中国株に投資できる人気の投資信託10本は?購入時のポイントも【2022年6月】

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近年成長著しい中国。世の中の多くの工業製品が中国国内で製造される時代となりました。テクノロジーの最先端も徐々に中国のシェアが拡大しつつあります。

中国株式をテーマとした投資信託が気になる人の中には、中国の取引市場の実態がいまいちわからない、中国株式は他の国の株式に比べてどう違うのか、などと疑問を持つ人もいるでしょう。当記事では、中国株式をテーマとした投資信託や、中国株式の取引市場など、くわしい概要を紹介しています。中国株を扱う投資信託に興味がある人はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 中国株を投資対象とした人気の投資信託10本
  2. ファンドごとの概要
    2-1.明治安田-中国A株再生可能エネルギー関連プレミアムα
    2-2.SBI-SBI・中国A株インデックス・ファンド (愛称:雪だるま(中国A株))
    2-3.SBI-SBI中国テクノロジー株ファンド
    2-4.One-新成長中国株式ファンド
  3. 中国の株式市場とは?市場や株式の種類を紹介
    3-1.中国の株式市場一覧
    3-2.香港取引所の主な特徴
    3-3.上海、深セン取引所の主な特徴
  4. 中国株投資のメリット
    4-1.成長著しい企業への投資
    4-2.配当金の高さ
  5. 購入時に抑えておきたいポイント
    5-1.国策の影響が出やすい
    5-2.値動きの大きさ
    5-3.為替リスクの確認
  6. まとめ

1.中国株を投資対象とした人気の投資信託10本

SBI証券が扱うファンドのうち「国際株式」「中国」で検索し、販売金額が高い順にピックアップしました。

ファンド名 基準価額 純資産(百万円) トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ/1年 信託報酬
1.明治安田-中国A株再生可能エネルギー関連プレミアムα 12,003円 64 0.953%
程度
2.SBI-SBI・中国A株インデックス・ファンド (愛称:雪だるま(中国A株)) 10,815円 474 0.4138%
程度
3.UBS-UBS中国新時代株式ファンド(年1回決算型) 12,748円 25,357 -25.30% 3.79% -1.62 2.083%
程度
4.SBI-SBI中国テクノロジー株ファンド 10,891円 582 -20.47% 3.79% -0.94 1.265%
5.One-新成長中国株式ファンド (愛称:シャングリラ) 14,002円 3,007 -23.51% 9.91% -1.66 1.76%
6.HSBC-HSBC 中国株式ファンド(3ヶ月決算型) 10,242円 4,680 -23.75% 6.15% -1.5 1.9579%
程度
7.HSBC-HSBC 中国クオリティ株式オープン 17,817円 824 -20.83% 4.33% -1.48 1.958%
8.HSBC-HSBC 中国クオリティ株式ファンド(3ヶ月決算型) 13,882円 658 -20.79% 4.27% -1.48 1.958%
9.One-DIAM中国関連株オープン (愛称:チャイニーズ・エンジェル) 24,815円 2,755 -30.06% 4.34% -1.54 1.76%
10 .SOMPO-損保ジャパン拡大中国株投信 14,902円 1,524 -10.94% 7.36% -0.83 1.705%

※2022年6月10日時点

直近1年では、中国のゼロコロナ政策によるロックダウンの影響を受け、トータルリターンがマイナス20%から30%程度マイナスになっています。現時点で中国株を扱うファンドの注目度は低い状況ですが、経済が好転すると状況が大きく変わる可能性があります。

2.ファンドごとの概要

ピックアップした10本のファンドの中から、テーマが異なる4つのファンドの概要を紹介します。

2-1.明治安田-中国A株再生可能エネルギー関連プレミアムα

中国A株再生可能エネルギー関連プレミアムαは、担保付きスワップ取引を通じて再生可能エネルギー関連中国A株戦略のパフォーマンスに概ね連動する運用成績を目指します。

2022年4月から運用をスタートした新しいファンドです。環境問題への取り組みをスタートした中国の、再生可能エネルギー関連市場への投資を目的とします。他には、成長著しい深センの中小企業も投資対象です。

2022年6月14日時点の記事執筆段階では、月次レポートは更新されておらず目論見書からの情報となります。通常の運用の他に、オプション取引のプレミアム料を取得する複線の収益確保を目指すファンドです。運用スタイルが複雑なので、買付の際は目論見書をしっかりと確認しましょう。

2-2.SBI-SBI・中国A株インデックス・ファンド (愛称:雪だるま(中国A株))

SBI・中国A株インデックス・ファンド は、FTSE 中国A50インデックスに連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。

