投資信託は投資の初心者から上級者まで、幅広いニーズに応えられる運用商品です。初心者の場合、投資信託を身近なメインバンクで始めようと考える人も多いでしょう。証券会社などにはない、銀行のメリットとは何でしょうか。
この記事では、銀行で投資信託を購入するメリット・デメリットや注意点を解説します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2022年6月28日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
目次
- 投資信託を買える金融機関
1-1.銀行
1-2.証券会社
1-3.郵便局など
1-4.IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー) - 銀行で投資信託を購入するメリット
2-1.なじみのあるメインバンクなら安心感がある
2-2.対面で相談できる
2-3.投資信託以外の相談も可能 - 銀行で投資信託を購入するデメリット
3-1.取り扱う投資信託の種類が少ない
3-2.購入時手数料が高め
3-3.断りにくい場合もある
3-4.担当者によって知識に差がある - 銀行で投資信託を買う場合の注意点
4-1.元本保証ではない
4-2.ペイオフの対象ではない
4-3.株式などは買えない - 銀行で投資信託を買うのに向いている人
5-1.投資経験のない初心者
5-2.対面で相談にのってほしい人
5-3.取引に時間をかけたくない人 - まとめ
1.投資信託を買える金融機関
投資信託は銀行以外にも、多くの金融機関で取り扱っています。投資信託が買える金融機関を確認しておきましょう。
1-1.銀行
銀行には一般の銀行の他に、店舗を持たないネット銀行もあります。一般の銀行では、店頭窓口やインターネットを通じて投資信託が購入できます。ネット銀行の投資信託は、インターネット販売のみです。
銀行で取り扱うリスク商品には投資信託の他に、外貨預金や個人向け国債などがあります。株式などに比べてリスクの低いラインナップです。
1-2.証券会社
証券会社にも一般の対面相談などが可能な証券会社と、ネット証券があります。証券会社が取り扱う投資信託は銀行に比べて種類が多く、リスク許容度や運用スタイルに合った商品が探せます。
一般の証券会社にもインターネットを通じて投資信託を購入できるサービスを提供している会社があります。ネット証券は、店舗を持たずにインターネットで取引が完結します。基本的にネット証券のほうが手数料が安く、初心者には使いやすいと言えます。
一般の証券会社は野村證券、ネット証券はSBI証券などが代表的な企業です。
1-3.郵便局など
投資信託は証券会社・銀行以外にも、郵便局や信用金庫などで取り扱っています。ただし、郵便局や信用金庫の投資信託の商品ラインナップはあまり多くありません。
1-4.IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
IFAとは、証券会社と契約して金融商品仲介業者の登録を受けた金融アドバイザーです。証券会社から独立した立場で、顧客利益を優先した提案が受けられます。正確にはIFAが提携している金融機関経由で投資信託を購入することになります。
例えば、IFAの「Fan」はSBI証券、楽天証券と提携しており、オンライン取引が便利なネット証券を利用しながら、Fanのアドバイザーに資産運用の相談を行うことが可能となります。
2.銀行で投資信託を購入するメリット
投資信託は多くの金融機関が取り扱っていますが、銀行で購入する場合にはどのようなメリットがあるでしょうか。
2-1.なじみのあるメインバンクなら安心感がある
資産運用の初心者にとって、証券会社のハードルは高くても、銀行は身近で安心感がある、と感じる方もいるでしょう。特に定期的に立ち寄るメインバンクであれば、リスクのある投資への不安も軽減できるかもしれません。
2-2.対面で相談できる
初心者が投資信託を買う場合に、わからないことなどを対面で相談できる点は銀行の強みです。リスクのある運用商品をすべて自分の判断で買付けるのは難しいと感じる人も多いでしょう。
その場合、インターネットのランキングなどを参考にする方法もありますが、銀行の店頭での相談も有効な手段です。
2-3.投資信託以外の相談も可能
銀行では投資信託の購入以外にも、お金のことなら幅広い相談ができます。銀行には、預貯金やローンなどさまざまな業務があるからです。つみたてNISAで教育資金の準備をして、足りない部分は教育ローンの利用もできるでしょう。老後資金準備のためにiDeCoも始められます。
また、複数のサービスを利用すると金利優遇などが受けられる可能性もあります。お金に関するさまざまな業務を取り扱うため、顧客はワンストップで用が足りるというわけです。
3.銀行で投資信託を購入するデメリット
銀行で投資信託を購入することには、銀行ならではのメリットがあります。しかし、実際に購入するにあたってはデメリットも押さえておきましょう。
3-1.取り扱う投資信託の種類が少ない
