金利とREIT(リート)の関係は?過去の金利引き上げによる基準価額への影響も

日本も利上げへの政策変更を強いられる状況になりつつありますが、市場金利が上昇した場合、リート市場へどう影響するのか、気になる人もいるのではないでしょうか。

一般的に、市場金利が上がるとリートの運営に悪い影響を及ぼすと言われています。本記事では、実際の事例などを確認しつつ、利上げ状況下のリート市場について解説します。リートと市場金利の関係性が気になる方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 金利上昇がリートの運営に与える影響は?
    1-1.借入負担による運営への影響懸念
    1-2.影響を受けないケースも
  2. 過去の利上げ局面における米国のリート価格推移
    2-1.米国リートは影響少なめ
    2-2.リート運用の健全化によるもの
  3. 金利変動と東証リート指数の関係
  4. 円安がJリートに及ぼす影響
  5. 2023年に考えられるリート市場のリスク要因
    5-1.国内利上げによる外国人投資家の動向
    5-2.好材料も合わせて値幅は大きな動きに
  6. まとめ

1.金利上昇がリートの運営に与える影響は?

市場金利の変動とリート運営にはどのような関係性があるのでしょうか。一般的には、市場金利の上昇によってリート運営に悪影響を与えると言われています。以下、2つのポイントにて詳細を説明します。

  1. 借入負担による運営への影響懸念
  2. 影響を受けないケースも

1-1.借入負担による運営への影響懸念

リート運営は基本的に、借入金にて資金を調達して不動産へ投資し、利益のほぼ全額を投資家へ分配することによって、高いインカムゲインを生み出す方針をとっています。

したがって、借入金による資金調達をメインに運用している場合、少なからず金利上昇の影響を受けることになります。また、低金利で運営していた頃に比べて利回りも低下するため、投資妙味もやや減退するでしょう。

1-2.影響を受けないケースも

借入金をメインに運用している場合、少なからず金利変動の影響を受けますが、負債比率を抑えつつ、借入金に頼らないリート運営を行っている場合は、影響を受けにくくなります。

インフレ下の利上げの場合は、インフレによる不動産価格上昇によって、むしろリートの運営状況は改善されることも充分に考えられる事象です。

2.過去の利上げ局面における米国のリート価格推移

米国は、2008年のリーマンショックに対応するための利下げや現在のインフレを抑えるための利上げなど、状況に合わせて政策金利を操作してきました。その都度米国リートが受けた影響は、いかほどのものでしょうか。以下、2つのポイントにて詳細を説明します。

  1. 米国リートは影響少なめ
  2. リート運用の健全化によるもの

2-1.米国リートは影響少なめ

過去の歴史を紐解いてみると、2001年以降米国では、2004年5月〜2006年6月、2015年11月〜2018年12月にかけて、利上げを実施しました。その時の米国リートは、上昇しています。

政策金利の利上げとは別に、2000年以降の長期金利の上昇期間を見ても、米国リートの騰落率は多くの期間で上昇しています。米国リートの場合、金利上昇による影響は少ないようです。

2-2.リート運用の健全化によるもの

米国リートが、利上げ状況下でも順調に運営を続けている背景には、借り入れによる負債比率の低下が挙げられます。利上げによる財務悪化リスクよりも財務の健全性が勝り、投資家からさほど影響がないと判断されている証拠です。

コロナ禍による大きな変動を受けつつも、直近ではインフレに強いリート資産として力強い回復を見せています。

3.金利変動と東証リート指数の関係

米国リートは金利上昇に影響を受けにくいリート運営を確立しつつありますが、Jリートは、米国リートの動きとは異なります。

東証リート指数は、日銀が政策変更を公表した2022年12月20日に前日比5%を超える下落を示し、終値ベースで年初来最安値となる1,838ポイントまで下落しています。2023年の1月初旬時点では、日銀の規制緩和終息のトレンドを折り込んでいるせいか、1,800ポイント台で推移中です。

一般社団法人 土地総合研究所の「不動産投資ビークルにおける有利子負債の位置づけ~Jリート を題材にして」によると、最近10年のJリートの有利子負債比率は、40%前後から 50%前後に集中していると報告されています。米国リートの有利子負債比率とあまり変わりはありません。Jリートが金利上昇に反応する要因は、金利上昇だけが理由ではなさそうです。

4.円安がJリートに及ぼす影響

市場金利の上昇トレンドと共に、日本にとっては円安の流れも気になるところです。

円安はJリートにとってどのような影響を及ぼすのでしょうか。気になるポイントは、海外投資家の動向です。円安になる前から、海外の投資家による日本の土地や物件の買い占めは見られていましたが、円安によって日本の不動産がさらに手頃な価格になり、海外投資家が日本不動産に投資妙味ありと判断すれば、Jリート市場は活性化する可能性があります。

株式市場と同様に、Jリート市場においても海外投資家の存在感は大きなものがあります。日本の利上げトレンドと併せて、為替相場の流れにも注目したいところです。

5.2023年に考えられるリート市場のリスク要因

現状を踏まえた2023年以降のリスク要因を以下2点、ピックアップしました。

  1. 国内利上げによる外国人投資家の動向
  2. 好材料も合わせて値幅は大きな動きに

5-1.国内利上げによる外国人投資家の動向

これまでは日本のリート市場は、利上げが無く定期的な分配金を出し続けてきたため、海外投資家から一定の評価を得ており、ある程度の資金を集めていました。しかし、日銀が政策変更を迫られる状況へ進んだ時の海外投資家のマインドがどう変化するのか、という点は気になるポイントです。

オフィスなどの賃料が低くても、低金利で運用できる強みがJリートにはありましたが、金利上昇によって、強みはなくなるかもしれません。金利上昇リスクに対する海外投資家の判断は、リートの運営上、重要なリスクとなるでしょう。

5-2.好材料も合わせて値幅は大きな動きに

リート運営の仕組み上、利上げによる財政圧迫リスクの顕在化は、2023年には見られません。したがって、利上げそのものは2023年のリスクとは言えないでしょう。

また、日銀はイールドカーブコントロールのみに着手し、異次元緩和は継続する見方も残っています。米国企業の業績回復が遅れるようであれば、継続してJリートへ資金が流入する可能性もあります。

逆に、米国企業の業績が早めに回復したり、米国金利の上昇、日本不動産取引の停滞が見られたりすると、リスクにもなり得ます。

想定されるいくつかのシナリオを考えると、2023年のJリートの値幅は大きくなる可能性が高い状況です。

なお、リートは先行き不透明な株式市場とは別の値動きをすることが想定されており、一定の分散投資効果はあると見られています。

まとめ

一般的に金利が上がるとリートには悪影響とされていますが、現在の米国リート市場には、その通念は当てはまらなくなっています。一方でJリートの場合、2022年12月の日銀政策転換に対する東証リートの反応に見られるように、金利上昇リスクは内在しているようです。

海外投資家の動向に影響を受けやすいJリート市場は、日本の金融政策と海外投資家の反応によって、金利上昇リスクが顕在化する可能性を秘めています。米国の利上げや、企業業績もJリートへ影響を与えることになり、さまざまな外的要因によって、今後のJリート市場の値幅は大きく動く可能性が高まります。

The following two tabs change content below.
sayran

sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。