オミクロン株と株式市場の動向は?今後の見通し・予測も【2021年12月】

新型コロナウイルスの変異型「オミクロン株」の感染拡大が、株式市場の懸念材料になっています。この記事では、オミクロン株が株式市場に与える影響と、個人投資家は今後どのように対処していけばいいのかについて解説します。

※2021年12月19日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. オミクロン株で株価が急落
  2. オミクロン株に対するマーケットの警戒が高まる
  3. 投資家はオミクロン株にどのように対処すればいいか
  4. オミクロン株よりも米国の金融政策に注目
  5. 世界の中央銀行にとってインフレが最大の脅威に
  6. まとめ

1.オミクロン株で株価が急落

2021年11月、アフリカで新型コロナウイルスの変異型「オミクロン株」が確認されたことをきっかけに、日経平均株価は前日比740円下落して取引を終了。その日のニューヨーク株式市場にも同様の動きが広がり、NYダウは一時1,000ドルを超える今年最大の下げ幅となりました。

米モデルナのバンセル最高経営責任者(CEO)が、オミクロン株に対するワクチンの効果に否定的な見方を示したことも下落の原因となりました。バンセル氏がワクチンの効果について、デルタ株と同じような効果は期待できないとの見方を示したからです(参照:NHK「モデルナCEO 現在のワクチン“オミクロン株への効果低くなる”」

2.オミクロン株に対するマーケットの警戒が高まる

株式市場が警戒を強めているのは、オミクロン株の感染拡大により、ふたたび経済活動への影響が強まりかねないからです。欧州では、11月25日にスロバキアが2週間のロックダウンに入り、チェコも非常事態を宣言していました。

これから消費が盛り上がる年末年始なので、景気への打撃も大きくなります。国土交通省は日本に到着する国際線の新規予約を12月末まで止めるように航空会社に要請しました。日本国内でも経済への制約が強まり始めているのです。

3.投資家はオミクロン株にどのように対処すればいいか

オミクロン株は新型コロナウイルスの変異型の一種です。2020年には新型コロナウイルスがまだ未知のウイルスで、パンデミックを起こしていた時とは状況が異なります。そして一部のメディアでは、デルタ株よりも感染力は強いものの、重症化のリスクは低いと報じられています。

例えば、ブルームバーグでは香港大学の研究結果として、新型コロナウイルスのオミクロン株は、変異前ウイルスやデルタ株に比べておよそ70倍のスピードで他人に感染する一方、症状はそれらに比べてずっと軽い可能性が高いと報道しています。

また、製薬各社もこれまでのワクチンの有効性の確認を急いでおり、もし既存のワクチンに有効性の問題があれば、修正されたワクチンを出荷できるとしています。

もちろん油断は禁物ですが、治療薬やワクチンの開発がまったく不可能ではないので、投資という観点でいえば冷静に判断すべきだといえます。

4.オミクロン株よりも米国の金融政策に注目

株式市場では、オミクロン株よりも米国の金融政策の方に関心が集まっています。12月15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、1カ月前に始めたばかりのテーパリング(量的緩和縮小)を加速する政策修正に踏み切りました。

具体的には、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)の購入月額の削減ペースを、2022年1月から2倍にすると決定。テーパリングの終了時期は2022年3月になりました。そして、パウエルFRB議長は、テーパリング終了後に利上げを行う姿勢を示しています。

FOMCの参加者は、2022年に3回、2023年に3回、2024年に2回の計8回の利上げを想定しています。ただ、引き締めを急ぎ過ぎれば、米国経済だけでなく世界経済が失速する可能性があります。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン株」の流行も今後どうなるかわからず、FOMCによる政策ミスのリスクは残っているので、今後も注意が必要です。

5.世界の中央銀行にとってインフレが最大の脅威に

金融政策の転換をおこなったのは、米国のFRBだけではありません。欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(英中央銀行)も、政策の運営姿勢を転換しました。12月16日にはイングランド銀行が、新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、G7(主要7カ国)の中で初の利上げに踏み切りました。そして、ECBもパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を来年3月に終了させることを決定しています

新型コロナウイルスの感染拡大初期には、感染拡大を抑制するため都市封鎖(ロックダウン)が景気を減速させるとして、金融緩和を行うことで需要を喚起しました。しかし今では、物資の供給や輸送の制約となる行動制限が物価を上昇(インフレ)させることを懸念し、金融引き締めの方向に転換しているのです。

オミクロン株の感染が拡大しても、各国の中央銀行が金融引き締めを手控える理由にならない可能性が高くなっています。オミクロン株の感染拡大よりも、インフレがどの程度進むかに市場関係者の関心は集まると考えられています。

まとめ

オミクロン株の感染拡大は、株式市場にとってマイナスの要因になります。ただ、デルタ株などよりも症状が軽いといわれているので、冷静な判断が必要です。

そして、現在の市場では、オミクロン株よりもインフレがどの程度進むかに感心が集まっています。各国の中央銀行の政策に大きな影響を与えるからです。今後は、金利やインフレの動向に注意が必要です。

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山下耕太郎

山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011