コロナ終息後に注目の投資信託は?これまでの成績や成長産業も

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新型コロナウイルス感染症の拡大によって、社会は大きく変容を迫られました。コロナ禍によって、やがて来るべき社会に一足先に到達したようにも思えます。

一方で、変容を迫られた社会は、コロナウイルスが終息した後どのように変化するのでしょうか。本記事では、コロナ終息後に予想される社会の変化や、必要とされるであろう業種をもとに投資信託を紹介します。あらたな運用先を模索している人はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. コロナで新たに需要が生まれた業界
    1-1.リモートワークに関連する業界
    1-2.EC業界
    1-3.フードデリバリー業界
  2. 必要性が再認識された業界
    2-1.IT業界
    2-2.エンタメ業界
    2-3.医療、福祉業界
    2-4.人材業界
  3. 変革が迫られる業界
    3-1.テレビ業界
    3-2.銀行、証券など金融業界
    3-3.対面サービスをメインとする業界
  4. コロナ禍による資源価格への影響
    4-1.原油
    4-2.天然ガス
  5. コロナ終息後に押さえておきたいファンド
    5-1.eMAXIS Neo フィンテック
    5-2.eMAXIS Neo コミュニケーションDX
    5-3.ブラックロック天然資源株ファンド
  6. まとめ

1.コロナで新たに需要が生まれた業界

コロナ禍によって、以前にも増してあらたな需要が生まれた業界を3つ、ピックアップしました。

  1. リモートワークに関連する業界
  2. EC業界
  3. フードデリバリー業界

1-1.リモートワークに関連する業界

リモートワークはコロナ禍前にも、東京オリンピック時の混雑緩和や、BCP対策として取り上げられることはありましたが、コロナ禍によって一気に定着した感があります。

リモートワークの普及によって、オフィスの在り方は多様化し、在宅のリモートワークの他に、レンタルオフィスやシェアオフィス、コワーキングスペースの利用も以前に増して見られるようになりました。

働き方の多様化とともに、事業展開のためにオフィスを構えるという常識もさらに変化していくとみられています。柔軟性をもったオフィス運用に関連する業界は、コロナ禍によって新たな需要を獲得しました。

1-2.EC業界

しばらく続いたステイホームによって、EC業界には大きな特需の波が押し寄せました。ECサイトの利便性を再認識したユーザーの中には、買い物のほとんどにEC利用を組み込んでいる人も多いのではないでしょうか。

ECサイトの構築をサポートするサービスも活況を呈しており、個人事業主などからECサイトを経由して購入することも頻繁に行われています。

ECサイトの活況と合わせて、商品を運ぶ物流業界の動向も見逃せません。

1-3.フードデリバリー業界

EC業界とともにコロナ禍で需要が顕在化したフードデリバリー業界は、ユーザーは2019年比で4倍、市場規模は2倍になりました。店舗で食事するより価格はやや高めながらも、従来の出前にはないメニューの豊富さと手軽さが強みです。自宅にいながらグレードの高い食事を楽しむこともできます。

コロナ禍の落ち着きと共に、需要は低下するかと思われたフードデリバリー業界ですが、EC業界と同様に、一定のニーズを維持し続けているようです。店舗を持たないデリバリー専門の店舗も拡大しています。

日本のフードデリバリー市場は成熟しつつあるため、今後は各社とも独自のサービスを展開し、あらたな差別化を打ち出すこととなるでしょう。

2.必要性が再認識された業界

コロナ禍前から必要性は認識されていたものの、コロナ禍をきっかけに再度見直された業界を4つピックアップしました。

  1. IT業界
  2. エンタメ業界
  3. 医療、福祉業界
  4. 人材業界

2-1.IT業界

コロナ禍によってDXの必要性は再認識され、IT業界の需要はもはや不動のものとなったと言っても過言ではないでしょう。コロナ禍で需要が一気に上がったフードデリバリー業界やECサイトの活況によって忙しい物流業界にも、IT技術が大いに取り入れられています。今後のDX推進によって、さらに高い需要を維持し続けるでしょう。

コロナ禍をきっかけに、IT業界の人材不足はより加速しています。とくに、データサイエンティストなど、膨大なデータをまとめて形にする人材の不足は深刻です。

2-2.エンタメ業界

動画配信やオンラインゲーム、アニメ、音楽など、インターネットを介したサブスクリプションサービスはコロナ禍をきっかけに伸び続けています。テレビ業界の衰退とは対照的に、インターネット上のエンタメはこれからも伸び続けるでしょう。

コロナ禍によってSNSライブ配信や、eスポーツ、ARやVRなど、ITを活用したエンタメに関心が集まっています。メタバースなどの体験型エンタメも、今後、需要が伸びる可能性を秘めています。