2022年4月28日発行の月次レポートによると、主な組入上位業種は生活必需品30.66%、金融27.55%、資本財・サービス10.88%となっています。組入上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄 業種 比率
1.貴州茅台酒 生活必需品 14.52%
2.寧徳時代新能源科技 資本財・サービス 5.69%
3.招商銀行 金融 5.15%
4.ギヒンゴリョウエキ 生活必需品 4.06%
5.中国長江電力 公益事業 3.30%

組入上位銘柄には、ひと目見ただけでは何を生業にしているのかわかりにくい企業名が見受けられます。組入比率が多い貴州茅台酒は酒造メーカー、寧徳時代新能源科技は電気自動車のリチウムイオン電池を作る会社、ギヒンゴリョウエキは五糧液という白酒を製造する酒造メーカーです。

深センの先進テクノロジーのイメージが強い中国株ですが、A株では生活必需品が目立ちます。月次レポートには運用報告は掲載されておらず、投資判断が難しくなっています。

2-3.SBI-SBI中国テクノロジー株ファンド

SBI中国テクノロジー株ファンドは、上海、深セン、新興市場に上場されている株式を投資対象とします。具体的にはフィンテック、AI、ブロックチェーン、ロボティクスなどの他、ヘルスケア、インフラ、食品・農業などの分野で革新的なテクノロジーを提供する会社です。

2022年4月28日発行の月次レポートによると、主な業種別構成比率は、ソフトウェア・サービスが30.3%、テクノロジー・ハードウェア21.1%、資本財18.1%。市場別構成比率は、深セン市場が69.5%、上海市場が30.5%です。全30銘柄中、組入上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄 業種 比率
1.ナリ・テクノロジー 資本財 7.30%
2.ロンジー・グリーン・エネルギー・テクノロジー 半導体関連 7.07%
3.イースト・マニー・インフォメーション 各種金融 6.41%
4.コンテンポラリー・アンペレックス・テクノロジー 資本財 6.25%
5.ハンヂョウ・ハイクビジョン・デジタル・テクノロジー テクノロジー・ハードウェア 5.45%

組入上位には、各種ソフトウェアやハードウェアの開発を手掛ける企業が多く見られます。

月次レポートの報告によると、上海のロックダウン、北京の一部ロックダウンの影響によって中国市場は大幅下落。内外金利差も相まって対ドル為替は人民元安となりました。ゼロコロナ達成後は、中国政府による金融緩和や、景気刺激策が期待による株価の下支えが想定されますが、ゼロコロナ達成までは、景気鈍化の懸念は残り続けるとされています。

2-4.One-新成長中国株式ファンド

新成長中国株式ファンドは、中国本土や香港、台湾の企業へ投資するファンドです。投資のテーマは「都市部と農村部の格差解消」「産業構造の転換」「近隣諸国との交易・交流の拡大」の恩恵を中長期にわたって受けつつ、成長が期待される企業への投資です。

2022年5月31日発行の月次レポートによると、主な市場別構成比率は、香港H株11.4%、深センA株19.5%、香港その他株27.8%、上海A株32%。組入業種比率は、資本財8.7%、食品・飲料・タバコ8.5%、小売8.4%です。組入上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄 業種 比率
1.テンセント・ホールディングス メディア・娯楽 4.20%
2.AIAグループ 保険 3.40%
3.アリババグループ・ホールディングス 小売 3.00%
4.貴州茅台酒 食品・飲料・タバコ 2.90%
5.美団 小売 2.20%

組入上位銘柄には、IT関連から生活嗜好品、金融など生活に根ざした運営を行う企業が多く見られます。

月次レポートに記載された運用報告によると、ゼロコロナ政策達成後の回復トレンドに期待は持てるものの、各種産業への政府介入や、米中関係による地政学リスクなどが市場のリスクとして内在しているとしています。

3.中国の株式市場とは?市場や株式の種類を紹介

中国には、3つの株式取引所があり、それぞれ異なる特徴をもっています。株式取引所について以下に詳細を紹介します。

3-1.中国の株式市場一覧

取引所 四条の種類 株式の種類
香港 メインボード
GEM
H株
レッドチップ
香港株
上海 メインボード
科創板
A株
B株
深セン メインボード
中小板
創業板

市場の種類

  • メインボード 大型株中心の市場
  • GEM 新興企業が多い
  • 科創板 科学技術を扱う企業の市場
  • 中小版 中小企業の市場
  • 創業板 ベンチャー企業向け市場

中国の取引所は、香港、上海、深センの3つで構成されています。中国本土の取引所は、上海と深センです。取扱い銘柄はそれぞれの取引所で異なりますが、重複して上場している企業もあります。

