運用管理費が安い投資信託は?信託報酬の比較ランキング【2020年3月】

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投資のプロに運用を任せることができる投資信託は、初心者でも取り組みやすい投資の一つで、中長期の資産運用を考えている方に向いています。しかし、投資信託を保有している間は「信託報酬」という手数料が発生するので、長期運用向けの商品選びでは信託報酬の安いものを検討することが重要なポイントの一つになります。

そこでこの記事では、信託報酬の安い投資信託を調査し、それぞれの商品の特徴についても詳しく解説します。手数料の安い投資信託を探している方や、商品選びで悩んでいる方は、ご参考ください。

目次

  1. 投資信託に発生する信託報酬とは
    1-1.信託報酬の相場
    1-2.投資信託における信託報酬以外のコスト
  2. 信託報酬の安い投資信託10選
    2-1.ニッセイ外国株式インデックスファンド
    2-2.SBI・先進国株式インデックス・ファンド
    2-3.eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
    2-4.たわらノーロード 先進国株式
    2-5.SBI・全世界株式インデックス・ファンド
    2-6.eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
    2-7.eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
    2-8.たわらノーロード 全世界株式
    2-9.eMAXIS Slim 国内債券インデックス
    2-10.大和-iFree 日本債券インデックス
  3. まとめ

1 信託報酬とは

信託報酬とは、投資信託の管理・運用を委託するために発生する手数料のことです。投資の成績に関係なく発生する経費であり、支払先はファンドの運用を行う委託会社、ファンド販売や顧客管理を行う販売会社、ファンドの財産管理を行う受託会社などになります。

信託報酬は投資を行う期間中継続的に発生しますが、信託財産の中から純資産総額に対して定められた割合で毎日差し引かれるので、別途支払う必要はありません。

1-1 信託報酬の相場

投資信託の信託報酬は、商品や販売元によって異なります。投資信託の投資対象や運用方針などの違い(=商品の種類)によって変動し、一般的には年率0.50~2.00%程度になります。信託報酬額が大きくなるほど投資家にとっては実質的な利益が減るので、信託報酬の安い商品を選ぶことが大切です。

一般的には、特定の指数に連動した利益を目指して運用するインデックスファンドの信託報酬のほうが、積極的な運用で大きな利益を狙うアクティブファンドより安くなります(あくまで信託報酬のみの話なので、実際に利益としてどちらが大きくなるかはケース・バイ・ケースになります)。

信託報酬は、常に固定されている場合もあれば、ファンドの純資産額に応じて逆進的に信託報酬の比率が下がっていく場合もあります。また、国内企業に対しては信託報酬に対して消費税が発生しますが、海外企業に対しては消費税が基本的に発生しません。また、海外企業に対する信託報酬は、為替レートなどの影響によって変動する場合もあります。

こうした理由から、信託報酬額は多くの商品である程度の変動が見込まれます。購入時点では信託報酬が安かったとしても、資金の集まり具合や運用成績によって高くなることもあるので、定期的な見直しが必要です。

1-2 信託報酬以外のコスト

投資信託では、信託報酬以外のコストも発生します。例えば売買委託手数料や入出金時の手数料などのコストが発生することもあります。投資信託商品によってその他コストの設定は様々なので、事前にしっかり確認して自分の運用スタイルにあったものを選びましょう。

2 信託報酬の安い投資信託10選

信託報酬はさまざまな要因によって変動しますが、ここでは2020年3月時点のデータをもとに、信託報酬の安い投資信託商品の10選(編集部調べ)を紹介します。

信託報酬が安い順 ファンド名 信託報酬額(税込) 投資対象 純資産総額(百万円)
1 ニッセイ 0.1023% 海外株 137,812
2 SBIインデックス 0.1056% 内外株 1,606
3 eMAXIS Slim 1.0615% 海外株 73,662
4 たわらノーロード 1.0989% 海外株 42,929
5 SBIインデックス 0.1144% 内外株 4,903
6 eMAXIS Slim 0.1144% 海外株 12,860
7 eMAXIS Slim 0.1144% 内外株 16,869
8 たわらノーロード 0.1320% 内外株 199
9 eMAXIS Slim 0.1320% 国内債券 8,538
10 iFree 0.1320% 国内債券 160

2-1 ニッセイ外国株式インデックスファンド

「ニッセイ外国株式インデックスファンド」では、マザーファンドを通して日本を除く主要先進国株に投資し、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)の動きに連動した投資成果を目標に運用を行います。

【商品概要】

委託会社 ニッセイアセットマネジメント株式会社
投資対象 海外株式
分類 インデックス型
信託報酬額 1.023%(税込)

