インデックス投資のメリット・デメリットは?投資の注意点も

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投資の世界にはさまざまな投資手法や商品があります。そのなかの1つが「インデックス投資」と呼ばれるものです。

しかし、インデックス投資がどのような投資手法なのか、曖昧な方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、インデックス投資が気になっている方やインデックス投資商品を検討している方に向けて、インデックス投資の特徴やメリット、デメリット、インデックス投資の注意点などについて解説したいと思います。

(記事監修者:藤井 理)

目次

  1. インデックス投資とは?
    1-1.インデックス投資を行う方法
  2. インデックス投資のメリット
    2-1.初心者でも理解しやすく始めやすい
    2-2.運用に掛かるコストが低い
    2-3.手間が掛からない
    2-4.インデックス・ファンドを購入するだけで分散投資になる
  3. インデックス投資のデメリット
    3-1.短期で大きなリターンは狙いにくい
    3-2.一定の運用コストがかかる
  4. インデックス投資を行う際の注意点
    4-1.証券会社ごとの取扱商品数と手数料
    4-2.純資産総額
    4-3.分配方針
    4-4.金融商品の組み合わせ方
  5. まとめ

1.インデックス投資とは?

インデックス投資とは、「市場の動きを表す指数(=インデックス)」と同じ値動きをすることを目指して運用する投資手法のことをいいます。

ひとことにインデックスといっても、その種類はさまざまです。日本の市場であれば、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などが代表的なインデックスとして知られています。また、S&P500やダウ平均(NYダウ工業株30種)など、海外市場にもさまざまなインデックスがあります。

これらのうち、特定のインデックスをベンチマークとして連動するように運用するのがインデックス投資です。例えば、日経平均株価をベンチマークとするインデックス投資なら、日経平均株価が5%上昇したら、投資している資産も5%上昇するように運用されるわけです。

1-1.インデックス投資を行う方法

インデックス投資を行う場合は、インデックスに連動するように設計されている金融商品を購入することになります。

インデックスに連動する金融商品は「インデックス・ファンド」と呼ばれており、その種類にはさまざまなものがあります。具体的には以下のインデックスに連動する商品があります。

  • 日経平均株価
  • TOPIX
  • MSCI ジャパン
  • MSCI コクサイ・インデックス
  • MSCI ワールド・インデックス
  • S&P 500
  • REIT(東証REIT指数) など

※MSCIとは、Morgan Stanley Capital International(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社)が算出・公表している指数のことで、この指数をもとに様々な投資信託やETF(上場投資信託)が作られています。

これらのインデックスに連動する投資商品であるETFは、東証に上場しているもので234銘柄あります。また、インデックス型の投資信託も1,000件以上存在します(いずれも2021年2月時点)。

それぞれのインデックス・ファンドによって投資収益は異なりますので、自分の収益目標やコスト、リスクなどさまざまな視点から慎重にインデックスを選択することが大切になります。

2.インデックス投資のメリット

ここでは、インデックス投資を行うメリットについて見ていきましょう。具体的には、以下のようなメリットがあります。

  1. 初心者でも理解しやすく始めやすい
  2. 運用に掛かるコストが低い
  3. 手間が掛からない
  4. インデックス・ファンドを購入するだけで分散投資になる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

2-1.初心者でも理解しやすく始めやすい

インデックス投資は理解しやすい投資手法のため、初心者にとっても始めやすいというメリットがあります。

先述しているように、インデックス投資では日経平均株価など特定の指数に連動するように運用される金融商品を購入することになります。そのため、値動きなども比較的わかりやすく、投資しやすいといえます。

また、日経平均株価やTOPIX、NYダウなどといった認知度が高い指数については、値動きに関するニュースが毎日出ています。それらの情報に触れることで、ベンチマークが変動する要因についても徐々に知っていくことができますし、大きな流れに沿って値が動くインデックス・ファンドは初心者にとっても理解しやすいものとなります。

2-2.運用に掛かるコストが低い

インデックス投資を行う場合は、ETF(上場投資信託)や一般の投資信託商品を購入することになります。この場合、運用をファンドマネージャーに委託するにあたり「信託報酬」などの手数料を支払うことになりますが、インデックス投資なら信託報酬が低く抑えられるというメリットがあります。