2-3.医療、福祉業界

医療や福祉業界は、社会インフラとして必要不可欠なものですが、コロナ禍をきっかけに、メンタルヘルス分野の必要性が再認識されました。今後オフィスレス化が進み、リモートワークが一般的になると、リアルなコミュニティを失う不安感がメンタルへ影響を及ぼすと見られています。

メンタルケアの需要が増加し、心の健康をサポートするサービスが新たに活況を見せる可能性があります。

2-4.人材業界

新たな働き方の出現とともに、副業を含むフリーランス産業は一定の需要を確保すると予想されています。国もフリーランスを保護するルールを制定するなど、新しい働き方への土台を作りつつあります。よりフレキシブルな働き方は、今後より定着するのではないでしょうか。

フリーランスと企業をつなぐ人材サービスは、あらたな領域へ展開するチャンスの時期でもあります。従前の人材企業がフリーランスと企業のマッチングへ進出し、業界は活況を呈するでしょう。

3.変革が迫られる業界

コロナ禍前から衰退が懸念されており、コロナ禍により変革が求められるようになった業界も存在します。以下、3つの業界をピックアップし現状を紹介します。

  1. テレビ業界
  2. 銀行、証券など金融業界
  3. 対面サービスをメインとする業界

3-1.テレビ業界

コロナ禍によって、インターネットメディアを中心にエンタメ業界も伸びを見せましたが、相対的にテレビを始めとする昔のマスメディア業界の衰退が顕著になりました。

現在の視聴者は、定時に始まるテレビ番組に自分の生活サイクルを合わせることはしません。自分の都合で好きな時に視聴できるYouTubeやNetflix、AmazonPrimeなどに利便性を感じて移行しています。

旧態依然としたビジネスモデルを変革しなければ、テレビ業界は今後も衰退するとみられています。

3-2.銀行、証券など金融業界

銀行はマイナス金利の影響によって、預金を常に与信に回す必要性に迫られています。主な収益源となる貸出金利の低さも大きな懸念点の一つです。以前の収益構造とは様相が異なり、あたらしいビジネスモデルの構築が迫られています。

昔からある老舗証券会社は、低い手数料を軸に運営するネット証券に圧倒され、スマホ証券の出現によって、一部の富裕層のみに頼るビジネスモデルに限界が見え始めました。

金融業界は、IT技術などを取り入れた業態の変革が求められる時期に差し掛かっています。

3-3.対面サービスをメインとする業界

コロナ禍によって、消費に対する顧客の根本的なマインドは変化しました。わざわざ対面しなくとも充分なサービスを受けられるものは、オンライン化が進んでいます。特に対面販売が当たり前だった家電量販店を始めとする小売業界は、インターネットへの対応を急いで拡充する必要があります。

飲食業界は、コロナ禍が落ち着いた後もフードデリバリーが一定の需要を確保しており、かつての来店を前提とした業務運営を見直す必要がある状況です。

観光業界は、オンラインでは得られない体験を重視したサービスを提供することで、顧客に感動を与えるコンテンツを模索しなければいけません。

4.コロナ禍による資源価格への影響

コロナ禍はエネルギー資源にも大きな影響を与えました。合わせてウクライナ情勢による地政学リスクの影響もあり、今後もエネルギー資源の動きには目が話せません。

4-1.原油

原油価格はコロナ禍によって、目を疑うような乱高下を繰り返しました。コロナ禍のピークでは、原油余りが顕著になり、1バレル50ドルで取引されていた価格が、1バレル20ドルにまで低下することもありました。

経済活動再開のタイミングでは、逆に原油の需要が高まり、高騰を招く事態も発生しています。原油価格とコロナ禍は密接な関連性をもっています。

4-2.天然ガス

生活インフラの他に発電にも活用される天然ガスは、原油と同様にコロナ禍によって需要が低下しました。反面、経済回復期の価格高騰は原油に勝るとも劣らない勢いです。

天然ガスは、化石燃料である原油と異なり、脱炭素活動の重要な担い手という側面をもっています。そのため、経済回復期の需要の高さは原油と多少異なり、現在も社会へ大きな影響を与えています。

合わせてウクライナ情勢の悪化もあり、原油以上に価格の動きが注目されているといっても過言ではありません。

5.コロナ終息後に押さえておきたいファンド

コロナ終息後の業界をとりまく状況を鑑みて、以下3つのファンドをピックアップしました。テーマは、フィンテック関連と、ITを活用したコミュニケーション関連、天然資源ファンドです。

  1. eMAXIS Neo フィンテック
  2. eMAXIS Neo コミュニケーションDX
  3. ブラックロック天然資源株ファンド

5-1.eMAXIS Neo フィンテック

eMAXIS Neo フィンテックは、S&P Kensho Democratized Banking Indexに連動する運用成績を目指すインデックスファンドです。