購入時や換金時の手数料が無料で、信託報酬も1.023%以内の比率になるように低く設定されているのが特徴です。監査費用として、ファンドの純資産総額に0.0011%がかかりますが、その他の費用が安く、人気の高い投資信託商品となっています。

信託期間は無期限で、ファンド資産の7割近くが米国株です。特に情報技術・金融・ヘルスケア分野を中心に投資が行われています。純資産額が順調に伸びており、米国を中心とした世界経済の成長を背景にしっかりとした運用成績となっています。

2-2 SBI・先進国株式インデックス・ファンド

「SBI・先進国株式インデックス・ファンド」は、愛称が「雪だるま(先進国株式)」となっており、だんだんと大きくなっていく様子をイメージした投資信託商品です。マザーファンドを通してETF商品に投資し、先進国の株式市場の値動きに連動した投資成果を目指します。

【商品概要】

委託会社 SBIアセットマネジメント株式会社
投資対象 国内外株式
分類 インデックス型
信託報酬額 500億円以下の部分:0.1056%
500億円以上1000億円未満:0.10252%
1000億円以上:0.09889%(いずれも税込)

金融調査で有名なモーニングスター社の助言を受けながら運用が行われるのが特徴です。信託報酬は逆進性で、ファンドの成長とともに投資家への実入りも大きく可能性があります。もともとの信託報酬額が低めに設定されているため、初心者でも始めやすい商品です。

信託期間は無期限で、米ドルで海外のETF商品に投資が行われています。主に米国とその他海外のETFの割合が55:45程度の割合になっているため、米国を中心として世界経済が成長すれば順調な推移を見込めます。

2-3 eMAXIS Slim 先進国株式インデックス

「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」では、外国株式インデックスマザーファンドへの投資を行い、実質的に日本を除いた主要先進国株に投資します。MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)と連動した投資成果を目標にする運用が行われます。

【商品概要】

委託会社 三菱UFJ国際投信株式会社
投資対象 海外株式
分類 インデックス型
信託報酬額 500億円以下の部分:0.1056%
500億円以上1000億円未満:0.10252%
1000億円以上:0.09889%(いずれも税込)

為替ヘッジを行っていないため、為替の動きに注意した運用が求められます。運用は多くが米ドルで行われます。信託報酬は逆進制になっており、ファンドの純資産額が大きくなるほど信託報酬の割合が低くなっていくため、年月を重ねる中でファンドが成長すれば実入りが大きくなる可能性もあります。

信託期間は無期限で、ファンドの資産の7割近くが米ドルで米国株に投資されています。特に情報技術・ヘルスケアといった成長が見込める分野や、金融・食品などの長期的に需要が見込める分野の企業がポートフォリオに組み込まれています。

2-4 たわらノーロード 先進国株式

「たわらノーロード 先進国株式」は、MSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジなし)に連動した投資成果を目指し、マザーファンドを通した資産運用を行います。購入時や換金時に費用が発生しないノーロード商品として人気です。

【商品概要】

委託会社 アセットマネジメントOne株式会社
投資対象 海外株式
分類 インデックス型
信託報酬額 0.10989%(税込)

ノーロード商品であることに加えて、信託財産留保額も発生しません。投資家が投資の収益をなるべくそのまま受け取れるように工夫された投資商品です。信託報酬額は0.10989%(税込)で固定されています。

信託期間は無期限で、米株が約6割、次いで英国株への投資割合が大きくなっています。主に医薬関連、金融、情報技術、エネルギー関連株への投資が行われ、中には成長を期待したオーストラリアやシンガポールなどへの投信証券も見られます。時間の経過とともにファンドの純資産額が大きくなっており、人気の高さを伺わせます。

2-5 SBI・全世界株式インデックス・ファンド

「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」は、別名「雪だるま(全世界株式)」とも呼ばれる投資信託商品です。先進国型と同様にマザーファンドを通してETF商品に投資し、世界の株式市場の値動きに連動した投資成果を目指します。

【商品概要】

委託会社 SBIアセットマネジメント株式会社
投資対象 国内外株式
分類 インデックス型
信託報酬額 0.1144%(税込)

この商品もモーニングスター社の投資助言を受けながら、世界のより広い範囲に投資を行っていきます。信託報酬は国内と海外の企業に対して支払われるため、消費税混みの実質の信託報酬額は0.1102%程度です。その他、0.022%を上限に監査費用が発生します。

先進国型の商品と比較して、米国ETFの割合は変わりませんが、エマージング(発展途上国)市場のETFも組み込まれているのが特徴で、リスクとリターンの幅をより大きく取るようにバランスが調整されています。

2-6 eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)

「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」では、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指して運用を行います。日本を除く先進国を中心とした投資を行っているのが特徴です。

