先週末にアメリカで重要な経済指標である雇用統計が発表された。
4月からの数字は、①失業率3.6%(予想通り)②非農業部門雇用者数37.2万人(市場予想26.5万人を上回る)③労働参加率62.2%(市場予想62.4%を下回る)④平均時給(対前年比)+5.1%(市場予想5.0%を上回る)⑤広義の失業率(U6※)6.7%(前月7.1%)となっており、総じて数字から判断するには米国経済が堅調であるということが伺える。
また7月の0.75%の利上げが雇用統計を受けてほぼ確実となったとも言えるため、7月に0.75%の利上げが行われたとしてもサプライズとはならないだろう。
労働参加率が低下している理由としては、仕事が見つからないわけではなく、求人を行っても人が集まらない状況であり、労働者不足からこの数字が出てきているため、引き続き企業側としては給料を引き上げて対応しないといけない環境なのが把握できる数字になった。
広義の失業率でもあるU6(※)も1994年以来の低水準となっている。
※U6…現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員を希望しながらパートタイム就業しかできない人を含む失業率。
平均時給も市場予想を上回っており、引き続き労働参加率が示しているようにタイトな市場だった場合は時給がさらに上昇していく想定ができるため、FRBの利上げペースが早まる可能性が指摘されている。
現在はアメリカではインフレからリセッションのリスクを懸念する声も出始めており、リセッションをFRBが懸念し始めた場合は利上げペースは鈍化すると想定される。
しかし雇用統計を見る限り、需給環境が緩和されている数字が出てきてないため、FRBが利上げペースを鈍化させるという見通しはまだ強まってこないか。
雇用統計を受けて米国債金利は上昇しており、10年金利で3%台まで反発する動きに。ドル円も日本の参議院選挙で与党が単独過半数を獲得したことから円安が発生している。
雇用統計ではインフレ鈍化の数字が見られていないが、今週は重要な米CPIが発表される予定のため、CPIの数字がより今後のインフレ動向に重要になってくるだろう。
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中島 翔
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