投資信託は少額から投資ができ、また運用をプロに任せることができるため、初心者の方にも人気のある金融商品です。中でも最近は、インターネットの利用拡大に伴って販売手数料のかからないノーロード投資信託が注目されています。
投資信託で発生する手数料は、株式投資等と比べると高めなので、少額投資や長期にわたる積立投資をする場合、コストの安いファンド選びが重要になります。
そこでこの記事では、ノーロード投資信託のメリット・デメリットやノーロード投資信託を選ぶ際のポイント、人気の高いノーロードファンドをご紹介します。投資信託選びで悩んでいる方、コストを節約して運用益を伸ばしたい方は、ご参考ください。
目次
- ノーロード投資信託とは
- ノーロード投資信託のメリット
2-1.販売手数料が無料
2-2.手軽に購入できる
2-3.リスクを抑えた運用が期待できる - ノーロード投資信託のデメリット
3-1.販売手数料以外のコストは発生する
3-2.きめ細かいサポートは望めない
3-3.大きな利益は期待できない - ノーロード投資信託を選ぶときのポイント
4-1.運用実績の良いファンドを選ぶ
4-2.純資産総額の大きいファンドを選ぶ
4-3.トータルコストの安いファンドを選ぶ - 代表的なノーロード投資信託4選
5-1.日経225ノーロードオープン
5-2.野村インデックスファンド・日経225
5-3.フィデリティ・USリート・ファンドB
5-4.ストックインデックスファンド225 - まとめ
1 ノーロード投資信託とは
ノーロード投資信託とは、「販売手数料」がかからない投資信託を指します。投資信託の販売手数料はロードと言いますが、販売手数料は販売会社がある程度自由に決めることができるため、同じ投資信託でも販売会社によって「ノーロードに該当する場合」と「しない場合」があります。
もっとも、投資信託の必要コストは販売手数料だけでなく、投資信託の運用にあたって常時かかる「信託報酬」や、投資信託の解約時に必要となる「信託財産留保額」などのコストがあります。このような信託報酬や信託財産留保額は、ノーロード投資信託でも無料となるわけではありません。
従来、投資信託の購入は、証券会社や銀行の窓口で行うのが一般的でした。その際、証券会社や銀行の担当者から商品の説明を受け、購入手続きをしてもらっていました。販売手数料は、このような担当者の商品説明や購入手続きに要する費用として、顧客が負担してきた事情があります。
しかし、最近のようにインターネット経由で投資信託を購入すれば、商品説明や購入手続きにかかる窓口担当者の負担がなくなるため、販売手数料無料のノーロードタイプが普及し人気となっています。
2 ノーロード投資信託のメリット
次に、ノーロード投資信託にはどのようなメリットがあるかについて見ていきましょう。
2-1 販売手数料が無料
購入手数料のかかるタイプでは基準価額に対して1〜3%の手数料が発生する投資信託もあります。さらに運用途中の信託報酬や売却時の信託財産留保額、運用益に対しては税金も発生するので、購入手数料無料のノーロードは運用収支からみて大きなメリットがあります。
2-2 手軽に購入できる
ノーロード投資信託は主にネット証券会社が取り扱っているので、購入にはわざわざ窓口に足を運ぶ必要がなく、手間がかかりません。
さらに最近は、ノーロード投資信託の種類も増えてきており、ネット証券会社でもSBI証券など、通常の投資信託よりノーロード投資信託の取り扱いのほうが多いところも現れています。数多くの選択肢の中から自分に合ったノーロードファンドを選びやすくなっています。
2-3 リスクを抑えた運用が期待できる
ノーロード投資信託にはインデックスファンドが多いため、リスクを抑えた運用が期待できます。
インデックスファンドとは、日経平均株価や東証TOPIXなどのインデックス指数に連動して、市場の平均的な利益を獲得しようとする投資信託です。市場の平均的な利益以上の収益を目指すアクティブファンドとは異なり、相場価格はインデックス指数に連動して変化します。
ノーロード投資信託では、インデックス指数を超える大きな収益は期待しにくいものの、インデックス指数から大きく外れて落ち込むリスクも少ないのが特徴です。
3 ノーロード投資信託のデメリット
ノーロード投資信託のリスクや注意点は以下の通りです。
3-1 販売手数料以外のコスト
ノーロード投資信託でも、運用時にかかる信託報酬は運用が続く限り必要となり、解約時に信託財産留保額がかかる場合もあります。販売手数料が無料でも、その他の費用を合計すると他の投資信託よりも割高になるというケースもあるので、注意が必要です。
また、全体的なコストが安くても収益の良くない投資信託では、利益をほとんど望めない場合もあります。投資信託の商品選びでは手数料などのコスト面だけで判断しないことが大切です。
3-2 きめ細かいサポートは望めない
証券会社や銀行の窓口で投資信託を購入すると、担当者から投資信託の商品内容を詳しく説明してもらえる上、運用期間中も質問できるなどの様々なサポートを受けることができます。
一方、ノーロード投資信託をネット経由で購入する場合は、担当者による口頭での説明等はないため、商品内容が詳しく記載された目論見書等を自らチェックする必要があります。また、運用途中においてもサポートセンター等で一般的な質問は受け付けていますが、購入手数料のかかるタイプと比べると、きめの細かいサポートは期待しにくいのがデメリットです。
3-3 大きな利益は期待できない
ノーロード投資信託の多くを占めるインデックスファンドは、特定の指数に連動するタイプになるので、リスクが大きくない反面、市場の平均的な利益を超える大きな収益は狙いにくいのが特徴です。
4 ノーロード投資信託を選ぶときのポイント
次に、ノーロード投資信託を選ぶ際にどのような点に注意すればよいか、そのポイントについて見ていきましょう。
4-1 運用実績の良いファンドを選ぶ
