「初心者にはバランス型の投資信託がおすすめ」と聞くことがありますが、バランス型投資信託とは何でしょうか。
「バランス」ということは、なんとなく株式など特定の資産に偏らない、リスクを抑えた運用をしているもの、ということはイメージできるかと思いますが、今回はバランス型投資信託の仕組みや種類を詳しく解説し、選ぶ際に見るべきポイントを3つ紹介します。
目次
- バランス型投資信託とは
- バランス型投資信託のメリット・デメリット
2-1.バランス型投資信託のメリット
2-2.バランス型投資信託のデメリット - バランス型投資信託を選ぶ際に見るべきポイント
3-1.資産の分散比率
3-2.ファンドの種類
3-3.手数料 - まとめ
1.バランス型投資信託とは
バランス型投資信託とは、株式や債券など世界のさまざまな金融資産に分散投資をする投資信託です。複数の資産に分散して投資を行うことで、景気や金利の変動などによるリスクを抑え安定した運用成果を得ることを目標にしています。リスクとリターンの関係では、ミドルリスク・ミドルリターンの投資信託といえます。
代表例としては、株式、債券、リート(不動産投資信託)の3資産への分散投資です。それに国内と海外の2つの地域に分けることで、3資産×2地域の6分散となります。更に株式と債券は、海外の中でも先進国と新興国に分けることが可能です。それに金を加えると、トータル9資産への分散となります(国内株、先進国株、新興国株、国内債、先進国債、新興国債、国内リート、海外(先進国)リート、金)。
配分の割合はあらかじめ決まっていたり、景気の変動に応じて配分が変わったりと、商品によって違います。
2.バランス型投資信託のメリット・デメリット
バランス型投資信託で資産運用をする場合のメリットとデメリットを解説します。
2-1.バランス型投資信託のメリット
メリットには以下のようなものがあります。
リスクが分散される
資産を分散することで、ファンドの価格が大きく値下がりするリスクを減らすことができます。どれか1つの資産が値下がりしたとしても、他の資産が値下がりしていなければ、ファンドの価格が大きく値下がりする可能性は低くなるためです。
もし初心者の方で市場に対して知見がなかったとしたら、ファンドマネージャーにお任せするだけで分散投資が完成しますし、投資経験豊富な方で理想とする資産配分があるようでしたら、それに近い配分のファンドを選ぶことで、手軽に分散投資が完成します。
自動で利食い・積み増しをやってくれる
ファンドの運用を続けていくなかで、1つの資産の価値が大きく変動した場合、ポートフォリオの各資産への配分割合がずれてしまいますが、その際元の資産配分に戻すのが「リバランス」という作業です。このただの事務作業が長い目で見るとパフォーマンスに好影響を及ぼすことが多いのです。
例えば国内株・国内債券・外国株式・外国債券の保有割合が各25%のファンドがあったとします。月末時点で国内株の調子が悪く、外国株式の調子が良く資産配分がそれぞれ15%:35%に変化してしまったとすると、外国株式をファンド資産の25%になるまで売って、国内株は25%に戻るまで買い増してリバランスすることになります。
これは「値上がりした資産を売って利益を確定させ、値下がり資産を安くお得に買う」ことと同じです。個人でやると骨が折れる作業を、ファンドマネージャーが代わりにやってくれるので非常に便利です。
税金面でメリットがある
例えば、自分でインデックスファンドをこまかく売買すると、値上がりした資産を売る際に税金がかかりますが、バランスファンドであれば、組み入れ資産の入れ替えには課税されません。最終的にファンド自体を売却した時に、プラスであれば課税されます。
2-2.バランス型投資信託のデメリット
対してバランス型投資信託にはいくつかのデメリットもあります。
インデックスファンドに比べて手数料が高い
普通のインデックスファンドに比べると、リバランスなどの手間がかかるため信託報酬が少し割高になります。バランスファンドの中には、そもそも期待リターンが低い債券なども含まれていることがありますが、その債券単体で見た場合、高い信託報酬を払って投資することに違和感を持つ方もいるでしょう。
基準価格の変動要因が理解しにくい
バランス型ファンドにはいろいろな資産が混ざっているので、ファンドがマイナスになった時に、何が原因なのか自分でリスクの把握がしづらいということがあります。
3.バランス型投資信託を選ぶ際に見るべきポイント
では、上記のメリット・デメリットを踏まえ、バランス型投資信託を選ぶ際のポイントについても解説していきます。
3-1.資産の分散比率
最も大事なポイントですが、各資産への配分比率や分散の度合いなどをチェックしましょう。一般的に、株式の比率が高いほどリスクが高く、期待リターンが高くなり、債券の比率を上げるとリスクは軽減される傾向があります。
しかし、新興国の債券のように低リスクとは言えないものもありますのでご注意下さい。最大9資産((国内株、先進国株、新興国株、国内債、先進国債、新興国債、国内リート、海外(先進国)リート、金)の中から、自分の理想の分散比率に近いものを選びましょう。
3-2.ファンドの種類
バランス型投資信託にはいくつかの種類があるため、運用の目的に合わせて選ぶことも必要です。
配分比率固定型
一定の配分比率を定め、その比率に沿って運用します。一番わかりやすく、オーソドックスなタイプで、リスクを抑えた運用を望むのであれば「安定型」、リターンを重視して積極的にリスクをとりたいなら「積極型」と、自分の望むリスクの大きさに合わせて選べます。
配分比率変動型
相場環境に応じて配分比率を変えます。たとえば、株式相場の上昇局面では株式などのリスク資産の割合を高め、株価が大きく下がるようなときには債券など安全資産の割合を高めて運用します。
ターゲットイヤー型
目標とする年を定め、それに向けて株式などのリスクが高い資産への配分比率を徐々に下げていき、債券などの安定資産の割合を増やしていきます。目標とする年以降は原則として、短期金融資産などの安全資産のみで運用します。状況により許容できるリスクは異なりますが、一般的に年齢が若いほど、リスクをとって運用することができます。
反対に、運用できる期間が短い高齢者が大きくリスクをとって運用するのは好ましくありませんので、安全資産の比率が大きくなります。退職や年金の受取開始時期など、資産運用の目標とする年が明確に定まっている場合に活用を検討できます。
リスク一定型・損失限定型
リスク一定型は、許容できる値動きの幅(リスク)を事前に指定して運用します。損失限定型は、損失の幅をコントロールして基準価額の下落を一定程度に抑えるように運用されます。基準価格を目安にしており、わかりやすいことから最近注目されています。
どちらのタイプもリスクを抑えるためリターンを得る機会は限られてしまいますが、損失に敏感な人に向いています。
3-3.手数料
どの投資信託にも共通して言えることですが、商品の中身や過去の成績が似ているのであれば、信託報酬が安いものを選びましょう。特に長期運用になればなるほど、信託報酬を含めたトータルリターンを気にするようにしましょう。
まとめ
長期投資で常に考えなければならないことは分散投資ですが、その分散投資を1本のファンドですべてやってくれるのがバランス型投資信託です。また、運用成績を押し上げる工夫であるリバランス作業を自動でやってくれる点も、ほかの投資信託にはないメリットです。
つまり、一度良いファンドに出会えれば、個人でポートフォリオのメンテナンスをする必要がなく、日々の運用に頭を悩ませる必要もなく、ある意味で”放ったらかし”にできる投資なのです。
投資をはじめる第一歩として、バランス型投資信託はおすすめですし、投資経験が豊富な人でも、自分の理想の資産配分と近いファンドを探してみては如何でしょうか。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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