eMAXISシリーズの特徴は?人気ファンドのコストや実績の比較も

投資信託の需要が高まっています。一般社団法人投資信託協会の資料によると、2021年10月末の公募投資の純資産額は過去最高の162.8兆円となりました。2020年10月の純資産額が124.9兆円だったので、1年間で37.9兆円(約30%)増加したことになります。

増加の背景には、ネット証券の広がりで株式投資のハードルが下がったことや、将来不安の高まりからつみたてNISAやiDeCoの加入者が増大していることが考えられます。

しかし、投資信託は銘柄数が多いため、初心者の方は銘柄選びに苦労するという話もよく耳にします。そこで、今回から、7回にわたりファンド運用会社別の投資信託について解説します。まず、1回目は三菱UFJ国際投信のeMAXISシリーズです。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2021年11月10日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
※信託報酬の表記は全て税込です。

目次

  1. eMAXISシリーズと特徴
    1-1.eMAXIS
    1-2.eMAXISプラス
    1-3.eMAXIS Slim
    1-4.eMAXIS Neo
  2. eMAXISとeMAXIS Slimの信託報酬比較
  3. 他社との信託報酬比較
  4. 騰落率上位のファンド(1年間)
    4-1.eMAXIS Neo バーチャルリアリティ
    4-2.eMAXIS Neo 自動運転
    4-3.eMAXIS Neo ナノテクノロジー
  5. 純資産額が多いファンド
    5-1.eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)ファンド
    5-2.eMAXIS Slim 先進国株式インデックスファンド
    5-3.eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)ファンド
  6. まとめ

1 eMAXISシリーズと特徴

eMAXISは三菱UFJ国際投信のノーロード・インデックスファンドの総称です。ノーロードとは購入時の手数料が無料の投資信託ということです。信託報酬などの手数料は無料ではありません。

eMAXISシリーズには、eMAXIS、eMAXISプラス(コモディティ)、eMAXIS Slim、eMAXIS Neoの4シリーズが用意されています。

eMAXISシリーズは、2009年10月末に日経225インデックスファンドとTOPIXインデックスファンドの販売が開始されました。それ以降、市場の需要に合わせて、シリーズが追加されています。最近では、2021年5月にMAXIS Neoシリーズのクリーンテックと電気自動車の販売が開始されました。

1-1 eMAXIS

eMAXISシリーズの基礎となるシリーズです。国内ほか新興国を含めた海外の債券、REITなどバリュエーションが多いシリーズです。

銘柄は、国内9銘柄・海外17銘柄、バランス型9銘柄・マネジャーシリーズ3銘柄です。

1-2 eMAXISプラス

eMAXISプラスはコモディティファンド1銘柄です。コモディティとは、エネルギーや貴金属、農産物等の実物資産(商品)のことです。コモディティ価格と株価には逆相関(反対の動き)があります。コモディティ価格の上昇はインフレにつながりやすく、金利上昇を導くためです。このファンドへの投資は、インフレのヘッジになります。

1-3 eMAXIS Slim

eMAXIS Slimは信託報酬が割安に設定されているファンドです。品揃えは、国内4銘柄・海外8銘柄、バランス型1銘柄です。

1-4 eMAXIS Neo

eMAXIS Neoは宇宙開発やロボット、遺伝子工学などテーマ型のファンドで、11銘柄あります。信託報酬は、他のシリーズと比較して高めの0.72%に設定されていますが、運用成績の高い銘柄が目立っています。

2 eMAXISとeMAXIS Slimの信託報酬比較

eMAXISシリーズとeMAXIS Slimの銘柄は、重なる銘柄が多いものの、信託報酬はeMAXIS Slimの方が低く設定されています。ベンチマークが同じインデックスの場合、運用成績に大きな違いはありません。運用成績の差は信託報酬の差に比例します。

以下ではeMAXISシリーズの中で日経225に連動するファンド、eMAXIS日経225インデックスファンドとeMAXIS Slim国内株式(日経平均)の2銘柄についてみてみます。

信託報酬はeMAXIS日経225インデックスファンドの0.44%に対して、eMAXIS Slim国内株式(日経平均)は0.154%に設定されています。その差は0.3%弱です。運用期間が長ければ長いほど、運用成績の差は拡大します。信託報酬は運用収益に直結するため、同じベンチマークの投資信託であれば信託報酬が低い銘柄を選ぶようにしましょう。

eMAXISとeMAXIS Slimとの信託報酬比較

銘柄 ベンチマーク 信託報酬(年率%)
eMAXIS eMAXIS Slim
国内株式 日経225 0.44 0.154 0.286
国内株式 TOPIX 0.44 0.154 0.286
国内債券 野村BPI総合(債券指数) 0.44 0.132 0.308
国内リート 東証リート指数 0.44 0.187 0.253
先進国株式 MSCIコクサイ・インデックス 0.66 0.1023 0.5577
米国株式 S&P500指数 0.33 0.0968 0.2332
先進国債券 FTSE世界国債インデックス 0.66 0.154 0.506
先進国リート S&P先進国REIT指数 0.66 0.22 0.44
新興国株式 MSCIエマージング指数 0.66 0.187 0.473
全世界株式 MSCIオール・カントリー指数 0.66 0.1144 0.5456

