コロナ禍が金融市場に与えた実際の影響は?シュローダーの世界経済/グローバル市場見通し

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シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は10月6日、「イラストで見る世界経済/グローバル市場見通し」の日本語版を公表した。「新型コロナウイルスが金融市場に与えた実際の影響」として、年初来のリターンと人口当たりのワクチン接種率を比較。英国、米国、カナダが上位3位となり、ワクチン接種率が通貨高を支えたことがうかがえる。

英国、米国、カナダが上位3位となり、ワクチン接種率が通貨高を支えた

出所:各種資料をもとにシュローダー作成。2021年9月時点

GDP成長率予測は、2021年から2022年にかけて世界全体で5.9%から4.5%低下するのをはじめ、国・地域別では英国(7.0%→6.7%)、米国(5.8%→3.7%)、BRICs(8.0%→5.1%)。特に中国(8.5%→5.5%)の低下率が大きい。上昇するのはユーロ圏(5.1%→5.6%)、特にドイツ(3.1%→5.8%)の成長を予測。日本は2.2%から2.8%と微増ながら成長する見通し。 

マルチアセット運用チームによる各金融市場の月次見通しは、「株式」は企業業績見通しが底堅いことや実質金利がバリュエーションの支援材料となることから、やや強気の見通しを維持。「国債」は経済成長や流動性のピークは過ぎた可能性が高く、今後の主な逆風要因となると判断しており、やや弱気の見通しを維持。「社債」はファンダメンタルズが改善しているが、バリュエーションが割高であり、過度な水準に近付いていることから、やや弱気の見通しを維持している。

このうち、株式については、米国企業業績の上方修正は減速し始めており、7―9月期決算は、支援材料とはならない可能性があると判断する。また、労働者不足は解消されておらず、企業にとっては求人採用が困難な状況が続いている。一方で、消費者支出は堅調な推移が続く。

米国の労働参加率

出所:各種資料をもとにシュローダー作成。2021年9月時点

欧州では新型コロナウイルスワクチン接種状況や欧州中央銀行(ECB)による支援策を背景に、相対的に力強い経済成長がみられていることから、欧州株式を選好する。日本は、足元で大きく回復がみられたものの、「今後市場の大きな上昇要因に乏しい」と判断された。アジア太平洋(除く日本)は、中国株式のバリュエーションの魅力度は足元で上昇。また、長期的には韓国/台湾の選好を維持しているが、世界経済成長のモメンタムにピーク感が出始めていることから、「短期的には投資家心理の重しとなる」とした。新興国はバリュエーションが魅力的である一方、「ワクチンの接種が進まない地域が多く存在するため、今後の経済回復の動向が不透明」と考えている。

国債は、米国では米連邦準備制度理事会(FRB)は10-12月期にテーパリングを開始することが見込まれ、利回り上昇の要因となることから、弱気の見通しを維持。欧州(ドイツ国債)は欧州でのインフレ上昇がみられることに加え、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)終了後についてのコミュニケーションが不透明であることから、弱気の見通しに引き下げた。

新興国米ドル建ては先進国市場に比べバリュエーションの魅力度が高く、ハイイールド債券を中心に、引き続き、やや強気の見通しを維持している。

【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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