不動産投資型と貸付型クラウドファンディングの特徴を比較

平成29年の法改正により、不動産投資型クラウドファンディングの勢いが増しています。一方、不動産投資型クラウドファンディングとよく似た貸付型クラウドファンディングという仕組みも存在し、違いがよく分からないという方もいます。

そこで、この記事では、不動産投資型クラウドファンディングと貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)との比較をご紹介したいと思います。

この記事を通じて、不動産投資型と貸付型の違いを確認できます。また、それぞれのメリットやデメリットを見比べて、自分に合う投資先が検討できるようになります。

目次

  1. 不動産投資型クラウドファンディングとは
    1-1.不動産特定共同事業法の改正
  2. 貸付型クラウドファンディングとは
  3. 不動産投資型と貸付型クラウドファンディングの違い
    3-1.途中解約の可否
    3-2.利回り
    3-3.法律上の扱い
    3-4.投資先の透明性
  4. 不動産投資型クラウドファンディングのおすすめ事業者
    4-1.CREAL(クリアル)
  5. 貸付型クラウドファンディングのおすすめ事業者
    5-2.Funds(ファンズ)
    5-1.オーナーズブック(Owners Book)
    5-3.クラウドクレジット
  6. まとめ

不動産投資型クラウドファンディングとは

不動産投資型クラウドファンディングとは、個人がインターネット上で、不動産運用を行う企業に事業資金を投資できるサービスです。

投資先の企業は、集めたお金を元に不動産を購入します。そして、不動産の転売や賃貸経営などにより利益を発生させます。その利益の一部が分配されることで、投資家はリターンを得ることができます。

不動産特定共同事業法の改正で活発化

平成29年に『不動産特定共同事業法』が改正および施行されました。その法改正では、

  • 契約締結前の交付書面
  • 契約締結時の交付書面
  • 財産管理状況の報告書

などの書面交付が、オンライン上でも手続きできるようになりました。その結果、事業者にかかる手間が、以前より少なくなったのです。

また、

  • 投資家1人あたりの出資金が100万円以内
  • 投資家に募る資金総額が1億円以内

であれば、その企業は『小規模不動産特定共同事業者』として扱われます。その場合、不動産投資型クラウドファンディングへの参入ハードルが低くなります。

したがって、今後は今以上に、業界へ新規参入する事業者が増えることでしょう 。

貸付型クラウドファンディングとは

一方、貸付型クラウドファンディングとは、運営会社(事業者)が、事業資金を集めたい企業(個人)と資産運用を行いたい投資家をインターネット上で仲介するサービスです。

具体的には、クラウドファンディングサイト上にて、資金を必要とする企業がファンド形式で融資を募ります。投資家一人に全額を負担してもらうのではなく、多くの投資家から少額ずつを集めるという小口出資のイメージです。

投資家はサイト上でファンドの詳細情報が確認でき、条件にマッチする案件を探して投資を行うことができます。

投資後は、投資先企業から返済される元本に加え、金利からクラウドファンディング事業者の運営手数料を引いた金額を配当として得ることができます。

ちなみに、貸付型クラウドファンディングは「ソーシャルレンディング」、「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれます。

「ソーシャルレンディング」という言葉が出た際は、この貸付型クラウドファンディングをイメージすれば問題ありません。そして、少し枠組みが広い「クラウドファンディング」の視点から語られる場合は、「貸付型(融資型)クラウドファンディング」と呼ばれるケースが多いため、知っておくと理解しやすくなるでしょう。

不動産投資型と貸付型クラウドファンディングの違い

それでは、不動産投資型と貸付型の特徴を比較していきたいと思います。具体的には、

  • 途中解約の可否
  • 利回り
  • 法律上の扱い
  • 投資先の透明性

の点から、それぞれの違いをご説明します。

途中解約の可否

まず見ていきたいのは、投資した案件を運用中でも途中解約できるかどうか、ということです。

不動産投資型の場合

過去には、TATERU Fundingなど途中解約ができる会社もありましたが、現在は資産運用中の解約は基本的にできない会社が多くなっています。一度投資をすると、資金を引き出すことはできませんので、分散投資を行うことと余裕資金で運用することを心がけましょう。

