株式や債券、不動産など、私たちの周りには投資できる資産や商品がたくさんありますが、実物資産である「金」も、投資対象の一つです。
しかし、実際に金に投資するにはどうしたらいいのか、どのようなメリットやデメリットがあるのか、分からない方もいらっしゃると思います。そこで今回は、金投資の始め方やメリット・デメリットなどについて解説します。金投資を始めたい方は参考にしてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 金投資の始め方・手順
1-1.金の現物を購入する(金貨・金地金)
1-2.純金での積立をする
1-3.金に投資できる投資信託を購入する
1-4.金の先物取引をする
1-5.クラウドバンクの金取引サービスを利用する - 金投資のメリット
2-1.信用リスクが低い
2-2.インフレ対策になる
2-3.分散投資に適している - 金投資のデメリットや注意点
3-1.元本割れのリスクがある
3-2.インカムゲインは発生しない
3-3.現物を保有する場合は紛失・盗難のリスクがある - まとめ
1.金投資の始め方・手順
金投資とは文字通り「金(きん)」への投資を行うことをいいます。金は信用度が高く、世界のどこでも価値が共通していて希少性も高いという特徴があります。
金投資には様々な手法があり、それぞれの手順も異なってきます。金投資を始める主な方法は下記のとおりです。
- 金の現物を購入する(金貨・金地金)
- 純金での積立をする
- 金に投資できる投資信託を購入する
- 金ETFを購入する
- 金の先物取引をする
- クラウドバンクの金取引サービスを利用する
1-1.金の現物を購入する(金貨・金地金)
金に投資する方法の1つが、現物の金を購入するというものです。金貨(地金型金貨)や金地金(ゴールドバー)などを購入することで、金に投資できます。
金貨は宝飾店や貴金属店で購入可能です。発行元や発行した国、発行年によりデザインに違いがあるため金貨によって価格が異なります。また、金地金を購入するよりも価格が高くなる傾向にあります。
金地金は貴金属メーカーや地金商、商社などから購入できます。金の購入は1,000グラム以上が目安となります。例えば、500グラム未満の売買にはバーチャージ(売買手数料)が発生するケースもあり、取り扱う業者により手数料は異なります。また、保管のための貸金庫や業者の預かりサービスを利用する際も、手数料が発生します。
現物の金を購入するメリットは、すぐに換金しやすい現物資産を保有できるということです。一方で、現物資産である金を保有する場合、紛失・盗難のリスクが伴うため注意が必要です。
1-2.純金での積立をする
金投資の方法の1つに、毎月少しずつ積み立てて金を購入していくという方法があります。純金の買付は、貴金属メーカーや地金商、証券会社、銀行などで行います。純金の積立には下記の2つの方法があります。
- 定額積立
- 定量積立
定額積立は毎月の積立金額を決めて購入する方法です。1,000円単位から購入可能で、時々のレートによって購入できる量が異なります。また、定額積立で長期投資を行う場合、ドルコスト平均法により買付金額の平均値を抑えられるメリットがあります。
定量積立は毎月決まった量を購入するため、時々のレートによって購入金額が変動します。保有する金は「現金への換金」「手数料を払ったうえでの現物引出し」「ジュエリーでの等価交換」が可能です。
積立投資では、少額から投資できるほか、自身で保管しないため紛失・盗難の心配がないというメリットがあります。一方、購入ごとに買付手数料が発生するため、コストについては事前に確認する必要があるでしょう。
1-3.金に投資できる投資信託を購入する
金を投資対象にした投資信託を購入するというのも、金に投資する方法の1つです。投資信託とは、投資の専門家に運用を任せられる金融商品で、さまざまな資産を対象に投資できます。金に投資する投資信託を購入すれば、金への間接的な投資が可能となります。
投資信託は銀行や証券会社などの販売会社で購入できますが、投資信託口座や証券口座など開設する必要があります。口座の開設後に入金すれば、投資信託を購入できるようになります。
投資信託は運用をファンドマネージャーに任せられるため手間が掛からないことや、少額からでも投資できるといったメリットがあります。また、現物の金取引ではないので、紛失・盗難の恐れもありません。
一方で、投資信託を保有している間は、信託報酬(手数料)が発生し続けるといったデメリットがあります。ランニングコストが掛かるため、投資に対する想定される利益とコストのバランスを見極める必要があるでしょう。
1-4.金の先物取引をする
金に投資するなら、先物取引を行うのも1つの方法です。
先物取引とは、将来のある日に決められた金額で売買することを約束する投資方法です。金も先物取引が可能で、価格は常に変動しています。
