米証券取引委員(SEC)委員長のゲンスラー氏が、暗号資産を禁止する方針はないと、10月5日の公聴会で発言した。一方で、正しい規制が必要であるとの見解を明確にしている。
ゲンスラー氏は、「中国のように暗号資産を禁止する計画はあるか」といった議員からの質問に答える形で、SECとして禁止する計画は立てていないと発言した。禁止するかどうかの判断は、SECではなく議会の管理下になるとしている。
暗号資産の禁止方針については、9月30日に連邦準備制度理事会(FRB)からも意向が出されていた。議長のパウエル氏が、暗号資産を禁止する方針はないと明言しており、今回のゲンスラー氏の発言はこれに続いた形となる。
いずれも、背景には中央銀行デジタル通貨(CBDC)の存在があるようだ。FRBからは、仮にCBDCが普及した場合、暗号資産やステーブルコインの必要性はなくなるとの見解が示されていたが、これは撤回されている。
ゲンスラー氏によると、重要なのは暗号資産そのものを禁止することではないという。暗号資産の投資家や消費者を保護した上で、マネーロンダリングなどに使用されないよう適切な規制を整備することが重要だと説明。そのためには、暗号資産取引所でもSECへの登録が必要になったり、ステーブルコインに銀行と同等の規制要件を適用するなどの対策を行うという。
特にステーブルコインについてゲンスラー氏は厳格な姿勢を見せており、カジノのチップと表現している。1,250億ドル以上の市場規模を持つステーブルコインが、現時点で未整備状態にあるといい、将来的には金融市場に重大なリスクを及ぼす可能性があることを危惧しているようだ。
暗号資産の規制を巡っては、証券に該当するか否かの議論がSECを中心に行われている。クリプトママことSEC理事のピアース氏は、暗号資産独自のセーフハーバールールを設けることで、極端を規制を整備せずにイノベーションを促進できるとの見解を示していた。
【参照記事】Oversight of the U.S. Securities and Exchange Commission: Wall Street’s Cop Is… (EventID=114113)
株式会社techtec リサーチチーム
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