【商品概要】

委託会社 三菱UFJ国際投信株式会社
投資対象 海外株式
分類 インデックス型
信託報酬額 500億円以下の部分:0.1144%
500億円以上1000億円未満:0.11385%
1000億円以上:0.1133%(いずれも税込)

為替ヘッジを行っていないため、為替の動きに注意した運用が求められる点は先進国型の商品と同じです。先進国型よりもやや信託報酬が高めで、こちらも逆進制になっています。リスクとリターンの幅が大きい運用を求める方に適した商品です。

信託期間は無期限で、ファンド資産の6割超が米ドル、1割程度がユーロで投資されています。ポートフォリオでは情報系企業や金融などの分野の株式の組み入れ比率が高く、様々な国の市場に投資が行われています。

2-7 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」では、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動した投資運用を行います。日本株も含めた投資が行われているのが特徴です。

【商品概要】

委託会社 三菱UFJ国際投信株式会社
投資対象 国内外株式
分類 インデックス型
信託報酬額 500億円以下の部分:0.1144%
500億円以上1000億円未満:0.11385%
1000億円以上:0.1133%(いずれも税込)

為替ヘッジを行っていない点は他のeMAXIS Slim商品と共通ですが、円での投資が増えるため、為替リスクの低減が図られています。信託報酬は逆進制となるので、純資産総額の成長とともに利益率が高まる可能性があります。

ファンド資産の6割弱超が米ドル、1割程度がユーロ、次いで円で投資が行われ、情報系企業や金融関連株などを中心としたポートフォリオが組成されています。

2-8 たわらノーロード 全世界株式

「たわらノーロード 全世界株式」は、MSCIオール・カントリー・インデックス(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジなし)に連動した投資成果を目指す投資信託商品です。購入時や換金時に費用が発生しないノーロード商品となっています。

【商品概要】

委託会社 アセットマネジメントOne株式会社
投資対象 国内外株式
分類 インデックス型
信託報酬額 0.1320%(税込)

信託報酬額は0.1320%(税込)で固定されており、計画的に投資を行いたい方に向いたノーロード商品です。

米国株、エマージング株、日本株のそれぞれのマザーファンドにおおよそ8:1:1の割合で投資が行われており、それぞれのマザーファンドでは情報系(日本株では機械関連)の企業株がポートフォリオに組み入れられています。

2-9 eMAXIS Slim 国内債券インデックス

「eMAXIS Slim 国内債券インデックス」では、NOMURA-BPI総合と連動した投資成果を目指して運用を行います。日本国内の国債や公社債に投資するリスクが低めの商品です。

【商品概要】

委託会社 三菱UFJ国際投信株式会社
投資対象 国内債券
分類 インデックス型
信託報酬額 500億円以下の部分:0.132%
500億円以上1000億円未満:0.1265%
1000億円以上:0.121%(いずれも税込)

債券投資であるため、基本的にリスクとリターンの幅は小さい範囲で推移します。信託報酬は逆進制になっており、資産総額が増えるにつれて信託報酬率が低下するのが特徴です。信託期間は無期限で、ファンド資産の9割近くが国債や地方債に投資されるため、堅実な運用を目指したい方に相性の良い商品です。

2-10 大和-iFree 日本債券インデックス

「大和-iFree 日本債券インデックス」では、NOMURA-BPI総合と連動した投資成果を目指して運用を行います。購入時手数料や換金時費用が不要なノーロード商品です。

【商品概要】

委託会社 大和証券投資信託委託株式会社(※2020年4月1日から大和アセットマネジメント株式会社に変更)
投資対象 国内債券
分類 インデックス型
信託報酬額 新発10年国債の利回りが1%未満の場合:0.132%
新発10年国債の利回りが1%以上の場合:0.242%

ポートフォリオとしては、国債・地方債が90%以上の比率を占め、債券の格付けでも最上級であるAAAが88%を占めます。ベンチマークと連動した値動きを期待できるのが特徴です。信託報酬は新発10年国債の利回りによって変わりますが、しばらくは国債利回りも低い水準が続くと予想されることから、信託報酬は年率0.132%の適用が見込まれます。

3 まとめ

信託報酬は投資信託の運用で成功するために欠かせない情報です。信託報酬の仕組みを理解し、できるだけ信託報酬の安い商品に投資できれば利益を期待しやすくなるでしょう(実際にはファンドのパフォーマンスによります)。なお、信託報酬比率は変動するので、ポートフォリオは定期的に確認するようにしてください。

この記事を参考に信託報酬の安い投資信託を選ぶ場合は、投資対象や運用方針を含めてご自身に合うものを検討してみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の企業・商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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