銀行で取り扱う投資信託の種類は、証券会社に比べて少なめです。投資信託の販売は銀行のメイン業務でないため、金融商品取引専門の証券会社より少なくなってしまうのです。つみたてNISAの対象銘柄もすべて取り扱うわけではなく、一部の銘柄しか買えません。
そのため、自分が買いたい商品を取引銀行が扱っていない可能性もあります。逆に商品選びに悩みたくない人には、メリットになるとも考えられます。
3-2.購入時手数料が高め
一般的に銀行で取り扱う投資信託の購入手数料は、ネット証券などに比べて高めです。投資信託の購入手数料は同じ銘柄でも金融機関ごとに異なります。「ネット証券なら購入手数料が無料なのに、銀行では有料」のようなケースもよくあることです。
投資信託の取引でかかったコストを、運用で取り戻すのは簡単ではありません。店頭で相談できる分、コストは高いことを頭に入れておきましょう。
3-3.断りにくい場合もある
銀行での対面による投資信託の購入は、安心感を覚えることもある反面、気が進まなくても断りにくいケースもあります。投資信託の販売手数料などは銀行の収益源です。担当者によっては強く勧めてくる場合もあります。そのような対応に慣れていない人にとっては、煩わしく感じられることもあるでしょう。
3-4.担当者によって知識に差がある
銀行の業務は多岐にわたり、投資信託販売がメインではないため、担当者の知識にばらつきがあります。自分の担当者が知識不足である可能性もあります。その場合、疑問に思う点について適切な回答を得られなかったり、勧められた商品に満足できなかったりする可能性があります。
4.銀行で投資信託を買う場合の注意点
投資信託の購入には証券口座の開設など、預貯金とは異なる点もあります。銀行で投資信託を買う場合の注意点を知っておきましょう。
4-1.元本保証ではない
投資信託は値動きのある金融商品であり、値下がりする場合もあります。
銀行で投資信託を買う人の中には、「銀行で買う商品だから安心」というイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、投資信託は預貯金とは違い、元本保証ではありません。運用の結果は自己責任であり、損失は自分が負うことを認識する必要があります。
4-2.ペイオフの対象ではない
投資信託はペイオフ(預金保険制度)の対象外です。銀行などの金融機関が破綻した場合、ペイオフにより元本1,000万円までとその利息が保証されます。
投資信託はペイオフの対象外ですが、金融機関が破綻したときに保護される仕組みはあります。投資信託は銀行の資産とは分別管理されており、破綻の影響は受けません。
4-3.株式などは買えない
銀行は証券会社のように金融取引が専門でないため、株式やREITは買えません。銀行で投資信託を買って株取引もしたい人は、別途証券会社に口座開設をする必要があります。その場合、口座の管理が別々になります。
また、複数口座間で損益通算をする場合などは、源泉徴収ありの特定口座でも確定申告をしなければなりません。
5.銀行で投資信託を買うのに向いている人
投資信託を購入できるのは銀行だけではありません。他の選択肢もある中で、あえて銀行で投資信託を購入するのに適しているのはどのような人でしょうか。
5-1.投資経験のない初心者
投資経験のない初心者が投資信託を始めようとする場合、銀行に相談することは有力な選択肢です。銀行の店舗に出向くと対面で相談できるので、納得するまでわからないことを質問できます。手続きも不備なく進められます。また、銀行の投資信託は種類が少なく、初心者でも比較的選びやすいといえます。
ただし、上述のように手数料が割高などのデメリットもあるため、担当者の勧めに乗ってすぐに購入するのではなく、一度相談内容を持ち帰り、商品や金融機関を比較検討すると良いでしょう。
5-2.対面で相談にのってほしい人
インターネットで金融商品を取引するより対面で相談しながら運用したい人は、銀行で投資信託を買うのもよいでしょう。
ネット証券は取引コストが安く、商品ラインナップも豊富です。しかし、その商品を買っていいかわからずに、何もできないという人もいるでしょう。そのような人は実店舗での取引のほうが、スムーズに始められるかもしれません。
5-3.取引に時間をかけたくない人
定期的に立ち寄るメインバンクで投資信託も購入できれば、余分な手間や時間をかけずにすみます。商品選びのアドバイスを受ければ、あれこれ迷わずに銘柄を決められます。また、手続きのミスをその場でチェックしてもらえるので、不備もほとんど発生しません。
忙しくて運用に時間をかけられない人は、銀行で投資信託を買うメリットがあるでしょう。
まとめ
投資信託は銀行や証券会社など、多くの販売チャネルがあります。実店舗で対面の取引ができる銀行には、ネット証券などにはない強みがあります。ただし、手数料などはネット証券などに比べて高くつくほか、株式などは購入できず、投資信託の銘柄数も限定されています。
投資信託をどこで買うかは、自分の運用スタイルや生活習慣によって人それぞれです。自分にとって譲れないポイントなどをよく考え、最適な金融機関で始めるとよいでしょう。
松田 聡子
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