貸付型の場合

貸付型の場合も資産運用中の解約はできません。事業者と資金の融資先の間であらかじめ融資期間が決まっているからです。

また、投資家もファンドの詳細ページで融資期間を確認したうえで、ファンド情報に問題がなければ投資を行うという流れでクラウドファンディングを利用します。

したがって、融資の実行中に不安になったとしても、投資家の都合で資金の返済を求めることはできません。

ただ、融資先の企業が「予定より早く事業が完了した」などの理由で、資金を早期返済する場合があります。そのときは、予定より前倒しで償還を受けることが可能です。

利回り

次は、不動産投資型と貸付型で、利回りの違いを見ていきましょう。

不動産投資型の場合

2019年1月現在、不動産投資型ファンドの利回りは4%~8%ほどです。

この数字は、一般的な不動産投資の収益率と比べても決して低くはありません。実際、東京23区内で新築区分マンションへの投資をした場合、3%後半~4%台が相場で利回りは5%あれば高い方と言われています。中古でも8%の利回りが期待できる物件はそう多くはないでしょう。

よって不動産投資型は、運用の手間が必要ない上に、現物への投資と比べても収益性は悪くありません。ただ、不動産の売却が想定どおりにいかない場合は、利回りが下回るケースがあります。そのリスクは頭に入れておきましょう。

貸付型の場合

貸付型の場合、投資先が行う事業は不動産運用に留まりません。

貸付型の場合、たとえば、自然エネルギーの開発、アミューズメント施設の設備投資、海外での個人融資など、さまざまな事業の支援が選べます。

そして、利回りはファンドによって大きく差が出ます。海外の中小ベンチャーへの投資案件など高い場合は10%を超えることも珍しくありません。それは、期待収益やリスクがファンドによって異なるからです。

したがって、効率よく資産運用を行いたい場合は、高利回りのファンドを狙う選択肢もありでしょう。利回りに関しては不動産投資型よりバリエーションの期待が持てます。

法律上の扱い

不動産投資型と貸付型の間で、法律上の扱いが少し異なる部分があります。クラウドファンディング事業者や案件の選定の際に知っておいて損はありませんので、詳しく見ていきましょう。

不動産投資型の場合

企業が不動産投資型クラウドファンディングの事業をはじめる際は、『不動産特定共同事業法(不特法)』にのっとった運用が求められます。

2017年の不特法改正によって、不動産投資型クラウドファンディングへの参入ハードルは下がりました。その結果、新たにクラウドファンディングを採用する企業が増えています。不動産投資型は今後もさらに盛り上がっていくことでしょう 。

貸付型の場合

貸付型クラウドファンディングの事業をはじめる際は、クラウドファンディング事業者に「第一種(第二種)金融商品取引業者」と「貸金業者」の許可が求められます。

貸付型の場合、事業者が投資家から資金を集めるにあたり金融商品取引業者の許可が必要です。そして、事業者がファンドを組成する企業へ融資を行う際には、貸金業者の許可も必要となります。

貸付型クラウドファンディングの営業には高いハードルをクリアする必要があるため、新規参入する事業者は不動産投資型に比べ増えにくい一方、実績のある企業が事業者として選定されていると言うこともできます。

投資先の透明性

最後に、不動産投資型と貸付型における、投資先の透明性に注目をしましょう。

不動産投資型の場合

不動産投資型では、投資先の物件情報がファンドの紹介ページ上で詳しく明かされています。たとえば、物件の名称・所在地・外観・内装などが記載されています。これにより投資家は「投資の価値がある物件か」どうかを探れるのです。

投資する物件の詳細情報を知ることができるのは、投資への大きな判断材料になります。たとえば、不動産投資においてエリアの選定は重要です。人気の高いエリアの不動産は流動性が高く、売却や賃貸がスムーズに決まる期待があります。

そのため、不動産投資型の高い透明性は正確な投資判断に役立ちます。

貸付型の場合

貸付型では、融資を受ける企業は基本的に匿名となっています。投資先企業の名前や住所などは明かされません。

それは、投資家に投資先を特定させないことが、貸付型クラウドファンディング利用の条件になるからです。現在の法律では、投資家が融資先を知ることができると貸金業に該当してしまうため、投資家がそれぞれ貸金業の許可を取得することが必要となってしまうのです。

ただ 、最近は貸付型の場合でも匿名性を下げるような動きが出ています。よって、貸付型でも投資先の詳細がすべて公開される日が来るかもしれません。

不動産投資型クラウドファンディングのおすすめ事業者

ここまで、不動産投資型と貸付型クラウドファンディングの特徴を比較してきました。ある程度理解が進んだところで、それぞれのおすすめ事業者をご紹介しましょう。

不動産投資型の場合は、CREAL(クリアル)というサービスがおすすめです。以下では、その理由を詳しく説明したいと思います。

CREAL(クリアル)

CREAL
CREAL』は、株式会社ブリッジ・シー・キャピタルが運営する、不動産投資型クラウドファンディングサービスです。2018年12月にサービスが開始したばかりですが、第1号案件で8.8億円という大きな額で募集を行い、無事に調達を完了したことが、投資家の間で大きな話題を呼びました。