3 他社との信託報酬比較

次に、eMAXIS Slimと他社のインデックスファンドとの信託報酬を比較してみましょう。ベンチマークがMSCIオール・カントリー、S&P500指数、日経225に連動する各社のファンドを比べた結果、eMAXIS Slimの信託報酬が低く設定されていることが分かります(表参照)。

ベンチマーク:MCSIオール・カントリー指数

ファンド名 信託報酬(年率%) トータルリターン(%) 純資産額(億円)
eMAXIS Slim 全世界株式 0.1144 47.92 370
ニッセイ外国株式インデックスファンド 0.1023 53.04 3,577

ベンチマーク:S&P500指数

ファンド名 信託報酬(年率%) トータルリターン(%) 純資産額(億円)
eMAXIS Slim 米国株式 0.0967 52.73 7,867
SBI・V・S・S&P500 0.0938 52.49 3,828
大和-iFree S&P500インデックス 0.2475 52.48 403
りそなAM Smart-i S&P500 0.242 51.66 20

ベンチマーク:日経225

ファンド名 信託報酬(年率%) トータルリターン(%) 純資産額(億円)
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) 0.154 27.49 168
ニッセイ日経225ンデックスファンド 0.275 27.39 2,005
三井住友 日経225インデックスオープン 0.407 27.07 317
One 日経225ノーロードオープン 0.88 26.26 1,909
大和-iFree日経インデックス 0.154 27.59 267
One-MHAM株式インデックスファンド 0.55 27.04 1,588

4 騰落率上位のファンド(1年間)

eMAXISシリーズで騰落率の上位3位(基準日2021年11月10日)は、eMAXIS Neoシリーズの銘柄でした。このシリーズはテーマ型のファンドで、信託報酬が他のシリーズより高く設定されています。

4-1 eMAXIS Neo バーチャルリアリティ

Neoバーチャルリアリティファンドの騰落率は143.82%です。このファンドは投資信託評価会社モーニングスターの騰落率ランキングで3位です(執筆時点)。米国市場に上場している日本を含む世界各国のバーチャルリアリティ関連企業に投資しています。2021年10月末時点では、半導体・半導体製造装置の組入比率が全体の46.9%を占めています。

4-2 eMAXIS Neo 自動運転

Neo自動運転の騰落率は84.96%です。米国市場に上場している、日本を含む世界各国の自動運転関連企業に投資しています。2021年10月末時点では28銘柄にまんべんなく投資しています。業種では、自動車・自動車部品と半導体・半導体製造装置が全体の84%を占めています。

4-3 eMAXIS Neo ナノテクノロジー

Neoナノテクノロジーの騰落率は80.17%です。米国市場に上場している、日本を含む世界のナノテクノロジー企業に投資しています。2021年10月末時点で組入比率が高い業種は、医薬品・バイオ関連で全体の44.6%を占めています。

5 純資産額が多いファンド

eMAXISの銘柄で純資産が多い上位3銘柄は、信託報酬が低いeMAXIS Slimシリーズが独占しました。いずれの銘柄もつみたてNISAの対象で、信託報酬が低く設定されていることが人気の理由の一つだと考えられます。

5-1 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

純資産額が最も多い銘柄はeMAXIS Slim米国株式の7,867億円です。この銘柄はつみたてNISAの対象銘柄です。SBI証券の販売金額ランキングでは2位(2021年11月10日時点)です。1年間の騰落率は48.6%です。

5-2 eMAXIS Slim 全世界株式

2位のeMAXIS Slim全世界株式ファンドの純資産額は3,401億円です。1年間の騰落率は42.0%。このファンドもつみたてNISAの対象銘柄です。

5-3 eMAXIS Slim 先進国株式インデックス

eMAXIS Slim先進国株式インデックスの純資産額は2,785億円です。1年間の騰落率は47.34%と好成績です。このファンドもつみたてNISAの対象です。

まとめ

eMAXISシリーズには、eMAXIS Neoのようなテーマに投資するファンドと、S&P500や日経平均など王道の指数をベンチマークとしたeMAXISとeMAXIS Slim、コモディティに投資するeMAXISプラスの4シリーズが用意されています。

これらの中で、eMAXIS Slimは信託報酬が低く、主要指数をベンチマークに設定しているため、動きが分かりやすい銘柄が多いです。そのため、初心者の方にも始めやすいシリーズです。

投資信託は他にも様々な種類があるので、信託報酬や過去の成績などを見比べ、購入するファンドを決めていきましょう。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。