「中央銀行は仮想通貨を保有するようになる」、スマートコントラクトの提唱者が語る仮想通貨の未来

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仮想通貨コミュニティでスマートコントラクトの提唱者として知られるニック・サボ氏は1月8日、イスラエルのテルアビブ大学で開催されたイスラエルで初となるBitcoin Summitの講演で、「中央銀行はいずれ準備金を裏付けするために仮想通貨を使うようになるだろう」と発言した。コインテレグラフジャパンをはじめ、各メディアが同氏の講演について報じている。

サボ氏はスマートコントラクトの提唱者として知られる他、ビットコインが誕生する以前の1998年に「bitgold(ビットゴールド)」と呼ばれるデジタル通貨を設計した人物だ。

同氏は講演後、質疑応答で「仮想通貨は既存の中央銀行の準備金に対する健全な代替手段としてみられるようになる。この流れは2019年にも始まるだろう」とし、「仮想通貨は、紛争の影響を受ける地域やインフレなどの要因で法定通貨が機能を果たしていない国々において成長が見込める。今後、世界のあらゆる国で仮想通貨が利用されていくだろう」と発言した。

こうした発言の一方、同氏はビットコインの技術は本質的に非効率だと指摘している。「この技術を世界規模で使用すると、実際には何兆円ものエネルギーが無駄になる」と話しているが、サボ氏自信は仮想通貨の技術を信頼しており、デジタル革命において多くの利点があるとしている。サボ氏は、ナチス政権の際に中央銀行の金が狙われた歴史的な背景を理由に、最終的には中央銀行でさえもビットコインを多く保有する可能性があると主張をしている。

同氏は、「中央銀行が今後、海外の銀行や政府発行の債権などが信用できない状況に直面した場合、スイス政府に担保してもらう選択肢も考案されるだろう。しかし、それはスイス政府にとって政治的なプレッシャーとなるため、信用が最小化された解決策ではない。その際の解決策として仮想通貨が考えられる」と予測した。仮想通貨であれば、経済政策が失策に終わって法定通貨の価値が著しく下がったとしても、代替となる価値交換手段となることも可能なのだ。

2018年10月、日本の中央銀行の雨宮正佳副総裁が日本金融学会の秋季大会の講演で、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)に関する言及を行っている。雨宮氏は、仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンや分散型技術は有望とした上で、日銀も欧州中央銀行と分散型台帳技術を共同調査していると述べてはいるものの、現段階で中央銀行がCBDCを発行する計画はないと強調した。

中央銀行によるCBDCが模索を続ける中、金融セクターではりそな銀行やゆうちょ銀行など日本の大手銀行含めた60行以上が、リップルの技術を活用した「内外為替一元化コンソーシアム」に加盟するなど、仮想通貨の基盤技術を応用した試みが進んでいる。

ブロックチェーンの実証実験が金融機関をはじめとするさまざまな領域で進む今、サボ氏の主張は荒唐無稽なものではない。今後、仮想通貨が社会に浸透していく可能性は十分に考えられるだろう。

【参照記事】「中銀は準備金に仮想通貨を使うようになる」ニック・サボ氏|金の”狙われやすさ”も指摘
【参照記事】Gold Reserves to Bitcoin Reserves: Nick Szabo on Crypto in 2019
【参照記事】Nick Szabo: Central Banks May Turn to Cryptocurrency Reserves Over Gold

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