株式市場で投資判断を下す際には、株式銘柄の配当利回りが重視されることがあります。そのような高配当の株式をはじめとして、高い配当金が得られる銘柄を集めて構成されているのが高配当ETFです。
今回は、高配当ETFに投資をするメリットやデメリット、商品の仕組み、特徴などについて解説します。
目次
- 高配当ETFとは?
- 高配当ETFのメリット
2-1.分配利回りが高い
2-2.個別株の値下がりリスクを回避できる
2-3.値動きがわかりやすい
2-4.投資対象の選択肢が多い - 高配当ETFのデメリット
3-1.大きな成長は見込みづらい
3-2.自動積立ができないことがある
3-3.自動的に再投資できない - 主な高配当ETFを紹介
4-1.日経高配当株50ETF
4-2.日本株高配当70ETF
4-3.MAXIS 日本株高配当70マーケットニュートラル - まとめ
1.高配当ETFとは?
高配当ETFとは、配当利回りの高い株式銘柄によって構成されている上場投資信託のことをいいます。ETFとは「Exchange Traded Funds」の略称で、金融商品取引所に上場しており、日経平均株価や東証株価指数などの動きに連動するような成果を目指して運用される「指数連動型の投資信託」のことです。
そして高配当ETFでは、今期における予想配当利回りが高い株式銘柄を選択して投資が行われます。投資信託なので個別の株式銘柄が値下がりするリスクを回避することができ、高配当の株式銘柄への分散投資を行うこともできます。
2.高配当ETFのメリット
高配当ETFに投資をするメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 分配利回りが高い
- 分配金の再投資で投資効率がアップする
- 個別株の値下がりリスクを回避できる
- 値動きがわかりやすい
- 選択肢が多い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.分配利回りが高い
高配当ETFに投資をする主なメリットは、高い配当(分配金)利回りです。
株式市場における平均的な配当利回りが2%前後であるのに対して、高配当ETFでは4%~5%の分配利回りとなるものもあります。株式からの配当金での分配金を得やすいため、インカムゲインを狙いたい方には向いている投資商品の一つといえます。
なお、通常の投資信託には、運用による利益を投資家に還元する「普通分配金」と、投資元本を取り崩して投資家に支払われる「特別分配金(元本払戻金)」の2種類がありますが、ETFの分配金はすべて普通分配金であるため、後述の再投資メリットを享受しやすくなっています。
2-2.個別株の値下がりリスクを回避できる
高配当ETFでは、個別の株式銘柄が値下がりするリスクを回避できるというのもメリットになります。ETFは複数の銘柄に分散投資を行いますので、仮に1つの銘柄の株価が下落しても、他の銘柄でカバーできるからです。
一般的な株式投資において、ある株式銘柄を購入した場合、その株価が大きく下落することがあります。もし、すべての資金をその銘柄に投入していた場合、大きな損失となってしまいます。
しかしETFへの投資は分散投資となるため、個別株の値下がりリスクを抑えることが可能になるのです。
2-3.値動きがわかりやすい
高配当ETFは個別株式などに比べて値動きがわかりやすいというメリットもあります。
ETFは、日経平均株価や東証株価指数などの指数に連動するような成果を目標に運用されます。そのため、ベンチマークとなる指数とほぼ同じ値動きとなります。特異な値動きをすることは少ないため、比較的投資しやすい対象といえます。
2-4.投資対象の選択肢が多い
高配当ETFは、投資対象の選択肢が多いというのもメリットといえます。
ETFには、日本の株式だけではなく、日本の債券、海外株式、外国債券、コモディティなど、さまざまな指数に連動する商品が存在します。特に、米国の高配当ETFでは、誰もが知っているような世界的銘柄を中心に構成された商品も提供されており、人気を集めています。
3.高配当ETFのデメリット
一方、高配当ETFへの投資には、以下のようなデメリットも存在します。
- 大きな成長は見込みづらい
- 自動積立ができないことがある
- 自動的に再投資できない
こちらも詳しく解説していきましょう。
3-1.大きな成長は見込みづらい
高配当ETFを構成している銘柄は、今後大きな成長を見込みにくいというデメリットがあります。高配当ETFを構成する銘柄の市場は、すでに成熟している市場であるため、複数の銘柄が大化けする可能性は低いといえます。
ただし、成長性は限られるとしても、そのぶんリスクの低さには強みを持っているということになります。高配当ETFは大型株の割合が高いぶん経済状況に左右されにくい耐久力があり、長期の資産運用には適していますので、単純に欠点とは言いにくい部分もあります。
3-2.自動積立ができないことがある
高配当ETFでは、自動積立ができないことがあるというのもデメリットです。
