2022年に最も株価が上がった日本株5社、背景と今後の展望は?

2022年の日本株は、米国を始めとする世界各国の利上げが嫌気され下落しました。なかでも成長株の下落が目立ち、東証マザーズ指数の下落率はマイナス26.07%とTOPIX(マイナス5.05%)を大幅に下回りました。

このように株式を取り巻く環境は悪かったものの、一方で中には株価が5倍以上に上昇した銘柄も観測されました。そこで今回は、2022年に最も株価が上がった上場企業5社を挙げ、株価上昇の背景と今後の展望を解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 株価上昇率上位5社の特徴
  2. 株価上昇の背景と今後の展望
    2-1.キャンバス
    2-2.タカトリ
    2-3.円谷フィールズホールディングス
    2-4.大阪チタニウムテクノロジーズ
    2-5.ナガホリ
  3. まとめ

1 株価上昇率上位5社の特徴

2022年に株価が上昇した銘柄の特徴としては、小型銘柄で売上高成長率が高い点が挙げられます。

上昇率上位5社は、上昇率が高い順に、キャンバス<4575>、タカトリ<6338>、円谷フィールズホールディングス<2767>、大阪チタニウムテクノロジーズ<5726>、ナガホリ<8139>です。これら5銘柄のうち時価総額が1,000億円以上の銘柄は大阪チタニウムテクノロジーズ(約1,400億円)のみです。

一方で、売上高成長率(前年比)は日本の経済成長率を上回る銘柄が多く、なかでも円谷フィールズホールディングスは144%と高い伸びとなっています。

2022年株価上昇率上位5社

銘柄/項目 上昇率(%) 売上高成長率(前年比%) 時価総額(億円)
キャンバス 548.89 188
タカトリ 483.39 56.5 427
円谷フィールズホールディングス 445.34 144.6 844
大阪チタニウムテクノロジーズ 392.80 67.4 1,368
ナガホリ 310.08 3.8 159

2 上位5銘柄の背景と今後の展望

上記の5銘柄が値上がりした背景及び、今後について考察します。

2-1 キャンバス

キャンバスの2022年株価上昇率は前年比548.89%でした。2021年12月末に180円だった株価は、2022年12月には一時1,599円の高値を付け、2022年12月末の終値は1,168円でした。

同社は抗がん剤開発に特化した創薬ベンチャーで、自社で創出した複数の化合物を臨床開発段階にすすめている実績があります。

株価が上昇した背景には、2022年6月に発表された抗がん候補化学物 免疫着火剤CBP501臨床第2相試験3剤併用投与群で奏効(がんの縮小)が確認され、臨床試験が順調であるとの報道がありました。

また、同年11月には抗がん剤候補化学物 免疫着火剤CBP501臨床第2相試験において、3剤併用投与群の両方が主要評価項目達成(早期有効中止)となったことも株価を押し上げました。

今後の株価はCBP501やその他プロジェクトの進捗状況次第ですが、CBP501が臨床第3相試験へ進んだことから、承認・販売までの最速シナリオを2026年としており、今後の株価も堅調に推移する可能性があります。

2-2 タカトリ

パワー半導体向けSiC(炭化ケイ素)材料切断装置のメーカーであるタカトリの2022年株価上昇率は483.39%でした。2021年12月末1,385円だった株価は、2022年11月には一時9,760円の高値を付け、2022年12月末の終値は8,080円でした。

株価上昇の背景は、大口受注が相次いだことです。2022年5月に80億円、9月に28億円の大口受注が確認されました。

2021年に65億円だった売上高は2022年には102億円(56.5%増)に増え、受注高も2021年の92億円から246億円(167.3%増)に増えました。

パワー半導体の需要は電気自動車の増加に伴い拡大傾向にあることから、今後の株価も堅調に推移する可能性が高そうです。受注残は2022年に195億円と売上高を上回る状況となりました。2023年の予想売上高は160億円ですが、2022年受注残高が195億円のため、売上高の上方修正の可能性があります。

2-3 円谷フィールズホールディングス

円谷フィールズホールディングスの2022年株価上昇率は445.34%でした。2021年12月末に511円だった株価は、2022年12月末の大納会の日に一時2,851円の年初来高値を付け2,727円で引けました。

同社はウルトラマンシリーズをはじめ多数のIP(知的財産)を保有し、グローバルに通用するIPの創造と育成、デジタル&コンテンツ事業などを軸に事業展開をしています。

株価上昇の背景は好業績です。2022年10月の2023年3月通期予想の上方修正が発表され、株価が急騰しました。特に中国市場におけるトレーディングカードやグッズ等の販売がコンテンツ・デジタル事業の収益を押し上げました。

同社は、アジアや北米市場での事業強化も図るとしており、今後も好業績を背景に株価は上昇傾向にありそうです。

2-4 大阪チタニウムテクノロジーズ

大阪チタニウムテクノロジーズの株価上昇率は392.80%(2022年)でした。2021年12月末に790円だった株価は、2022年11月に年初来高値4,850円を付け、2022年12月末の終値は3,880円でした。

同社は、世界で数社しか製造技術をもたない航空機エンジン向け重要部品用高品質チタンのトップメーカーです。チタン合金の母材であるスポンジチタン需要が回復基調だったため、2022年5月に業績予想が上方修正され黒字転換しました。また、3年ぶりの復配が発表されました。

コロナ禍で落ち込んだ航空機向けの受注が回復傾向にあるため、今後も底堅い動きが予想されます。

2-5 ナガホリ

貴金属・宝飾品等の輸出入、製造加工及び国内外での販売をメイン事業とするナガホリの株価上昇率は310.08%(2022年)でした。2021年12月末238円だった株価は、2022年10月に年初来高値1,781円を付け、2022年12月末の終値は976円でした。

株価の上昇要因は、リ・ジェネレーション社による株価買い占めです。リ・ジェネレーション社が2022年4月時点でナガホリの株式167万株(約10%)を保有し、筆頭株主となったことが要因です。

2022年度は株価が急騰したものの、株価上昇の要因が株式の買占めであるため、今後の株価は乱高下を繰り返すことが予想されます。2023年は同様の成績は期待できません。

まとめ

2022年の年間株価上昇率上位5銘柄を紹介しました。上昇率が高かった銘柄の共通点として、時価総額が1,000億円以下、業績の上方修正が挙げられます。株式買い占めにより上昇した銘柄もありましたが、これは例外として考えたほうがよさそうです。

株価上昇には企業の業績が好調であることが重要です。IR情報等で確認し、投資することで高いリターンが期待できそうです。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。