ベンチマークとする指数は、ダイレクト・レンディング、クラウドファンディングなどの資金調達や、自動資産管理、デジタル通貨など、金融サービスにおけるイノベーションに特化している企業のパフォーマンスを測定するように設計されています。

日本において、フィンテック関連のイノベーションは少し遅れていますが、世界ではコロナ禍をきっかけに、よりフィンテックの必要性が見直され、注目を受けています。コロナ終息後の動向は見逃せません。

基準価額 10,891円
純資産 1,412百万円
運用管理費 0.792%以内
トータルリターン(1年) -34.77%
設定日 2019年5月28日

※2023年1月12日時点の数値です

全79銘柄中の組入上位5銘柄

銘柄 業種 構成比率 国・地域
1.FLYWIRE CORP-VOTING ソフトウェア 2.2% アメリカ
2.MERCADOLIBRE INC 小売 2.1% アメリカ
3.EVO PAYMENTS INC-CLASS A ソフトウェア 2.0% アメリカ
4. PAYA HOLDINGS INC ソフトウェアサービス 1.9% アメリカ
5.SHOPIFY INC – CLASS A ソフトウェア 1.9% カナダ

※2022年11月30日発行の月次レポートによる情報です

日本では見慣れない企業名が多くを占めていますが、MERCADOLIBREと、SHOPIFY INC以外は、決済サービスを提供している会社です。MERCADOLIBREはアルゼンチンに拠点を置く米国資本のEC事業を手掛けており、SHOPIFYはECサイトのプラットフォームを提供しています。

5-2.eMAXIS Neo コミュニケーションDX

eMAXIS Neo コミュニケーションDXは、Kensho Enterprise Collaboration Indexに連動する運用成績を目指すインデックスファンドです。ベンチマーク指数は、米国を中心とする、ストレージサービスやコミュニケーションツールを提供している企業のパフォーマンスを測定するために設計されています。

リモートワークの普及によって、ファイル共有サービスやワークスペースのプラットフォームは一定の需要を確保しました。今後はさらなる展開が予想されます。

基準価額 7,558円
純資産 352百万円
運用管理費 0.792%以内
トータルリターン(6カ月) -19.28%
設定日 2022年3月4日

※2023年1月12日時点の数値です

全20銘柄中の組入上位5銘柄

銘柄 業種 構成比率 国・地域
1.RINGCENTRAL INC-CLASS A ソフトウェア 6.8% アメリカ
2. WORKIVA INC ソフトウェアサービス 6.4% アメリカ
3.8X8 INC ソフトウェア 6.3% アメリカ
4. CISCO SYSTEMS INC テクノロジ・ハードウェア・機器 6.3% アメリカ
5.TWILIO INC – A ソフトウェア 6.2% アメリカ

※2022年11月30日発行の月次レポートによる情報です

こちらのファンドも日本ではあまり聞かない企業名が多く見られます。上位を占めているのは、クラウドベースのコミュニケーションプラットフォームやストレージサービスを提供している会社です。

ワークプレイスのプラットフォームや、ストレージサービスは、現時点では日本国産よりも、海外製のほうが使い勝手が良く、優れていると評価されるものが多く見られます。

5-3.ブラックロック天然資源株ファンド

ブラックロック天然資源株ファンドは、世界のエネルギー関連株や、鉱山株、金鉱株などを主要な投資対象としています。

コロナ禍によって原油や天然資源の需給バランスは大きく変化しました。経済活動が正常化するに向けて、コロナ禍以前の状況に戻ると診られていますが、確実ではありません。資産価値としての金の有り様など、資源価格がどのような方向へ動くのか、資源関連のファンドにも注目が寄せられます。

基準価額 10,314円
純資産 11,209百万円
運用管理費 1.9030%
トータルリターン(6カ月) 30.24%
設定日 2007年12月21日

※2023年1月12日時点の数値です

主な業種別比率

業種 組入比率
総合石油・ガス 40.4%
石油・ガス探査・開発 35.5%
石油・ガス貯蔵・輸送 13.7%
石油・ガス精製・販売 7.7%
石油サービス 1.9%

※2022年11月30日時点の情報です

組入業種を確認すると、現在は主に石油と天然ガスの精製や輸送、販売に携わる業種で構成されています。コロナ禍後の経済活動による、天然ガスや石油の需給バランスとウクライナ情勢によるエネルギー資源高騰の動きは引き続き注目ポイントです。

まとめ

コロナ禍によって、社会は大きく変容を迫られました。今後もより必要とされる業界や変革を迫られる業界など、明暗が分かれています。また、エネルギー価格の安定化と、特定の国や地域への依存の見直しなど新たな課題が顕在化した点も見逃せないポイントです。

世の中の変わり目は、投資チャンスのあらわれとも言えます。今後の社会に必要とされる資源や、業界に狙いを定めてピンポイントな運用を行ってみるのも良い選択ではないでしょうか。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。