投資信託では、インデックス投資のほかに「アクティブ投資」という運用方法が取られた商品もあります。これはベンチマークを上回る運用を目指すため、各銘柄の調査費用や銘柄の売買手数料、人件費など、コストが掛かりやすくなります。

一般的にインデックス・ファンドは、ベンチマーク(目標となる指数)に連動するように機械的かつ平均的に運用されるため、コストを抑えることができるのです。

仮に長期的な運用を考えている場合、信託報酬の少しの差が将来的には大きな差となって表れることとなるため、コストが低いということは、それだけ収益も大きくなりやすいといえます。

また、投資信託によっては購入時に販売手数料がかかるものもあります。しかし、インデックス・ファンドでは販売手数料が不要なノーロード投資信託の数が多く、この点でもコストを抑えやすいといえます。証券会社においても、SBI証券などはノーロード投資信託の取扱を充実させており、ファンドを選びやすくなっています。

2-3.手間が掛からない

投資をするのに手間が掛からないというのも、インデックス投資を行うメリットといえます。

インデックス投資では、ベンチマークに連動するよう設計されている金融商品を購入するだけで投資を行うことができます。

個人で株取引やFXなどを行う場合は、購入する銘柄・通貨ペアに対する調査をしたり、購入・売却のタイミングを計ったりする必要があり、それなりに時間がかかってしまいます。

一方、インデックス投資は個別株と比べて銘柄調査の時間などは少なくて済み、また長期的な目線で資産運用をプロに委託することができるため、投資に時間があまり取れないという方でも取り組みやすいといえます。

2-4.インデックスファンドを購入するだけで分散投資になる

インデックスファンドを選択して購入することが、そのまま分散投資になるというのもインデックス投資のメリットです。

分散投資というのは、投資で収益を得るための重要な要素の一つで、値動きの異なる複数の資産を同時に保有することでリスクを分散するという投資方法です。しかし、自分で適切な分散投資ができるようにポートフォリオを考えながら投資を行うのは、初心者にとっては少々難しいといえます。

しかし、インデックス投資のための金融商品では、もとからさまざまな投資対象を組み合わせてあります。そのため、自分が投資したいインデックスファンドを選択して購入するだけで分散効果を得ることができるのです。

さらに、対象のインデックスとは異なる値動きをする商品、例えば債券や不動産などに投資する投資信託を合わせて購入することで、さらに分散効果を高めることができます。もし不況によって日経平均株価が大幅に下落した場合でも、比較的不況に強い債券ファンドや、元本保証のある預金などに投資をしておくことで、損失の幅を抑えることが可能です。

3.インデックス投資のデメリット

一方、インデックス投資には、以下のようなデメリットもあります。

  1. 短期で大きなリターンは狙いにくい
  2. 一定の運用コストがかかる

それでは、詳しく見ていきましょう。

3-1.短期で大きなリターンは狙いにくい

インデックス投資のデメリットの1つが、短期間で大きなリターンを狙うことは難しいという点です。ベンチマークとなる指数のほとんどは、個別株と比べて極端に変動することがあまりなく、緩やかな値動きとなるからです。

なお、インデックス投資で短期のリターンを狙いたい場合は、呼ばれる日経平均などの指数に対して、テコの原理のように何倍もの変動率で上昇するレバレッジ・インデックスの指数に連動する商品(ブル型・ベア型)もあります。ただし、ブル型・ベア型の商品は、リターンだけでなく損失の幅も大きくなりますので、十分なリスク管理をするようしましょう。

3-2.一定の運用コストがかかる

インデックス投資の信託報酬は、アクティブファンドの信託報酬よりも低いとはいえ、ゼロではありません。

たとえば、信託報酬が年0.2%かかるインデックス連動の商品を100万円分購入した場合、毎年2,000円のコストがかかります。運用を10年間続ければ、単純計算で2万円分のコストがかかる計算となります。長期投資を行う場合は、この運用コストをまかなえるリターンが将来的に期待できるインデックス投資商品を選ぶ必要があります。

具体的には、ファンドのこれまでの成績を確認し、きちんとベンチマークと連動して基準価額が上昇しているかを見るとよいでしょう。なお、信託報酬は投資家が支払いを行うものではなく、毎日ファンドの運用資金から間接的に差し引かれることになるため、基準価額がインデックスに沿って成長しているファンドであればコストを上回る成績を出せていると判断できます。