ETFは、投資家自身が市場価格を確認しながら売買を行います。そのため、自動積立投資ができない場合があり、その分手間と時間が掛かってしまいます。ただし、一部の証券会社では累積投資(毎月定額で銘柄を購入し続ける投資)の対象になっていることもあり、その場合は自動で積立投資が可能です。
3-3.自動的に再投資できない
高配当ETFでは、分配金を自動的に再投資できないというのもデメリットになります。
一般的な投資信託では、分配金を再投資するかどうかを選択できるケースが多いのですが、高配当ETFでは分配金を再投資する仕組みがありません。そのため、投資効率を上げるために再投資したい場合は、その都度自分で買い付けを行う必要があります。
4.主な高配当ETFを紹介
ここからは、高配当ETFのなかでも人気の商品とその特徴について紹介したいと思います。
今回紹介するのは、日本株を投資対象とする以下の3つの高配当ETFです。
- 日経高配当株50ETF
- 日本株高配当70ETF
- MAXIS 日本株高配当70マーケットニュートラル
それぞれ詳しく見ていきましょう。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
4-1.日経高配当株50ETF(1489)
日経高配当株50ETF(正式名称:NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信)は、日経平均高配当株50指数に連動するように運用される高配当ETFで、野村アセットマネジメントによって運用されています。
日経平均高配当株50指数とは、日経平均株価を構成する株式銘柄のうち、予想配当利回りの高い原則50銘柄で構成された株価指数のことをいいます。
直近1年間の分配金と基準株価から計算する分配金利回りは4.44%となっています。
名称・コード | 日経高配当株50ETF・1489 |
運用会社 | 野村アセットマネジメント |
信託報酬(税込) | 0.308% |
決算回数・決算日 | 4回(1・4・7・10月の各7日) |
基準株価(2020年9月1日現在) | 28,520円 |
分配金利回り(直近1年間) | 4.44% |
構成上位銘柄 | NTTドコモ/武田薬品工業/伊藤忠商事/野村ホールディングス/SUBARU/本田技研工業/KDDIなど |
4-2.日本株高配当70ETF(1577)
日本株高配当70ETF(正式名称:NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信)は、野村日本株高配当70という指数に連動するように運用される高配当ETFです。こちらも運用会社は野村アセットマネジメントです。
野村日本株高配当70とは、国内の金融商品取引所に上場しているすべての普通株式のうち、今期の予想配当利回りの高い原則70銘柄で構成される等金額型の指数のことをいいます。
直近1年間の分配金と基準株価から計算する分配金利回りは4.18%となっています。
名称・コード | 日本株高配当70ETF・1577 |
運用会社 | 野村アセットマネジメント |
信託報酬(税込) | 0.352% |
決算回数・決算日 | 4回(1・4・7・10月の各7日) |
基準株価(2020年9月1日現在) | 18,750円 |
分配金利回り(直近1年間) | 4.18% |
構成上位銘柄 | 清水建設/JSR/中国電力/KDDI/東北電力/NTTドコモ/伊藤忠商事/SBIホールディングス/武田薬品工業など |
4-3.MAXIS 日本株高配当70マーケットニュートラル(1499)
日本株高配当70マーケットニュートラル(正式名称:MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信)は、三菱UFJ国際投信が運用する高配当ETFです。野村日本株高配当70マーケットニュートラル指数に連動するように運用されています。
直近1年間の分配金と基準株価から計算する分配金利回りは4.01%となっています。
名称・コード | 日本株高配当70マーケットニュートラル・1499 |
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
信託報酬(税込) | 0.44% |
決算回数・決算日 | 4回(1・4・7・10月の各10日) |
基準株価(2020年9月1日現在) | 8,000円 |
分配金利回り(直近1年間) | 4.01% |
構成上位銘柄 | NTTドコモ/ソフトバンク/KDDI/トヨタ自動車/日本電信電話/武田薬品工業/日本たばこ産業/三菱商事など |
まとめ
今回は高配当ETFの特徴やメリット・デメリットなどについて解説しました。
高配当ETFが気になっている方は、この記事を参考に検討を進めてみてはいかがでしょうか。
山本 将弘
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