となる株式をさまざまな観点(競争力・成長力・収益力・経営力など)から分析し、銘柄選定をおこないます。過去10年間のトータル・リターンは33.75%と高い利回りになっています。

4-2.日本新興株オープン

トータル・リターン 23.68%
純資産総額 14,893百万円
運用会社 日興アセットマネジメント
カテゴリー 国内小型グロース

日本のジャスダック市場に上場している株式に投資します。直接企業訪問をおこなう「ボトムアップ・アプローチ」をおこない、中長期で成長が見込める企業に投資します。過去10年間のトータル・リターンは23.68%です。

4-3.SBI 小型成長株ファンドジェイクール(愛称:jcool)

トータル・リターン 22.81%
純資産総額 8,909百万円
運用会社 SBIアセットマネジメント
カテゴリー 国内小型グロース

投資対象は、国内の金融商品取引所に上場している中小型株。個別銘柄の分析をボトムアップ・アプローチでおこない、銘柄を限定して投資します。

4-4.SBI 中小型成長株F ジェイネクスト(愛称:jnext)

トータル・リターン 22.65%
純資産総額 7,782百万円
運用会社 SBIアセットマネジメント
カテゴリー 国内小型グロース

投資対象は金融商品取引所に上場する中小型株。徹底してボトムアップ・アプローチをおこない、中長期で成長する企業に投資します。収益性・成長性・安全性・株価水準などを総合的に考えて投資判断します。

4-5.MHAM 新興成長株オープン(愛称:j-フロンティア)

トータル・リターン 22.20%
純資産総額 44,759百万円
運用会社 アセットマネジメントOne
カテゴリー 国内小型グロース

高成長が期待できる新興企業(取得時に創業25年または上場10年以下)の株式に投資します。銘柄を選ぶ基準は、産業調査や企業訪問などの徹底したボトムアップ・アプローチをおこないます。

まとめ

投資信託の運用利回りは「トータル・リターン」で判断することが大切です。過去10年間のトータル・リターンランキング上位5銘柄は、いずれも国内小型グロース型でした。ただし、これらはあくまでも過去の結果にすぎません。国内小型グロースはリスクも高くなるので、資金の一部のみを投資するなど、リスクを抑えた運用が必要です。

トータル・リターンの高い投資信託は、そのぶん基準価額の下落リスクも高い傾向にあるため、投資信託を選ぶ際は、利回りだけでなく自身のリスク許容度や運用資産のバランスも考えて判断しましょう。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011