4.インデックス投資を行う際の注意点

実際にインデックス投資を行う場合は、以下の点に注目してファンドを選択することが大切です。

  1. 証券会社ごとの取扱商品数と手数料
  2. 純資産総額
  3. 分配方針
  4. 金融商品の組み合わせ方

4-1.証券会社ごとの取扱商品数と手数料

インデックス・ファンドを提供する証券会社によって取り扱っている商品数や種類が異なります。

また、投資信託では商品によって信託報酬が発生するほか、販売手数料、売買手数料などが発生することもあります。

そのため、それぞれの証券会社の取り扱い商品とその特徴についてしっかり調べて、自分に合ったインデックスファンドを選択することが大切です。

4-2.純資産総額

インデックスファンドを選択する場合は、純資産総額についても確認したほうがいいでしょう。純資産総額はファンドの規模を表す指標で、基準価額×受益権口数で求めることができます。

運用前よりも運用中の純資産総額が増加しているのであれば、運用のパフォーマンスは良好であり、人気のあるファンドだと判断することができます。逆に、純資産総額が減少している場合は、パフォーマンスが悪く人気が乏しいか、分配金が多い可能性があります。

できるだけ長い期間運用することを考えているのなら、純資産総額が大きいファンドや増加しているファンドを選択するようにしましょう。

4-3.分配方針

インデックス・ファンドではそれぞれの商品の分配方式についても確認しましょう。

投資信託では、運用で発生した利益や配当が投資家に還元される仕組みとなっています。還元方法としては、口座へ入金される場合と、分配金がそのまま再投資に回される場合があります。

インデックス・ファンドでは、分配金を再投資するケースがほとんどですが、一部毎月還元するような分配型の商品もあります。

インデックス投資では、利益をそのまま投資に回した方が複利効果を得られるため、将来的なリターンの上限が大きくなります。一方、分配型では純資産が分配のたびに減少するため、定期的に資金を手元に受け取れる一方、運用によって得られる利益は少なくなります。

そのため、自身の投資目的に合っているファンドかを判断するために、再投資型のインデックス・ファンドかどうかを確かめることが重要になります。長期的に投資を行って資産を増やしていきたい場合は、再投資型の方が効率的だといえます。

4-4.金融商品の組み合わせ方

インデックス・ファンドを選択する場合は、構成されている金融商品の組み合わせ方についても見ておきましょう。

例えばインデックス・ファンドのなかには、国内株式のみで運用されるものもありますが、分散投資効果を狙うのであれば海外の株式や国内・海外の債券、不動産(REIT)などに投資するファンドも組み合わせて投資することが必要になります。

また、投資するインデックスの構成銘柄についても理解をしておくことも大切です。たとえば、日経平均株価は上位銘柄の寄与度が高く、上位銘柄の動きが指数に与える影響が大きいという特徴があり、2021年2月16日時点では225銘柄のうち上位10銘柄だけで39.89%を占めています。

日経平均株式指数の構成比率上位10銘柄(2021年2月16日時点)

日経平均株式指数の構成比率上位銘柄 構成比率
ファーストリテイリング 12.15%
ソフトバンクグループ 7.37%
東京エレクトロン 5.24%
ファナック 3.44%
ダイキン工業 2.80%
エムスリー 2.62%
KDDI 2.40%
アドバンテスト 2.25%
信越化学工業 2.24%
テルモ 2.16%

このように、それぞれのインデックスで特徴が異なりますので、特性をしっかりと把握した上で、購入の検討や組み合わせを検討していくことが大切です。

まとめ

インデックス投資は、ベンチマークとなる指数に連動する運用が実施されるので、初心者でも比較的わかりやすく始めやすい投資手法です。手数料も安く、運用はプロに一任できるため、始めやすい投資対象として人気があります。

ですが、メリットがある一方でデメリットもあるため、自分がどのようなスタイルで投資をしていきたいのか、よく考えて判断することが大切です。本記事を参考に、インデックス投資についてじっくり検討してみて下さい。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。

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山本 将弘

フリーランスWebライター。主に株式投資や投資信託の記事を執筆。それぞれのテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。将来に備えとリスクヘッジのために、株式・不動産など「投資」に関する知識や情報の収集、実践に奮闘中。