3-2.香港取引所の主な特徴

香港取引所では、メインボードとGEMの2つの市場が用意されています。各市場の株式の種類には、H株、レッドチップ、いずれにも属さないもの、の3種類が存在します。

H株

企業の登記場所が中国本土となっている企業が、香港で発行する株式をH株といいます。中国の企業が対外向けに香港で上場する形をとっています。H株のHはHong Kongのイニシャルをとったものです。

道路、電力、鉄鋼などインフラに関する企業が多く、香港市場を通じて海外の資金を調達する狙いがあります。中国本土の法律が適用されます。

レッドチップ

中国政府資本が30%以上で、香港やバミューダ、ケイマン諸島などタックスヘイブンで登記されている銘柄です。実際の企業運営は中国本土でおこないつつ、登記は税金が安い海外で登記している企業のうち、香港市場に上場している銘柄を指してレッドチップと呼びます。

レッドチップという呼称は、優良株のブルーチップを、中国共産党のカラーである赤からもじって呼ばれたことに起因します。通信やIT、テクノロジー関連企業が多い点が特徴的です。

H株やレッドチップに属さないもの

香港市場に上場している銘柄の中には、H株やレッドチップ株のいずれにも属さない銘柄が多数存在します。これらの銘柄は、香港の地場企業や海外の香港上場企業です。

3-3.上海、深セン取引所の主な特徴

上海市場と深セン市場には、それぞれA株、B株市場があります。現状、海外投資家が買付できるのは上海、深センのB株市場に上場している銘柄です。

A株市場は、上海と深センともに一部の銘柄のみ買付可能です。B株市場は、対外的に人民元を自由化したくないものの外貨は獲得したい、という中国政府の目論見によって創設されました。もともとは海外の個人、機関投資家向けとしていましたが、2001年には中国国内の投資家にも開放されました。

4.中国株投資のメリット

中国株へ投資するメリット、特徴などを紹介します。

4-1.成長著しい企業への投資

近年のテクノロジー分野での中国の躍進はめざましく、アリババやテンセントなど、世界規模の事業規模が大きな企業が存在。ユニコーンと呼ばれる、設立10年以内で企業評価額が10億ドル以上の未上場ベンチャー企業の発展も目覚ましく、今後の成長に期待できます。

中国の経済成長率を考えると、今後の企業の成長には期待が高まります。

4-2.配当金の高さ

中国株は配当金を高めに設定している企業が多く見られます。中でも銀行株は配当利回りが高い傾向にあり、インカムゲイン目的の投資が有効です。

配当利回りが高い銘柄を3つピックアップしました。数値は2022年本決算後の情報です。

  • バンクオブチャイナ 3.03%(2022年本決算発表後)
  • 中国農業銀行 8.586%
  • 中国工商銀行 7.8%

5.購入時に押さえておきたいポイント

今後の成長が期待される中国株ですが、ファンド購入に先立って気をつけるポイントを紹介します。

5-1.国策の影響が出やすい

政治体制の性質上、中国政府が民間企業の運営に介入することがあります。具体例は、情報統制のための制約として、アプリのリリースを停止、特定の情報発信の制限などです。

米国の証券取引委員会では、米国市場でIPOを計画する中国企業に対して、経営に中国政府が介入するリスクを明示するよう義務付けられています。不確定要素の高さは、中国株のデメリットです。

5-2.値動きの大きさ

不確定要素の高さと相まって、中国市場は日本や米国の先進国市場と比較して、ボラティリティが高い傾向です。中国株への投資は他の新興国と同様に、市場の動きを正確に見極める必要があります。

アクティブファンドでは、ファンドマネージャーで対応してくれることもありますが、インデックスファンドでは、ベンチマークに連動しますので、自力で見切りを判断しなければいけません。

5-3.為替リスクの確認

中国株の投資信託では、為替ヘッジを行わないファンドもあります。ファンドを購入する時は、組入通貨比率をよく確認しておきましょう。

為替ヘッジなしの場合、人民元や香港ドルの為替変動の影響を受けます。人民元は政府による管理相場となっており、基本的に固定されていて、状況に応じて切り上げ、切り下げがおこなわれます。香港ドルは、経済特区である香港で流通する通貨です。

まとめ

多くの労働人口を擁する中国は、基本的に高い国力を持っています。IMFによるGDPランキングでは、アメリカに次ぐ世界第2位です(2021年統計、名目GDP)。先進テクノロジーへの重点的な投資がおこなわれ、深センでは次代を担う成長企業が誕生しています。

一方で、中国には政治体制によるカントリーリスクも介在しており、産業への政府介入のリスクが懸念されます。直近では、上海における強力なロックダウンによる影響などがあり、投資リスクはやや高めです。中国株ファンドへの投資は、世情の背景などをよく考慮の上、慎重な姿勢が必要です。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。