先物取引は買い手・売り手どちらからでも始められるのが特徴です。仮に、ある期日に購入を約束した金の価格が、実際の期日時点での価格よりも低い場合、安い価格で購入でき高い価格の時価で売却できるので、差額が利益となります。
また、先物取引はレバレッジを掛けられるため、元手の何倍もの大きな取引を行えて、大きな利益を期待できるというメリットがあります。
しかし、想定した方と逆に値動きが起きた場合は損失が発生します。レバレッジをかけると大きなリターンを期待できる反面、大きな損失が発生する可能性もあります。ハイリスク・ハイリターンの投資方法ですので、取引に参加する場合は十分注意しましょう。なお、先物取引を行うには、先物オプション取引口座という専門口座を開設する必要があります。
1-5.クラウドバンクの金取引サービスを利用する
クラウドファンディングサービスのCrowd Bank(クラウドバンク)を利用して、金取引を行うのも1つの方法です。
クラウドバンクが提供する金取引は、金の保管料や年会費などは無料、最低購入金額1,000円から投資できるため、少額からでも始められるのが特徴です。買いたいタイミングで購入するスポット購入、毎月一定額を購入する積立購入の両方に対応していて、購入手数料は1.65%、売却手数料は無料となっています。
取り扱っている金は純度99.99%と品質が高く、クラウドバンクによって特定保管(会社の資産と顧客の資産を区別して保管する方法)される点も特徴です。
【関連記事】クラウドバンクの金取引、メリット・デメリットは?注意点も
2.金投資のメリット
金投資のメリットは下記のとおりです。
2-1.信用リスクが低い
金投資のメリットの1つが、発行元が無、信用リスクが非常に低いということです。
法定通貨や債券、株式などは、国や企業の信用がベースとなって成立・取引されている資産です。社会情勢や経済状況などの影響で、国・企業が破綻するようなことがあると、価値が大きく下落してしまうリスクがあります。
一方、金は自然界に存在する鉱物であり希少性も高いため、信用リスクが低く、価値がなくなることは考えにくいといえます。そのため、世界情勢や経済の動向が不安視される状況では、値上がりしやすい傾向にあります。
2-2.インフレ対策になる
インフレ時の対策になるというのも金投資のメリットです。物の価値が上がり、貨幣の価値が下がるインフレの局面でも、現物資産である金の価格は値上がりしやすい傾向にあります。また、値動きも緩やかなので、インフレ対策としての投資に向いているといえます。
2-3.分散投資に適している
分散投資に適しているのも、金投資のメリットです。金はインフレの影響を受けにくいことに加え、株式や債券などと値動きの傾向が異なります。株式や債券が値を下げている状況でも、金が値上がりすることがあります。
そのため、金を株式や債券などのポートフォリオに加えることで、分散投資の効果を高めやすくなります。
3.金投資のデメリットや注意点
金投資のデメリットや注意点は下記のとおりです。
3-1.元本割れのリスクがある
元本割れのリスクがあるのが、金投資のデメリットの1つです。投資全般にいえることですが、投資する金融商品に値動きがある以上、利益だけでなく損失が発生する可能性があります。
金を売却する際の価格が、購入時の価格を下回っていれば損失が発生します。購入や売却のタイミングはしっかり見極める必要があるでしょう。
3-2.インカムゲインは発生しない
金投資では、利息や配当を生み出すことはなく、原則としてインカムゲインは発生しません。期待できるのはキャピタルゲイン(売却益)のみです。
このような特徴があることから、通貨のリスクヘッジとして資産分散の対象に取り入れたり、世界情勢が大きく動いたタイミングで短期投資を行ってキャピタルゲインを狙うなど、投資の方法にも工夫が必要となります。
3-3.現物を保有する場合は紛失・盗難のリスクがある
現物の金を保有する場合、紛失したり、盗難されたりするリスクがあるのもデメリットです。
株式や債券のようにデータ化されたものは、失くす・盗られるといった心配がありません。
しかし、現物の金を保有する場合、常に紛失・盗難リスクが伴います。仮に誰かに盗られてしまい所有権を主張されれば、手元に戻らない可能性すらあります。現物の金を購入して投資する場合は、保管方法についても考えておきましょう。
まとめ
今回は金投資の始め方や手順、メリット・デメリットについて紹介しました。金は世界中で取引される信頼性の高い金融商品であり、換金性が高いうえに値動きが緩やかなため、初心者でも始めやすい投資方法といえます。
一方、元本割れのリスクやインカムゲインが無いことなど、注意しておきたいポイントもあります。本記事を参考に、金投資に対する理解を深めておきましょう。
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山本 将弘
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