ノーロード投資信託は運用実績を基準に選ぶことが重要です。たとえコストの安い投資信託を購入したとしても、利益をしっかりと出すことができなければ投資目的を達成することも難しくなります。
投資信託の過去の運用実績は、目論見書や運用報告書等で確認することができます。運用実績は将来の成果を約束するものではありませんが、ファンドを選ぶ際は、過去の収益率や基準価格の推移等を参考に選ぶことが大切です。
4-2 純資産総額の大きいファンドを選ぶ
純資産総額を基準にファンドを選ぶのもポイントの一つです。純資産総額の大きいインデックスファンドは、日経平均株価等の指標を算出するための銘柄・保有割合とほぼ同じ内容で構成されています。指標を構成する多くの銘柄を組み入れることで、市場全体の平均的な利益を得る動きと連動することが可能になり、リスク分散にもなります。
一方、純資産総額の小さいファンドでは、指標に連動させるための銘柄・保有割合を同じ内容で組み入れることが難しく、その結果、ファンドが指標の動きから乖離し、想定した収益を上げることができなくなる可能性があります。
また、純資産総額の増減に注目することも大切です。ファンドの純資産総額が増加していれば、組入資産の基準価額が上昇していたり、ファンド全体の保有口数が伸びていたりすることを表します。運用が好調かどうかのポイントとして、純資産総額の増減にも着目してみましょう。
4-3 トータルコストの安いファンドを選ぶ
販売手数料のかからないノーロード投資信託でも、運用中の信託報酬や解約時の信託財産留保額を事前に確認し、トータルコストを把握する必要があります。特に信託報酬は、運用中は常時かかってくる費用のため、投資の収支に大きく影響します。
5 代表的なノーロード投資信託4選
純資産総額やコスト、運用実績等から人気のあるノーロード投資信託をご紹介します(本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の企業・商品・ファンドへの投資を勧誘するものではないため、投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します)。
※この記事は2021年2月16日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
5-1 日経225ノーロードオープン
日経225採用銘柄の中から200銘柄以上に等株数投資を行い、日経平均株価に連動する投資効果を目指すインデックスファンドです。組入上位の銘柄には、ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ、KDDIなどの有名企業が名を連ねています。
投資対象 | 国内株式 |
委託会社 | アセットマネジメントOne株式会社 |
信託報酬 | 純資産総額に対して年0.88%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
純資産総額 | 1,484.34億円 |
年間収益率 | -1.6%(2020年) |
分配方針 | 年1回 |
5-2 野村インデックスファンド・日経225
マザーファンドを通じて日経225採用銘柄に投資し、日経平均株価に連動する投資効果を目指すインデックスファンドです。業種別の投資比率は、1位電気機器(21.9%)、2位小売業(12.7%)、3位情報・通信業(12.2%)と続きます。
投資対象 | 国内株式 |
委託会社 | 野村アセットマネジメント株式会社 |
信託報酬 | 純資産総額に対して年0.44%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
純資産総額 | 397.3億円 |
年間収益率 | 20%程度(2019年) |
分配方針 | 年1回 |
5-3 フィデリティ・USリート・ファンドB
マザーファンドを通じて、主に米国の取引所に上場されている不動産投資信託に投資し、ファンドの配当利回りが「FTSE NAREIT Equity REITs インデックス」を上回る投資効果を目指す投資信託です。
投資対象 | 海外不動産投資信託 |
委託会社 | フィデリティ投信株式会社 |
信託報酬 | 純資産総額に対して年1.54%(税込) |
信託財産留保額 | 基準価額に対して0.33%(税込) |
純資産総額 | 5,425.79億円 |
年間収益率 | 2019年:為替ヘッジあり:-13.7%、為替ヘッジなし-18.2%(2020年) |
分配方針 | 毎月 |
5-4 ストックインデックスファンド225
マザーファンドを通じて、日経225採用銘柄の中から200銘柄以上に等株数投資を行い、日経平均株価に連動する投資効果を目指すインデックスファンドです。
投資対象 | 国内株式 |
委託会社 | 大和アセットマネジメント株式会社 |
信託報酬 | 純資産総額に対して年0.572%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
純資産総額 | 758.05億円 |
年間収益率 | -0.5%(2020年) |
分配方針 | 年1回 |
まとめ
投資信託を購入する際は、運用実績を基準に投資信託を選ぶことと併せて、各種手数料などの必要コストの安いものを選ぶことが大切です。中でも販売手数料のかからないノーロード投資信託は、インデックスファンドが中心なので、リスクを抑えた運用を行いたい初心者の方にも向いています。
ノーロード投資信託に関心のある方は、この記事等を参考に商品の特徴やデメリット・リスクなどをしっかりと確認した上で、投資判断を行うようにしましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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