「今後はさまざまな種類の物件を紹介予定」とアナウンスしており、複数の案件に分散して投資ができるサービスとしても期待がもてる事業者です。

また、CREALでは『優先出資/劣後出資』の方式を採用しています。よって、運用期間中に不動産の価値が下がった場合などでも、投資家が優先的に返済を受けられます。

他にも、案件によって投資額に応じた特典がもらえるのもCREALの大きな特徴です。実際に、第1号案件では、投資先(ホテル)の宿泊割引優待券が配布されました。「案件の運用期間中(24ヶ月)は使い放題」というお得な特典です。

貸付型クラウドファンディングのおすすめ事業者

次は、貸付型のオススメ事業者のご紹介です。

  • Funds(ファンズ)
  • オーナーズブック(Owners Book)
  • クラウドクレジット

の2つを見ていきましょう。

Funds(ファンズ)

Funds
Funds』は、ソーシャルレンディングの横断比較サイトを運営する株式会社クラウドポートによって2019年1月にオープンされた、国内初のマーケットプレイス型貸付クラウドファンディングサービスです。

Fundsの仕組みは、クラウドポートが投資家から集めた資金を、同社が定める選定基準をクリアした上場企業などが組成した貸付ファンドを通して投資し、生じた利益から投資家が分配金を得ることができるというものです。

1月23日の受付開始時点では、アイフル株式会社、株式会社デュアルタップ、FinTech企業のLENDY株式会社の案件が掲載される予定で、今後も上場企業や、監査法人と契約している企業、ベンチャーキャピタルからの出資を受けた企業などのうち、クラウドポートの選定をクリアした企業の貸付ファンド案件が登場する見込みです。

利回りは1.5%~6%の「ミドルリスク・ミドルリターン」なものが中心で、投資期間は4ヶ月~1年程度となることが予定されています。また最低投資額は1円からとハードルが低く、少額・短期で投資を始めてみたい初心者や、1円単位で分配金を効率よく再投資したいといったニーズに応えてくれるサービスです。

オーナーズブック(Owners Book)

OwnersBook
オーナーズブック』は、不動産案件に特化したサービスです。運営会社のロードスターキャピタルによって、2014年9月にサービスが開始されました。

ロードスターキャピタルは、2012年の創設から5年ほどで東証マザーズ市場への上場を果たしています。オーナーズブック上で投資家へ提供される案件のすべては、不動産のプロフェッショナルによる選りすぐりとなっています。

全体的な利回りは4%~6%と他の事業者と比べて高くありませんが、全ての案件に不動産担保が付いており、貸し倒れリスクの軽減が図られています。。なお、担保とは、融資先の企業が資金を返済できなかった際に、物件が強制的に売却され弁済に充てられる制度のことです。

オーナーズブックでは、資金の融資割合が担保総額の80%ほどに抑えられています。これは、担保物件の評価額が下がったときに効果を発揮します。つまり、評価額が当初の80%を下回らない限り、投資家への資金が全額戻る可能性が高くなるのです。

クラウドクレジット


クラウドクレジット』は、東欧や南米など、海外向けの案件に特化した事業者です。基本的には、事業者ローンや個人向けの消費者ローンを支援しています。

サービス開始(2014年)の翌年に、大手総合商社『伊藤忠商事』との資本業務提携がありました。また、伊藤忠商事は、2015年3月にクラウドクレジットの株式を18%も取得しています。このように、日本有数の企業もクラウドクレジットに期待していることがわかります。

投資先が海外の事業のため、為替変動や政治情勢など国内案件よりもリスクが高いぶん、利回りは全体的に高い傾向です。利回りが10%を超える案件も珍しくありません。

まとめ

以上、不動産投資型と貸付型クラウドファンディングの比較をご紹介しました。

両者の特徴の違いを以下のとおり表にまとめました。

項目/種類 不動産投資型 貸付型(ソーシャルレンディング)
仕組み 不動産収益の分配 回収貸付金の分配
途中解約の可否 可能な事業者あり 途中解約は不可
目安利回り 4%~8%程度 4%~12%程度
法律上の扱い 事業者が新規参入しやすい 事業者の参入障壁が高い
投資先の透明性 高い 低い
オススメの事業者 CREAL Funds
オーナーズブック
クラウドクレジット

この記事の内容を参考に、不動産投資型と貸付型のメリットやデメリットを見比べて、自分にマッチする投資先をぜひ検討してみてください。

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石村淳

石村淳

ローリスクでの資産運用を目指すフリーライター。ソーシャルレンディングや仮想通貨などで、少しずつ資産を増やしています。HEDGE GUIDEではソーシャルレンディング記事が担当です。読者の方の疑問が残らないように、わかりやすく読みやすい文章を心がけています。